要点まとめ・第4章 ディープラーニングの概要
誤差関数(シラバス 技術13)
学習目標
予測と正解のずれを1つの数値で表す誤差関数が学習の目標になることを理解し、回帰・分類・確率分布の比較・距離学習という目的に応じて、どの誤差関数を使い、それぞれが何を小さくしようとしているかを説明できるようにします。
要点
誤差関数の役割
誤差関数は、モデルの出力が正解からどれだけずれているかを1つの数値で表す関数です。損失関数とも呼びます。学習は、この値が小さくなるように重みを調整する作業です。
平均二乗誤差関数(回帰)
予測値と正解の差を2乗して平均します。数値を当てる回帰問題の基本です。
例:正解が10と20のデータを12と17と予測すると、差は2と−3なので、(4 + 9) ÷ 2 = 6.5です。
大きな外れほど強く罰するため、外れ値の影響を受けやすくなります。
交差エントロピー(分類)
分類問題では、各クラスの確率を出力し、交差エントロピーで評価します。正解をone-hotベクトル(正解クラスだけ1、他は0)で表すと、値は−log(正解クラスに付けた確率)になります。正解の「猫」に0.9を付ければ約0.11、0.1しか付けなければ約2.30です(自然対数の場合)。自信をもって外すほど、大きく罰する仕組みです。
多クラス分類ではソフトマックス関数、2値分類ではシグモイド関数と組み合わせます。
カルバック・ライブラー情報量(KL)
2つの確率分布がどれだけ違うかを表す量で、KLダイバージェンスとも呼ばれます。
- 分布が一致すれば0、違うほど大きくなり、負になることはありません。
- 2つの分布を入れ替えると、一般に値が変わります。そのため「距離」ではなく、ずれの目安として扱います。
- 交差エントロピーは「正解の分布のエントロピー+KL情報量」に分けられます。正解の分布は学習中に変わらないので、交差エントロピーを小さくすることは、KL情報量を小さくすることと同じ意味になります。
VAEでエンコーダが出力する潜在変数の分布を標準正規分布に近づける項や、大きなモデルの出力の分布を小さなモデルにまねさせる知識蒸留で使われます。
距離学習の誤差関数
顔認証や類似画像の検索では、クラスを当てるよりも「似ているものを近く、違うものを遠くに置く」特徴の空間が必要になります。これを学ぶのが距離学習で、次の誤差関数を使います。
- Contrastive Loss:2つのデータの組(ペア)を入力します。同じクラス(同じ人物など)のペアなら特徴の距離を縮め、違うクラスのペアなら距離があらかじめ決めた幅(マージン)以上になるまで遠ざけます。
- Triplet Loss:基準(アンカー)、同じクラスのデータ(ポジティブ)、違うクラスのデータ(ネガティブ)の3つ組を入力します。アンカーとネガティブの距離が、アンカーとポジティブの距離よりマージン以上大きくなるように学習します。顔認証のFaceNetで使われました。
選び方の整理
| 目的 | 誤差関数 | 例 |
|---|---|---|
| 数値を当てる(回帰) | 平均二乗誤差関数 | 売上の予測 |
| クラスを当てる(分類) | 交差エントロピー | 画像の分類 |
| 分布を近づける | KL情報量 | VAE、知識蒸留 |
| 似ているかを測る | Contrastive Loss、Triplet Loss | 顔認証、類似画像の検索 |
つまずきやすい点
- 回帰問題には平均二乗誤差関数、分類問題には交差エントロピーを使うのが基本で、出力層の活性化関数(恒等関数、シグモイド関数、ソフトマックス関数)と組にして覚える点
- KL情報量は2つの分布の違いを表すが、分布を入れ替えると一般に値が変わる非対称な量であり、数学でいう距離ではない点
- Contrastive Lossは2つのデータの組(ペア)、Triplet Lossは基準・同類・異類の3つ組を単位に学習する点
- 平均二乗誤差関数は差を2乗するため、大きく外れたデータ(外れ値)の影響を強く受ける点
シラバスのキーワード
シラバス第1.4版に載っている語をすべて並べています。色のついた語は用語集で解説しています。「2問」などの数字は、その語を扱う練習問題の数です。
練習問題
- #0038 交差エントロピーとKL情報量 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0039 顔照合に使う距離学習の損失 難易度 応用・単一選択 未回答 付箋
- #0166 分類で交差エントロピーを使う理由 難易度 応用・単一選択 未回答 付箋
- #0355 Triplet Lossの値の計算 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0356 正解以外の確率と損失の関係 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
- #0357 KL情報量による分布の監視 難易度 標準・単一選択 未回答 付箋
復習の時期が来た問題と、まだ解いていない問題から順に出題します。
混同しやすい用語
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出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目13 誤差関数)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.13 Information Theory, 6.2 Gradient-Based Learning)
- S. Kullback, R. A. Leibler, On Information and Sufficiency, The Annals of Mathematical Statistics 22(1), 79–86 (1951)
- Raia Hadsell, Sumit Chopra, Yann LeCun, Dimensionality Reduction by Learning an Invariant Mapping, CVPR 2006
- Florian Schroff, Dmitry Kalenichenko, James Philbin, FaceNet: A Unified Embedding for Face Recognition and Clustering (2015)
- Diederik P. Kingma, Max Welling, Auto-Encoding Variational Bayes (2013)
- Geoffrey Hinton, Oriol Vinyals, Jeff Dean, Distilling the Knowledge in a Neural Network (2015)