1行定義
ポアソン分布とは、一定の時間や範囲の中で、まれな出来事がランダムに起きる回数が従う離散型の確率分布で、平均回数λだけで形が決まるもののことです。
くわしく
ポアソン分布は、「めったに起きない出来事が、一定の時間や範囲の中で何回起きるか」を表す確率分布です。1日に起きるシステム障害の回数、1ページあたりの誤字の数、ある交差点で1か月に起きる事故の件数などが例です。フランスの数学者ポアソンにちなんで名づけられました。
式と性質
出来事が互いに独立に、一定の平均頻度で起きるとします。一定の時間や範囲での平均回数をλとすると、ちょうどk回起きる確率は次の式で表せます。
P(X = k) = λ^k × e^(−λ) / (kの階乗)
kの階乗は1からkまでの整数の積で、0の階乗は1とします。kは0、1、2…と0以上の整数をとり、上限はありません。期待値と分散がどちらもλになるのが特徴で、分布の形はλだけで決まります。λが小さいと0の近くに山が寄り、右に裾を引く形になります。λが大きくなるほど、左右対称に近づきます。
計算例
あるサービスで、不正アクセスの警報が1日に平均1件鳴るとします(λ = 1)。e^(−1)を0.368とすると、1^k = 1なので、k件の確率は0.368 / (kの階乗)です。
- 0件の確率:
0.368 / 1 = 0.368 - 1件の確率:
0.368 / 1 = 0.368 - 2件の確率:
0.368 / 2 = 0.184
3つの合計は0.920なので、3件以上鳴る確率は1 − 0.920 = 0.080です。平均1件でも、100日のうち8日ほどは3件以上鳴ることになります。回数の分布がわかると、「この件数は偶然の範囲か、異常か」を判断する目安になります。
二項分布との関係
試行回数nが大きく、成功確率pが小さい二項分布は、λ = npのポアソン分布で近似できます。たとえば、1日に1,000回のログインがあり、それぞれが0.1%の確率で失敗するなら、失敗の回数はλ = 1のポアソン分布で近似できます。nとpを別々に知らなくても、平均回数λさえわかれば使えるのが利点です。
覚え方
「まれな出来事の回数は、λひとつで決まる」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
単位時間あたりの件数のように0以上の整数をとる回数を表す分布であること、期待値と分散がどちらもλになる性質、平均回数λを使った確率の計算、二項分布との関係が問われます。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
ポアソン分布では、期待値と分散がどちらも平均回数λに等しい。
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答え ◯ 正しい
平均とばらつきが同じλで決まるのが特徴です。たとえばλ = 4なら、分散は4、標準偏差は2になります。
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試行回数nが大きく、成功確率pが小さい二項分布は、λ = npのポアソン分布で近似できる。
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答え ◯ 正しい
たとえばn = 1,000、p = 0.002の二項分布は、λ = 2のポアソン分布でよく近似できます。まれな出来事の回数をポアソン分布で表せる理由です。
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ポアソン分布は、平均回数λの値にかかわらず、平均を中心に左右対称な形になる。
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答え × 誤り
λが小さいと0の近くに山が寄り、右に裾を引く形になります。λが大きくなるほど左右対称に近づき、正規分布で近似できるようになります。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods (1.3.6.6.19 Poisson Distribution)
- Charles M. Grinstead, J. Laurie Snell, Introduction to Probability, 2nd ed., American Mathematical Society (1997) (5.1 Important Distributions(Poisson Distribution)、6.2 Variance of Discrete Random Variables)