1行定義
平均絶対値誤差(MAE)とは、予測値と正解値の差の絶対値をすべてのデータについて平均した値で、回帰問題の予測のずれを表す評価指標のことです。
くわしく
平均絶対値誤差(MAE)は、数値を予測する回帰問題で、予測が平均してどれだけ外れているかを表す指標です。予測が大きすぎたか小さすぎたかという向きは問わず、ずれの大きさだけを平均します。
計算のしかた
各データの誤差の絶対値を合計し、データ数nで割ります。
MAE = (1/n) × Σ|正解値 − 予測値|
たとえば、ある店の5日間の来店客数を予測し、誤差(正解値−予測値)が1、−2、2、−1、4人だったとします。絶対値の合計は10なので、MAEは10÷5=2人です。「1日あたり平均2人ずれる」と、予測の対象と同じ単位で読めます。絶対値をとらずに平均すると、正と負の誤差が打ち消し合い、ずれの大きさを表せません。
MSE・RMSEとの違い
平均二乗誤差(MSE)は誤差を二乗して平均し、二乗平均平方根誤差(RMSE)はその平方根をとります。二乗する指標では、大きな誤差ほど強く効きます。先の例で、4人だった誤差が14人に変わったとします。MAEは20÷5=4人で、2倍になります。MSEは(1+4+4+1+16)÷5=5.2から(1+4+4+1+196)÷5=41.2へと、約8倍になります。
そのため、MAEはまれに起きる大外れ(外れ値)に引きずられにくい指標です。逆に、大きく外すことが特に困る場面では、MSEやRMSEのほうが実態に合います。どちらが優れているというより、業務で困るずれ方に合わせて選びます。複数の指標を並べて報告することもよくあります。
中央値との関係
すべてのデータに同じ値を予測する場合、MAEを最も小さくするのは中央値、MSEを最も小さくするのは平均値です。同じ理由で、MAEを誤差関数にして学習したモデルは、正解値の平均値ではなく中央値を予測する方向に学習されます。
覚え方
「絶対値で平均、単位はそのまま、外れ値に強いのがMAE」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
MSE・RMSEとの計算方法の違いと使い分け、外れ値の影響を受けにくい性質、予測の対象と同じ単位で読める点が、計算問題や指標を選ぶ場面設定の形で問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 平均絶対値誤差(MAE)このページの用語 | 予測値と正解値の差の絶対値をすべてのデータについて平均した値で、回帰問題の予測のずれを表す評価指標 |
| 平均二乗誤差 | 予測値と正解値の差を二乗し、すべてのデータについて平均した値で、回帰問題の代表的な評価指標や誤差関数 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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MAEは誤差の正負を区別しないため、予測が全体として高めにずれているのか低めにずれているのかは、MAEの値だけでは分からない。
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答え ◯ 正しい
MAEはずれの大きさだけを平均します。予測の偏りの向きを知るには、絶対値をとらずに誤差を平均した値などを別に確かめます。
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4件の誤差がすべて2の場合と、1件だけ誤差が8で残り3件が0の場合とでは、後者のほうがMAEは大きい。
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答え × 誤り
どちらも絶対値の合計は8で、MAEは8÷4=2で同じです。RMSEで比べると前者は2、後者は√(64÷4)=4となり、大きな誤差を含む後者のほうが大きくなります。
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すべてのデータに同じ1つの値を予測として返すとき、その値を正解値の中央値にすると、MAEは最も小さくなる。
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答え ◯ 正しい
誤差の絶対値の合計を最小にする定数は中央値です。一方、MSEを最小にする定数は平均値です。MAEが外れ値に強いことは、中央値が外れ値に引きずられにくいことと対応しています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目10 モデルの選択・評価)
- scikit-learn User Guide, Metrics and scoring: quantifying the quality of predictions (Regression metrics、Mean absolute error)
- Cort J. Willmott, Kenji Matsuura, Advantages of the mean absolute error (MAE) over the root mean square error (RMSE) in assessing average model performance, Climate Research 30, 79–82 (2005)
- T. Chai, R. R. Draxler, Root mean square error (RMSE) or mean absolute error (MAE)? Arguments against avoiding RMSE in the literature, Geoscientific Model Development 7, 1247–1250 (2014)