1行定義
二項分布とは、成功確率が一定で互いに独立な試行をn回くり返したとき、成功する回数が従う離散型の確率分布のことです。
くわしく
二項分布は、「同じことを何回かくり返したとき、うまくいくのは何回か」を表す確率分布です。成功か失敗かの2通りの試行を、同じ成功確率pで、互いに影響しないようにn回くり返す場面を考えます。このときの成功回数Xが従う分布をB(n, p)と書きます。
確率の求め方
ちょうどk回成功する確率は、次の式で求めます。
P(X = k) = nCk × p^k × (1 − p)^(n − k)
p^k × (1 − p)^(n − k)は、成功と失敗の並び方を1つ決めたときの確率です。nCkは、n回のうちどのk回で成功するかの組み合わせの数です。
たとえば、購入率0.3のサイトに4人が訪れ、各人が独立に買うかどうかを決めるとします。4C2 = 6なので、ちょうど2人が買う確率は6 × 0.3² × 0.7² = 6 × 0.09 × 0.49 = 0.2646、約26%です。
平均と分散
期待値はnp、分散はnp(1 − p)です。上の例では、期待値は4 × 0.3 = 1.2人、分散は4 × 0.3 × 0.7 = 0.84です。
AIの評価にも使えます。どのデータも確率0.9で正しく判定し、当たり外れが互いに独立とみなせるモデルで、テストデータ100件を判定するとします。正解数はB(100, 0.9)に従い、期待値は90件、標準偏差は√(100 × 0.9 × 0.1) = √9 = 3件です。正解数が87件や93件になることも、偶然のぶれとして十分に起こりえます。テストの件数が少ないときに、正解率のわずかな差を性能の差と決めつけないための目安になります。
ほかの分布との関係
n = 1の二項分布は、ベルヌーイ分布です。nが大きく、pが小さいときは、λ = npのポアソン分布で近似できます。nが大きく、npとn(1 − p)がどちらも十分に大きいときは、正規分布で近似できます。
覚え方
「n回中k回、並べ方はnCk通り」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
「ちょうどk回成功する確率」をnCk × p^k × (1 − p)^(n − k)で求める計算、期待値npと分散np(1 − p)、ベルヌーイ分布・ポアソン分布・正規分布との関係が問われます。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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成功確率0.2の試行を互いに独立に10回くり返したとき、成功回数の期待値は2回である。
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答え ◯ 正しい
二項分布の期待値はnpなので、10 × 0.2 = 2回です。分散はnp(1 − p) = 10 × 0.2 × 0.8 = 1.6です。
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二項分布では、試行ごとに成功確率が変わってもかまわない。
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答え × 誤り
二項分布は、どの回も成功確率pが同じで、各回が互いに独立であることを前提にしています。回ごとに成功確率が変わる場合、成功回数は二項分布に従いません。
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試行回数nが1の二項分布は、ベルヌーイ分布と同じである。
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答え ◯ 正しい
1回だけの試行では、成功回数は0か1です。確率pで1、確率1 − pで0をとるので、ベルヌーイ分布そのものです。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods (1.3.6.6.18 Binomial Distribution)
- Charles M. Grinstead, J. Laurie Snell, Introduction to Probability, 2nd ed., American Mathematical Society (1997) (3.2 Combinations(Binomial Distributions)、5.1 Important Distributions、6.2 Variance of Discrete Random Variables)