1行定義
KL情報量とは、ある確率分布を基準にしたとき、別の確率分布がどれだけ異なるかを表す、0以上の値をとる量のことです。
くわしく
KL情報量(カルバック・ライブラー情報量)は、2つの確率分布がどれだけ違うかを1つの数値で表す量です。KLダイバージェンスとも呼ばれます。1951年にカルバックとライブラーが論文で示しました。
式と意味
基準となる分布をP、比べる分布をQとすると、KL(P || Q) = Σ P(x) log(P(x) / Q(x))です。P(x)とQ(x)の比の対数を、Pの確率で重み付けして平均したものです。
たとえば、あるサイコロの実際の出目の分布をP、「どの目も6分の1」という分布をQとします。サイコロに偏りがなければPとQは一致し、KL情報量は0です。偏りが大きいほど、値は大きくなります。
主な性質
- 常に0以上で、2つの分布が一致するときだけ0になります。
PとQを入れ替えると、一般に値が変わります(非対称)。そのため、数学でいう「距離」の条件を満たしません。「違いの大きさ」の目安として使います。- 交差エントロピー
H(P, Q)とは、H(P, Q) = H(P) + KL(P || Q)の関係にあります。H(P)はP自身のエントロピーです。Pが固定なら、交差エントロピーの最小化とKL情報量の最小化は同じ意味になります。
ディープラーニングでの使われ方
VAEでは、エンコーダが出す潜在変数の分布を、標準正規分布に近づけるための項として、KL情報量を誤差関数に加えます。
大規模言語モデルを人間のフィードバックで調整するRLHFでも使われます。調整中のモデルの出力が元のモデルから離れすぎないように、両者のKL情報量で罰則をかけます。
覚え方
「Pから見たQのずれ。向きを変えると値も変わる」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
2つの確率分布の違いを測る量であること、0以上で分布が一致するときに0となる性質、入れ替えると値が変わる非対称性、交差エントロピーとの関係、VAEでの使われ方が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| KL情報量このページの用語 | ある確率分布を基準にしたとき、別の確率分布がどれだけ異なるかを表す、0以上の値をとる量 |
| 交差エントロピー | モデルが予測した確率分布が正解の分布とどれだけ合っていないかを表す値で、分類問題の誤差関数として広く使われるもの |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
KL情報量は、比べる2つの確率分布が完全に一致するとき0になる。
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答え ◯ 正しい
P(x) = Q(x)ならlog 1 = 0となり、すべての項が0になります。分布が異なると正の値になります。
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KL情報量は負の値をとることがあり、値が小さい(負に大きい)ほど2つの分布はよく似ている。
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答え × 誤り
KL情報量は常に0以上です(ギブスの不等式)。最小値の0をとるのは、2つの分布が一致するときです。
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VAEでは、潜在変数の分布を標準正規分布などの事前分布に近づけるため、KL情報量を誤差関数の一部に加える。
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答え ◯ 正しい
再構成の誤差とKL情報量の和を小さくするように学習します。KLの項は、潜在空間を整える正則化の役割をもちます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目13 誤差関数)
- S. Kullback, R. A. Leibler, On Information and Sufficiency, The Annals of Mathematical Statistics 22(1), 79–86 (1951)
- Diederik P. Kingma, Max Welling, Auto-Encoding Variational Bayes (2013)
- Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, Deep Learning, MIT Press (2016) (3.13 Information Theory)