1行定義
赤池情報量規準(AIC)とは、モデルのデータへの当てはまりの良さとパラメータ数の多さを1つの値にまとめ、候補のモデルを比べて選ぶための指標のことです。
くわしく
赤池情報量規準(AIC)は、いくつかの候補のモデルから1つを選ぶときに使う物差しです。日本の統計学者、赤池弘次が1973年に提唱しました。
なぜ必要か
説明変数やパラメータを増やすと、手元のデータへの当てはまりはほぼ必ず良くなります。しかし、増やしすぎると偶然のばらつきまで覚え込み、新しいデータでは外れやすくなります。これが過学習です。当てはまりの良さだけで選ぶと、いちばん複雑なモデルが選ばれてしまいます。AICは、当てはまりの良さにパラメータ数に応じた罰則を加えて、この偏りを補正します。
式と計算例
AIC = −2 × 最大対数尤度 + 2 × パラメータ数
第1項は当てはまりの悪さを表し、最尤法で求めた対数尤度が大きいほど小さくなります。第2項は複雑さへの罰則です。候補ごとにAICを計算し、最も小さいモデルを選びます。
たとえば、モデルAは最大対数尤度が−100でパラメータが2個、モデルBは−98で5個だとします。AのAICは200+4=204、Bは196+10=206です。Bのほうが当てはまりは良いものの、改善の幅が罰則の増え方に見合わないため、Aを選びます。
考え方の背景
AICは予測の視点から導かれています。真のデータの分布とモデルが表す分布とのずれをKL情報量(カルバック・ライブラー情報量)で測り、そのずれの大小を手元のデータから見積もるのがAICです。検証用のデータを取り分けなくても、汎化性能の目安が得られます。
使うときの注意
比べられるのは、同じデータに当てはめたモデルどうしだけです。値そのものに絶対的な意味はなく、候補の間の差で判断します。また、尤度を計算できるモデルであることが前提です。データ数が8以上あれば、罰則にデータ数を含むBICのほうが罰則は重く、より単純なモデルが選ばれやすくなります。
覚え方
「当てはまりの悪さ+2×パラメータ数。小さいほど良い」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
「−2×最大対数尤度+2×パラメータ数」という式の意味と読み方、BICとの罰則の違い、過学習やオッカムの剃刀との関係が、正誤の判断や数値を与えた計算の形で問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 赤池情報量規準(AIC)このページの用語 | モデルのデータへの当てはまりの良さとパラメータ数の多さを1つの値にまとめ、候補のモデルを比べて選ぶための指標 |
| ベイズ情報量規準(BIC) | モデルの当てはまりの良さに、パラメータ数とデータ数に応じた罰則を加えて、候補のモデルを比べるための指標 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
AICで比べることができるのは、同じデータに当てはめたモデルどうしに限られる。
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答え ◯ 正しい
AICの値は、使ったデータの件数や中身によって変わります。別々のデータに当てはめたモデルのAICを並べても、大小に意味はありません。
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あるモデルのAICの値が100だと分かれば、ほかの候補と比べなくても、そのモデルの予測性能が十分に高いかどうかを判断できる。
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答え × 誤り
AICは候補どうしを比べるための相対的な物差しです。値の絶対的な大きさだけでは、良し悪しは判断できません。
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パラメータを1つ増やしたとき、最大対数尤度が0.5しか増えなければ、AICの値は大きくなる。
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答え ◯ 正しい
第1項は−2×0.5=−1で1だけ下がりますが、罰則は2×1=2増えます。差し引きでAICは1増えるため、パラメータを増やさないほうが良いと判断します。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目10 モデルの選択・評価)
- Hirotugu Akaike, A new look at the statistical model identification, IEEE Transactions on Automatic Control 19(6), 716–723 (1974)
- 北川源四郎「赤池弘次会員の京都賞受賞に寄せて」(日本数学会『数学通信』)
- Gideon Schwarz, Estimating the Dimension of a Model, The Annals of Statistics 6(2), 461–464 (1978)
- Christopher M. Bishop, Pattern Recognition and Machine Learning, Springer (2006) (1.3 Model Selection)