1行定義
共分散とは、2つの変数がそれぞれの平均からどちらの向きにずれるかが、どの程度そろっているかを表す値のことです。
くわしく
共分散は、2つの変数が「一緒に増えるか、逆向きに動くか」を表す値です。相関係数を求める途中で使う、基本の量です。
求め方
データがn組あるとき、各データで「xの平均からのずれ」と「yの平均からのずれ」を掛け、その平均をとります。
Cov(x, y) = (1/n) × Σ (xi − xの平均) × (yi − yの平均)
両方が平均より大きいデータや、両方が平均より小さいデータでは、積が正になります。片方だけが平均より大きいデータでは、積が負になります。そのため、共分散が正なら同じ向きに動く傾向、負なら逆向きに動く傾向があると読めます。0なら、直線的な関係は見られないことを表します。ただし、値の大小は単位に左右されるため、0に近いかどうかを共分散だけで判断することはできません。標本から母集団の値を推定するときは、nの代わりにn − 1で割ることもあります。
計算例
x = (1, 2, 3)、y = (1, 3, 5)とします。平均からのずれは、xが(−1, 0, 1)、yが(−2, 0, 2)です。積の合計は2 + 0 + 2 = 4なので、nで割ると共分散は4/3 ≒ 1.33です。
相関係数との違い
共分散の大きさは、データの単位に左右されます。身長をメートルからセンチメートルに直すと、身長と体重の共分散は100倍になります。そのため、共分散の大きさだけでは関係の強さを比べられません。それぞれの標準偏差で割り、−1から1にそろえたものが相関係数です。
分散との関係と使われ方
変数とそれ自身との共分散は、その変数の分散に一致します。複数の変数の分散と共分散を並べた行列を、分散共分散行列といいます。主成分分析では、この行列から、データのばらつきが大きい方向を求めます。マハラノビス距離では、この行列を使い、ばらつきや相関を考慮した距離を測ります。
覚え方
「ずれの掛け算の平均。符号は向き、大きさは単位しだい」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
共分散の符号の読み方、単位で値が変わるため標準偏差で割って相関係数にする関係、分散との関係が問われます。主成分分析やマハラノビス距離の前提としても出てきます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 共分散このページの用語 | 2つの変数がそれぞれの平均からどちらの向きにずれるかが、どの程度そろっているかを表す値 |
| 相関係数 | 2つの変数の間にある直線的な関係の強さと向きを、−1から1までの値で表す指標 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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身長の単位をセンチメートルからメートルに変えると、身長と体重の共分散の値は変わるが、相関係数の値は変わらない。
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答え ◯ 正しい
共分散は単位に左右されます。相関係数は、共分散をそれぞれの標準偏差で割って単位の影響を消した値なので変わりません。
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共分散は、相関係数と同じく、必ず−1から1の範囲の値をとる。
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答え × 誤り
共分散には決まった範囲がなく、データの単位や大きさによっていくらでも大きくなります。−1から1に収まるのは相関係数です。
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ある変数とその変数自身との共分散は、その変数の分散に等しい。
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答え ◯ 正しい
式のyにxを入れると、平均からのずれの2乗の平均になります。これは分散の定義そのものです。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目37 AIに必要な数理・統計知識)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.8 Expectation, Variance and Covariance)