1行定義
最尤法とは、手元のデータが得られる確率(尤度)が最も大きくなるように、確率モデルのパラメータを決める推定方法のことです。
くわしく
最尤法は、観測したデータをもとに、確率モデルのパラメータ(分布の形を決める値)を推定する方法です。最尤推定とも呼ばれます。「尤」は「もっともらしい」という意味で、「最ももっともらしい値を選ぶ方法」を表します。統計学者のフィッシャーが、1922年の論文などで理論を整えました。
尤度とは
尤度は、「あるパラメータの値を仮定したとき、手元のデータが得られる確率」を、パラメータの関数として見たものです。
たとえば、表の出る確率pがわからないコインを10回投げ、表が7回出たとします。p = 0.5と仮定すると、この結果が出る確率は約0.12です。p = 0.7と仮定すると、約0.27に上がります。最尤法では、この値が最も大きくなるpを推定値に選びます。この例ではp = 0.7です。
尤度は「パラメータが正しい確率」ではありません。データを固定し、パラメータの候補どうしを比べるための値です。
計算の工夫
データが互いに独立なら、尤度は各データの確率の掛け算になります。掛け算を続けると値が極端に小さくなり、計算機で扱いにくくなります。そこで、対数をとった対数尤度を使います。対数をとっても最大になる場所は変わらず、掛け算が足し算になります。
機械学習とのつながり
機械学習の誤差関数の多くは、最尤法から導けます。回帰で誤差が正規分布に従うと仮定すると、対数尤度の最大化は二乗誤差の最小化と同じになり、最小二乗法と一致します。分類でモデルの出力を確率とみなすと、対数尤度の最大化は交差エントロピーの最小化と同じになります。
データが少ないと、最尤法は手元のデータに合わせすぎることがあります。たとえばコインを3回投げて3回とも表なら、推定値はp = 1です。事前の知識を加えるMAP推定やベイズ推定で、この弱点を補う方法があります。
覚え方
「データが一番出やすくなる設定を選ぶ」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
尤度の意味、確率の積である尤度を対数に直して扱う理由、最小二乗法や交差エントロピーとの関係、帰無仮説など仮説検定の用語との区別が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 最尤法このページの用語 | 手元のデータが得られる確率(尤度)が最も大きくなるように、確率モデルのパラメータを決める推定方法 |
| 最小二乗法 | 実測値とモデルによる予測値の差(残差)の2乗の和が最も小さくなるように、モデルのパラメータを決める方法 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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あるWebページの訪問者200人のうち30人が商品を購入した。購入するかどうかをベルヌーイ分布で表すと、最尤法による購入確率の推定値は0.15である。
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答え ◯ 正しい
尤度p^30 × (1 − p)^170を最大にするpを求めると、購入した人の割合30 / 200 = 0.15と一致します。
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尤度は、パラメータの値が正しい確率を表すので、すべてのパラメータ候補について足し合わせると1になる。
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答え × 誤り
尤度は、あるパラメータのもとでデータが得られる確率を、パラメータの関数とみたものです。パラメータについて足し合わせても1になるとは限りません。
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誤差が互いに独立に、平均0・分散一定の正規分布に従うと仮定した線形回帰モデルでは、最尤法で係数を推定すると、最小二乗法と同じ結果になる。
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答え ◯ 正しい
この仮定のもとでは、対数尤度を最大にすることが、残差の2乗の和を最小にすることと同じ式になるためです。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- R. A. Fisher, On the Mathematical Foundations of Theoretical Statistics, Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series A 222, 309–368 (1922)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (5.5 Maximum Likelihood Estimation)