1行定義
最小二乗法とは、実測値とモデルによる予測値の差(残差)の2乗の和が最も小さくなるように、モデルのパラメータを決める方法のことです。
くわしく
最小二乗法は、データに最もよく当てはまるモデルのパラメータを求める方法です。19世紀の初めに、ルジャンドル(1805年)とガウス(1809年)が、天体の軌道の計算に関連して発表しました。
考え方
点の集まりに直線y = ax + bを引く場面を考えます。各点の実測値と、直線上の予測値との差を残差といいます。最小二乗法では、残差を2乗して足し合わせた値(残差平方和)が最も小さくなるように、aとbを決めます。
2乗するのは、プラスとマイナスの残差が打ち消し合わないようにするためです。また、2乗の和は滑らかな関数なので、微分して0になる条件から、解を式で求められます。単回帰では、傾きは「xとyの偏差の積の和 ÷ xの偏差の2乗の和」になり、直線は必ずデータの平均の点を通ります。
機械学習との関係
- 線形回帰:単回帰でも重回帰でも、係数は最小二乗法で求めるのが基本です。
- 平均二乗誤差(MSE):残差平方和をデータの個数で割ったものです。MSEを最小にすることは、最小二乗法と同じ考え方です。
- 最尤法:誤差が互いに独立で、平均0・同じ分散の正規分布に従うと仮定すると、最尤法の答えは最小二乗法と一致します。
弱点
残差を2乗するため、大きく外れた値(外れ値)の影響を強く受けます。外れ値が1つあるだけで、直線が大きく引きずられることがあります。また、重回帰で説明変数どうしの相関が強いと(多重共線性)、係数が不安定になります。これを抑えるのが、係数の大きさに罰則を加えるリッジ回帰やラッソ回帰です。
覚え方
「はみ出しの2乗を、合計で一番小さく」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
残差の2乗の和を最小にするという定義、線形回帰の係数の推定での使われ方、外れ値の影響を受けやすい性質、誤差が正規分布に従う場合に最尤法と一致する関係が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 最小二乗法このページの用語 | 実測値とモデルによる予測値の差(残差)の2乗の和が最も小さくなるように、モデルのパラメータを決める方法 |
| 最尤法 | 手元のデータが得られる確率(尤度)が最も大きくなるように、確率モデルのパラメータを決める推定方法 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
最小二乗法で残差をそのまま足し合わせずに2乗するのは、正の残差と負の残差が打ち消し合わないようにするためである。
答えを見る
答え ◯ 正しい
そのまま足すと、大きく外れた点があっても合計が0に近くなることがあります。2乗すると符号が消え、微分もしやすくなります。
-
最小二乗法は残差を2乗して扱うため、大きく外れた値(外れ値)があっても、推定結果はほとんど影響を受けない。
答えを見る
答え × 誤り
2乗するため、大きな残差ほど強く効きます。外れ値に引きずられやすいので、外れ値を確認するか、外れ値に強い別の方法を検討します。
-
3つの点(1, 1)、(2, 3)、(3, 2)に直線y = ax + bを最小二乗法で当てはめると、a = 0.5、b = 1となる。
答えを見る
答え ◯ 正しい
傾きは、xとyの偏差の積の和1を、xの偏差の2乗の和2で割って0.5です。直線は平均の点(2, 2)を通るので、b = 2 − 0.5 × 2 = 1です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods (4.4.3.1 Least Squares)