結論
共分散は、2つの変数の平均からのずれを掛け合わせて平均した値で、符号から関係の向きはわかりますが、大きさが単位に左右されるため関係の強さは比べられません。相関係数は、共分散を2つの変数の標準偏差の積で割った値で、単位に左右されず、−1から1の範囲で直線的な関係の強さと向きを表します。
比較表
| 観点 | 共分散 | 相関係数 |
|---|---|---|
| 英語 | covariance | correlation coefficient |
| 式 | Cov(x, y) = (1/n) × Σ(xi − xの平均)(yi − yの平均)。nの代わりにn − 1で割る式もある | r = Cov(x, y) / (xの標準偏差 × yの標準偏差) |
| 値の範囲 | 決まった範囲はない(単位やばらつきの大きさしだい) | −1以上1以下 |
| 単位を変えたとき | 値が変わる(身長をcmからmmにすると10倍) | 変わらない |
| 符号の意味 | 正なら同じ向き、負なら逆向きに動く傾向 | 共分散と同じ(標準偏差は正の値なので符号は変わらない) |
| 関係の強さの比較 | できない。単位やばらつきの違うデータどうしでは比べられない | できる。絶対値が1に近いほど直線的な関係が強い |
| 主な使われ方 | 分散共分散行列として、主成分分析やマハラノビス距離の計算の材料にする | 特徴量どうしの関係の確認、似た情報をもつ特徴量の整理 |
| 共通の限界 | 直線的な関係しか捉えられない。外れ値の影響を受けやすい。因果関係までは示さない | 直線的な関係しか捉えられない。外れ値の影響を受けやすい。因果関係までは示さない |
| シラバス項目 | 技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識(キーワード「共分散」) | 技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識(キーワード「相関係数」) |
| G検定での問われ方 | 符号の読み方、単位で値が変わる性質、相関係数との式の関係 | 値の範囲と符号、標準偏差の積で割る式、計算問題、非線形の関係や疑似相関への注意 |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
共分散と相関係数は、どちらも2つの変数が一緒に動く傾向を表す統計量です。相関係数は共分散から計算するので、2つは別々の指標というより、元の値と、それを比べやすく整えた値の関係にあります。
共分散
共分散は、各データについて「xの平均からのずれ」と「yの平均からのずれ」を掛け、その平均をとった値です。両方が平均より大きい、または両方が平均より小さいデータが多いと正に、片方だけが平均より大きいデータが多いと負になりやすくなります。符号を見れば、関係の向きがわかります。
ただし、値の大きさはデータの単位に左右されます。身長をcmからmmに直すだけで、身長と体重の共分散は10倍になります。そのため、共分散の大きさだけを見て、関係が強いか弱いかは判断できません。
相関係数
相関係数は、共分散を2つの変数の標準偏差の積で割った値です。割ることで単位の影響が消え、値は必ず−1から1の範囲に収まります。1に近いほど右上がりの直線に沿って、−1に近いほど右下がりの直線に沿って点が並びます。単位の違うデータどうしでも、関係の強さを比べられます。
使い分け
関係の強さを報告したり比べたりするときは、相関係数を使います。共分散は、複数の変数の分散と共分散を並べた分散共分散行列として、主成分分析やマハラノビス距離などの計算の材料になります。
どちらも、捉えられるのは直線的な関係だけです。U字型の関係では0に近くなることがあり、外れ値が1つあるだけで値が大きく変わることもあります。数値だけで判断せず、散布図で確かめます。また、相関があっても、因果関係があるとは限りません。
見分けるコツ
- 「単位に左右される」「範囲が決まっていない」なら共分散、「−1から1」「単位に左右されない」なら相関係数です。
- 計算問題では、先に共分散を求め、2つの標準偏差の積で割ります。分散の積で割ったり、結果を2乗したりする誤りに注意します。
- どちらも0に近いからといって、関係がないとは限りません。U字型のような曲線の関係は、共分散でも相関係数でも捉えられません。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
変数xのすべての値に同じ数を足しても、xとyの共分散と相関係数は、どちらも値が変わらない。
答えを見る
答え ◯ 正しい
どちらも平均からのずれをもとに計算します。すべての値に同じ数を足すと平均も同じだけ動くので、ずれは変わりません。共分散の値が変わるのは、値を何倍かするなど尺度を変えたときです。
-
別々のデータの組で共分散を求めたところ10と5だったので、共分散が10の組のほうが2変数の直線的な関係が強いといえる。
答えを見る
答え × 誤り
共分散の大きさは、変数の単位やばらつきの大きさに左右されます。関係の強さを比べるには、標準偏差で割って相関係数に直してから比べます。
-
xの標準偏差が2、yの標準偏差が3のとき、xとyの共分散が6を超えることはない。
答えを見る
答え ◯ 正しい
相関係数は共分散を2 × 3 = 6で割った値で、1を超えません。そのため共分散は−6以上6以下に収まります。共分散の取りうる範囲は、2つの標準偏差の大きさで決まります。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.8 Expectation, Variance and Covariance)
- Karl Pearson, Mathematical Contributions to the Theory of Evolution. III. Regression, Heredity, and Panmixia, Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series A 187, 253–318 (1896)
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