1行定義
ベイズの定理とは、P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B)の式で条件付き確率の向きを入れ替え、観測した結果から原因の確率を求める定理のことです。
くわしく
ベイズの定理は、「原因があるときに結果が起きる確率」から、「結果が起きたときに、その原因があった確率」を求める定理です。18世紀イギリスの牧師トーマス・ベイズにちなんで名づけられ、その論文は死後の1763年に発表されました。ベイズが示したのは特別な場合で、現在の一般的な形はラプラスが独立に導きました。
式と用語
P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B)
Aを仮説(原因)、Bを観測したデータ(結果)とすると、各項は次のように呼ばれます。
P(A):事前確率。データを見る前の、仮説の確からしさ。P(B|A):尤度。仮説が正しいときに、そのデータが得られる確率。P(A|B):事後確率。データを見たあとの、仮説の確からしさ。P(B):そのデータが得られる確率。考えられるすべての仮説について、尤度と事前確率の積を足して求めます。
事前の見込みを、データの起こりやすさで更新する仕組みです。式は、条件付き確率の定義からP(A∩B) = P(A|B) × P(B) = P(B|A) × P(A)として導けます。
計算例
全メールの20%が迷惑メールで、「無料」という語が迷惑メールの50%、通常のメールの5%に含まれるとします。1,000通で考えると、迷惑メール200通のうち100通、通常のメール800通のうち40通が「無料」を含みます。「無料」を含むメールが迷惑メールである確率は100 / (100 + 40) = 5/7、約71%です。式に当てはめても0.5 × 0.2 / (0.5 × 0.2 + 0.05 × 0.8) = 0.1 / 0.14で、同じ値になります。
迷惑メールが「無料」を含む確率(50%)と、「無料」を含むメールが迷惑メールである確率(約71%)は、条件の向きが逆の、別の値です。
AIでの使われ方
ナイーブベイズ分類器は、クラスが決まったもとで特徴量どうしを独立とみなし、ベイズの定理で各クラスの確率を計算します。迷惑メールの判定や文書分類で使われてきました。初期の統計的機械翻訳も、翻訳モデルと言語モデルの確率の積が最大になる訳文を選ぶ点で、この定理にもとづいています。
覚え方
「事後は、尤度と事前の掛け算に比例する」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
シラバスのキーワードではありませんが、条件付き確率の計算の土台として登場します。判定結果から実際に該当する確率を求める逆向きの計算、事前確率・尤度・事後確率の区別、ナイーブベイズでの使われ方が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ベイズの定理このページの用語 | P(A|B) = P(B|A) × P(A) / P(B)の式で条件付き確率の向きを入れ替え、観測した結果から原因の確率を求める定理 |
| 条件付き確率 | ある出来事Bが起きたとわかっているときに、別の出来事Aが起きる確率P(A|B) |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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ベイズの定理では、データBを観測したあとの仮説Aの確率P(A|B)を事後確率、観測する前の確率P(A)を事前確率と呼ぶ。
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答え ◯ 正しい
データを得る前の見込み(事前確率)を、データの起こりやすさ(尤度)で更新したものが事後確率です。
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全メールの10%が迷惑メールで、「当選」という語が迷惑メールの60%、通常のメールの10%に含まれるとき、「当選」を含むメールが迷惑メールである確率は40%である。
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答え ◯ 正しい
迷惑メールで「当選」を含むのは全体の0.1 × 0.6 = 0.06、通常のメールで含むのは0.9 × 0.1 = 0.09です。0.06 / (0.06 + 0.09) = 0.4となります。
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ナイーブベイズ分類器の「ナイーブ」は、特徴量どうしの相関をすべて考慮して確率を計算することを指す。
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答え × 誤り
逆です。クラスが決まったもとで、特徴量どうしを互いに独立とみなす単純な仮定を指します。この仮定で計算が簡単になります。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- Thomas Bayes, An Essay towards Solving a Problem in the Doctrine of Chances, Philosophical Transactions of the Royal Society of London 53, 370–418 (1763)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.11 Bayes' Rule)
- scikit-learn User Guide, 1.9. Naive Bayes