1行定義
交差エントロピーとは、モデルが予測した確率分布が正解の分布とどれだけ合っていないかを表す値で、分類問題の誤差関数として広く使われるもののことです。
くわしく
交差エントロピーは、分類モデルの「答えの外れ具合」を数値にしたものです。情報理論から生まれた量で、分類問題の誤差関数として最もよく使われます。交差エントロピー誤差とも呼ばれます。
式と意味
正解の分布をp、予測の分布をqとすると、H(p, q) = −Σ p(x) log q(x)です。分類問題では、正解ラベルを、正解クラスだけが1で残りが0のone-hotベクトルで表します。すると、和の中で残るのは正解クラスの項だけになり、−log(正解クラスの予測確率)になります。
たとえば正解が「猫」で、モデルが猫の確率を0.9と予測したら、値は−log 0.9 ≈ 0.11です。0.1と予測したら−log 0.1 ≈ 2.30になります(自然対数の場合)。正解に高い確率を付けるほど0に近づき、自信をもって外すほど急に大きくなります。
組み合わせる活性化関数
多クラス分類では、出力層のソフトマックス関数と組み合わせます。2値分類では、シグモイド関数の出力qと正解y(0か1)から−{y log q + (1 − y) log(1 − q)}を計算します。これを2値交差エントロピーと呼びます。どちらの組み合わせでも、出力層で活性化関数に入る前の値についての勾配が「予測 − 正解」という単純な形になり、学習が進みやすくなります。
回帰問題では、通常は平均二乗誤差関数を使います。
他の概念との関係
交差エントロピーを最小にすることは、モデルの尤度を最大にする最尤推定と同じ意味です。また、交差エントロピーは「正解の分布自身のエントロピー」と「KL情報量」の和に分けられます。正解の分布は学習中に変わらないので、交差エントロピーの最小化は、KL情報量の最小化と同じ意味になります。
覚え方
「正解に付けた確率の対数に、マイナスを付ける」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
正解クラスの予測確率が小さいほど値が大きくなる性質、ソフトマックス関数・シグモイド関数との組み合わせ、平均二乗誤差関数との使い分け、KL情報量や最尤推定との関係が問われます。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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正解ラベルをone-hotベクトルで表した多クラス分類では、交差エントロピーは、正解クラスの予測確率の対数にマイナスを付けた値になる。
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答え ◯ 正しい
one-hotベクトルでは正解以外のクラスの値が0なので、和の中で正解クラスの項だけが残ります。
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交差エントロピーを最小にする学習は、モデルの尤度を最大にする最尤推定と同じ意味をもつ。
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答え ◯ 正しい
データ全体の交差エントロピーは、正解に付けた確率の対数の平均にマイナスを付けたもので、負の対数尤度にあたります。
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予測が完全に当たり、正解クラスの予測確率が1になっても、交差エントロピーは0にはならない。
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答え × 誤り
−log 1 = 0なので、正解に確率1を付けたデータの交差エントロピーは0です。これが最小値です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目13 誤差関数)
- C. E. Shannon, A Mathematical Theory of Communication, Bell System Technical Journal 27(3), 379–423 (1948)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.13 Information Theory, 6.2 Gradient-Based Learning)