結論
MAEは誤差の絶対値の平均、MSEは誤差の二乗の平均で、MSEは大きな誤差ほど重く数えるため外れ値に引きずられやすく、MAEは外れ値の影響を受けにくい指標です。MAEは予測の対象と同じ単位で読めますが、MSEは単位が二乗になるため、同じ単位で読みたいときは平方根をとったRMSEを使います。
比較表
| 観点 | 平均絶対値誤差(MAE) | 平均二乗誤差(MSE) |
|---|---|---|
| 英語 | mean absolute error | mean squared error |
| 計算式 | (1/n)×Σ|正解値−予測値| | (1/n)×Σ(正解値−予測値)² |
| 1件の誤差が2倍になると | その1件の寄与は2倍 | その1件の寄与は4倍 |
| 外れ値の影響 | 受けにくい | 受けやすい(大きな誤差を重く数える) |
| 単位 | 予測の対象と同じ(個なら個) | 予測の対象の二乗(個なら個²)。平方根をとるとRMSEになり、単位が戻る |
| 全データに同じ値を予測するとき最小にする値 | 正解値の中央値 | 正解値の平均値 |
| 誤差関数として使うとき | 誤差が0の点で微分できず、勾配の大きさは誤差の大きさによらず一定 | どこでも微分でき、勾配は誤差に比例する。回帰の代表的な誤差関数 |
| 向く場面 | まれな大外れに引きずられず、ふだんのずれの大きさを知りたいとき | 大きく外すことを特に避けたいとき |
| シラバス項目 | 技術分野 項目10 モデルの選択・評価(キーワード「平均絶対値誤差(MAE)」) | 技術分野 項目10 モデルの選択・評価(キーワード「平均二乗誤差(MSE)」)、項目13 誤差関数(キーワード「平均二乗誤差関数」) |
| G検定での問われ方 | MSE・RMSEと並べた計算、外れ値を含むデータで指標を選ぶ場面問題 | MAE・RMSEと並べた計算、単位が二乗になる点とRMSEとの関係、回帰の誤差関数としての役割 |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
平均絶対値誤差(MAE)と平均二乗誤差(MSE)は、どちらも数値を予測する回帰問題で、予測のずれを表す評価指標です。値が0に近いほど予測が正確です。違いは、1件ごとの誤差をどう集計するかにあります。
平均絶対値誤差(MAE)
MAE = (1/n) × Σ|正解値 − 予測値|
誤差の絶対値をそのまま平均します。大きな誤差も小さな誤差も、ずれた量に比例して数えます。結果は予測の対象と同じ単位で、「1日あたり平均3個ずれる」のように読めます。
平均二乗誤差(MSE)
MSE = (1/n) × Σ(正解値 − 予測値)²
誤差を二乗してから平均します。誤差が2倍になれば、寄与は4倍です。大きく外した予測を重く罰するので、大外れを特に避けたい場面に向きます。単位は二乗になるため、元の単位で読みたいときは、平方根をとった二乗平均平方根誤差(RMSE)を使います。MSEは評価指標であると同時に、線形回帰やニューラルネットワークで最小化する誤差関数としても使われます。
外れ値があるときの差
ある商品の4日間の販売数を予測し、誤差が1、−1、2、8個だったとします。MAEは12÷4=3個です。MSEは(1+1+4+64)÷4=17.5で、RMSEは約4.2個になります。8個ずれた1日が合計に占める割合は、MAEでは12のうち8で約7割ですが、MSEでは70のうち64で9割を超えます。1件の大外れが、MSEの値をほぼ決めてしまうわけです。
どちらを選ぶか
例外的な日に引きずられず、ふだんのずれを知りたいならMAEが向きます。大きなずれほど損失が膨らむ業務なら、MSEやRMSEが実態に合います。全データに同じ値を予測するとき、MAEを最小にするのは中央値、MSEを最小にするのは平均値です。MAEが外れ値に強いのは、中央値が外れ値に引きずられにくいのと同じ理由です。
見分けるコツ
- 式に「二乗」があればMSE、「絶対値」ならMAEです。二乗する指標は大きな誤差を重く数えるので、外れ値に弱くなります。
- 単位で見分ける問題もあります。予測の対象と同じ単位で読めるのはMAEとRMSEで、MSEは単位が二乗になります。
- 外れ値への強さは、中央値と平均値の関係に重ねて覚えます。全データに同じ値を予測するとき、MAEを最小にするのは中央値、MSEを最小にするのは平均値です。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
予測の対象の単位をメートルからセンチメートルに変えて計算し直すと、MAEは100倍、MSEは10,000倍になる。
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答え ◯ 正しい
誤差はすべて100倍になります。MAEは誤差の大きさに比例するので100倍、MSEは誤差を二乗して平均するので100²=10,000倍です。MSEの単位が対象の単位の二乗になることの表れです。
-
同じ評価用データで比べたとき、MSEがより小さいモデルは、MAEも必ずより小さい。
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答え × 誤り
4件の誤差がすべて3のモデルは、MAEが3、MSEが9です。誤差が0、0、0、10のモデルは、MAEが2.5、MSEが25です。MAEでは後者、MSEでは前者が良いと判定され、指標によって順位が入れ替わります。
-
MAEを誤差関数として勾配降下法で最小化するとき、1件ごとの勾配の大きさは、誤差が大きいデータほど大きくなる。
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答え × 誤り
MAEの1件ごとの勾配は誤差の符号だけで決まり、大きさは誤差によらず一定です(誤差が0の点では微分できません)。誤差に比例して勾配が大きくなるのはMSEです。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目10 モデルの選択・評価)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目13 誤差関数)
- scikit-learn User Guide, Metrics and scoring: quantifying the quality of predictions (Which scoring function should I use?(Strictly consistent scoring functions)、Regression metrics)
- Cort J. Willmott, Kenji Matsuura, Advantages of the mean absolute error (MAE) over the root mean square error (RMSE) in assessing average model performance, Climate Research 30, 79–82 (2005)
- T. Chai, R. R. Draxler, Root mean square error (RMSE) or mean absolute error (MAE)? Arguments against avoiding RMSE in the literature, Geoscientific Model Development 7, 1247–1250 (2014)
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