要点まとめ・第8章
AIに必要な数理・統計知識(G検定 技術分野)
平均・分散、確率分布、相関、検定、距離など、計算問題の土台になる知識を扱います。
- 中項目1
- キーワード29語
- 練習問題21問
- 出題の目安 約6問
この分野の練習問題は21問です。復習の時期が来た問題と、まだ解いていない問題から順に出題します。
全21問・解いた記録はまだありません
概要
この分野で扱うこと
機械学習の多くの手法を下支えしている、統計と確率の基礎を扱う分野です。中項目は「AIに必要な数理・統計知識」の1つだけで、キーワードは29語あります。このページでは、当サイトが独自に5つのまとまりに分けて整理しています(シラバスにある区分ではありません)。
| まとまり | 主なキーワード | 機械学習でのつながり |
|---|---|---|
| 記述統計 | 平均、中央値、分散、標準偏差 | データの前処理、外れ値の確認 |
| 確率 | 条件付き確率、期待値、正規分布 | 分類の出力を確率として扱う |
| 相関 | 相関係数、疑似相関、相互情報量 | 特徴量の選択、因果の見誤り |
| 推定・検定 | 最小二乗法、最尤法、帰無仮説 | 線形回帰、誤差関数の考え方、A/Bテストの判定 |
| 距離 | ユークリッド距離、コサイン類似度 | k-means法、単語の意味の近さ |
学ぶ順番
上の表の順に進めます。分散と標準偏差は、相関係数やマハラノビス距離の計算にも出てくるため、最初に固めておくと後が楽になります。確率では、条件付き確率と期待値を自分の手で1回ずつ計算してみます。
つまずきやすいところ
計算問題があるため、苦手意識を持たれやすい分野です。ただ、扱う計算の多くは、四則演算と2乗・平方根で済みます。式を丸暗記するより、「何を表す値か」を言葉で説明できることを優先すると、計算の手順も覚えやすくなります。たとえば標準偏差は「平均からのばらつきを、元のデータと同じ単位で表した値」です。用語の取り違えでは、相関と因果の混同が特に起こりがちです。
出題の目安
145問中約6問前後
当サイトの推計です。幅をもたせると約4〜9問(全体の3〜6%)とみています。分野別の出題数は公表されていません。
全体の問題数「145問程度」の出典:JDLAのFAQ 最終確認日:2026年10月30日
学習目標
データの代表値とばらつき、確率と確率分布、2つの変数の関係、データからのパラメータの推定と仮説検定、データどうしの距離や類似度について、それぞれが何を表し機械学習のどこで使われるかを理解し、簡単な数値例で計算や判断ができるようにします。
要点
記述統計:データの姿をつかむ
- 平均・中央値・最頻値:データの中心を表す値です。平均は合計÷件数、中央値は小さい順に並べた真ん中の値、最頻値は最も多く現れる値です。
- 外れ値:ほかから大きく離れた値です。平均は引っ張られますが、中央値はほとんど動きません。
- 分散・標準偏差:分散は平均との差を2乗して平均した値、標準偏差はその平方根です。3、3、7、7なら平均5、分散は
(4+4+4+4)÷4 = 4、標準偏差は2です。 - 度数分布:値の区間ごとに件数を数えた表です。区間を横軸、件数を柱の高さにしたグラフをヒストグラムといいます。
- 移動平均:直近の数個の平均を1つずつずらして求め、時系列の細かな上下をならします。
確率:起こりやすさを数で表す
確率変数は、サイコロの目のように確率で値が決まる変数で、値と確率の対応を確率分布といいます。期待値は「値×確率」の合計で、サイコロなら3.5です。条件付き確率 P(A|B) = P(AかつB) ÷ P(B) は、Bが起きたときにAが起きる確率で、迷惑メールの判定などに使われます。身長のような連続値では、確率密度関数のグラフの下の面積で確率を表します。
| 分布 | 表す場面 |
|---|---|
| ベルヌーイ分布 | 合格か不合格かのような、結果が2通りの試行1回 |
| 二項分布 | その試行をn回繰り返したときの成功回数 |
| ポアソン分布 | 1時間の来店数のような、一定の時間や範囲に起こる事象の回数 |
| 正規分布 | 平均を中心に左右対称の釣り鐘形 |
相関:2つの変数の関係
- 共分散:2つの変数が同じ向きに動くかを表しますが、単位で大きさが変わります。
- 相関係数:共分散を2つの変数の標準偏差の積で割り、-1から1に収めた値です。
- 疑似相関:アイスの売上と水難事故のように、気温という第3の要因で生じる見かけの相関です。
- 偏相関係数:第3の変数の影響を除いた相関で、疑似相関の確認に使います。
- 相互情報量:一方を知ると他方の不確かさがどれだけ減るかを表します。
推定・検定:データから結論を出す
最小二乗法は、予測と実測の差の2乗の合計が最小になるようにパラメータを決める方法で、線形回帰の基本です。最尤法は、手元のデータが得られる確率(尤度)が最大になるパラメータを選びます。分類で交差エントロピーを小さくする学習は、最尤法にあたります。仮説検定では、否定したい帰無仮説(新薬に効果はない)と、示したい対立仮説(効果がある)を立て、帰無仮説のもとでは起こりにくい結果が出たときに帰無仮説を棄却します。
距離:データどうしの近さ
- ユークリッド距離:2点を結ぶ直線の長さです。(0, 0)と(3, 4)なら5です。
- マハラノビス距離:データのばらつきと相関を考慮した距離で、異常検知に使われます。
- コサイン類似度:ベクトルの大きさを無視し、向きの近さを-1から1で表します。文書や単語の比較に使います。
つまずきやすい点
- 確率密度は連続値の分布で使う値で、1点での値はそのまま確率ではなく、範囲をとって面積を求めたものが確率になる点
- ベルヌーイ分布は結果が2通りの試行1回、二項分布はその試行をn回繰り返したときの成功回数、ポアソン分布は一定の時間や範囲に起こる事象の回数(まれな事象によく使う)を表す点
- 相関係数は直線的な関係の強さだけを表し、U字形のような関係では0に近くなることがある。相互情報量は直線的でない関係も含めた依存の度合いをとらえる点
- 帰無仮説は「差がない」「効果がない」とする仮説で、棄却できたときに対立仮説を採る。棄却できなくても、帰無仮説が正しいと示されたわけではない点
キーワードと練習問題
シラバス第1.4版のキーワード29語を、内容ごとに分けて並べています。この分け方は当サイトの整理で、シラバスの区分ではありません。色のついた語は用語集で解説しています。「2問」などの数字は、その語を扱う練習問題の数です。
記述統計
確率・確率分布
相関・関係の指標
推定・検定
距離・類似度
復習の時期が来た問題と、まだ解いていない問題から順に出題します。
混同しやすい用語
この分野の関連用語
前後の分野
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 AIに必要な数理・統計知識(項目37))
- 総務省統計局「なるほど統計学園」
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning (MIT Press, 2016) (Chapter 3 Probability and Information Theory)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)