1行定義
期待値とは、確率変数がとりうる値を、それぞれが起こる確率で重みづけして平均した値で、くり返したときの平均的な結果を表すもののことです。
くわしく
期待値は、同じことを何度もくり返したときに、1回あたり平均でどのくらいの結果になるかを表す値です。確率変数Xの期待値はE[X]と書き、平均を表すμで書くこともあります。
求め方
離散型では、とりうる値に、その値が出る確率をかけて足し合わせます。式では E[X] = Σ x × P(X = x) です。連続型では、値に確率密度をかけて、全範囲で積分します。
計算例
1回300円で引けるくじで、1,000円が当たる確率が0.2、100円が当たる確率が0.3、はずれが0.5だとします。もらえる金額の期待値は、1,000 × 0.2 + 100 × 0.3 + 0 × 0.5 = 200 + 30 + 0 = 230円です。1回に300円を払うので、くり返すと1回あたり平均70円の損になると見込めます。
公正なサイコロの目の期待値は、(1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6) × 1/6 = 21/6 = 3.5です。3.5の目は存在しないので、期待値は実際に出る値とは限りません。
平均値・最頻値との違い
データの平均値は、実際に集めた値から計算します。期待値は、確率分布から決まる理論上の値です。同じ試行を独立にくり返す回数を増やすと、結果の平均は期待値に近づいていきます。これを大数の法則と呼びます。また、最も起こりやすい値(最頻値)と期待値は、一般には一致しません。
ばらつきを表す分散も、期待値を使って定義されます。平均からのずれの2乗の期待値、E[(X − μ)²] が分散です。
AIとの関係
- 強化学習:状態価値関数や行動価値関数は、将来の報酬を割り引いて足し合わせた収益の期待値です。エージェントは、この期待値が大きくなる方策を探します。
- 損失関数:学習で本当に小さくしたいのは、まだ見ぬデータも含めた損失の期待値です。手元のデータでの損失の平均は、その近似にあたります。
- 意思決定:起こりうる結果ごとの確率と費用をかけ合わせて期待損失を計算し、対策どうしを比べます。
G検定での出題
出題のされ方
値と確率の積の和として期待値を求める計算と、それを使った施策の比較、強化学習の価値関数が収益の期待値として定義されることとの関係が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 期待値このページの用語 | 確率変数がとりうる値を、それぞれが起こる確率で重みづけして平均した値で、くり返したときの平均的な結果を表すもの |
| 代表値(平均値・中央値・最頻値) | データの分布の中心がどのあたりにあるかを、1つの数で要約して表す値 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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1,000円が当たる確率が0.1で、それ以外ははずれ(0円)のくじでは、もらえる金額の期待値は100円である。
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答え ◯ 正しい
1,000 × 0.1 + 0 × 0.9 = 100円です。1回100円より高い料金で引くと、くり返したときに平均では損になります。
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期待値は、確率変数が実際にとりうる値のどれかに必ず一致する。
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答え × 誤り
公正なサイコロの目の期待値は3.5ですが、3.5の目はありません。期待値は値を確率で重みづけした平均なので、とりうる値と一致するとは限りません。
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同じ条件の試行を独立にくり返す回数を増やしていくと、得られた結果の平均は、その確率変数の期待値に近づいていく。
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答え ◯ 正しい
大数の法則と呼ばれる性質です。期待値は1回ごとの結果を言い当てるものではなく、長くくり返したときの平均を表します。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- Barbara Illowsky, Susan Dean, Introductory Statistics 2e, OpenStax (4.2 Mean or Expected Value and Standard Deviation)