結論
決定木は、条件による分岐を1本の木にまとめて予測するモデルで、根拠を読み取りやすい一方、過学習しやすく、学習データが少し変わるだけで木の形が大きく変わります。ランダムフォレストは、データと特徴量を無作為に選んで作った多数の決定木の予測を多数決や平均でまとめる手法で、精度と安定性が高まる代わりに、根拠は読み取りにくくなります。
比較表
| 観点 | 決定木 | ランダムフォレスト |
|---|---|---|
| 英語 | decision tree | random forest |
| モデルの構成 | 1本の木 | 多数の決定木(森) |
| 学習に使うデータ | 学習データ全体で1本の木を作る | 木ごとに、ブートストラップサンプリングで学習データを作り直す |
| 分岐の候補にする特徴量 | 分岐のたびに、すべての特徴量から最もよい分け方を選ぶ | 分岐のたびに、無作為に選んだ一部の特徴量から選ぶ |
| 予測の出し方 | たどり着いた葉の値(分類は葉で最も多いクラス、回帰は葉に入ったデータの平均) | 各木の予測の多数決(分類)または平均(回帰) |
| 木の深さ | 過学習を防ぐため、深さの上限や剪定で抑える | 各木は深く育てることが多く、ばらつきは平均で打ち消す |
| 過学習と安定性 | 過学習しやすく、データが少し変わると木の形が大きく変わる | 予測のばらつき(バリアンス)が減り、過学習しにくい |
| 解釈のしやすさ | 分岐の条件をたどれば、予測の根拠をそのまま読める | 木が多く、根拠をそのまま読むのは難しい。特徴量の重要度で傾向をつかむ |
| 位置づけ | 単独で使うほか、アンサンブル学習の部品になる | バギングに、特徴量の無作為な選択を加えたアンサンブル学習 |
| G検定での問われ方 | 分岐を選ぶ基準(不純度)、根拠を説明しやすい点、深くしたときの過学習と剪定が問われる | バギングとの関係、2つの無作為さの役割、ブースティングとの違い、OOBデータや特徴量の重要度が問われる |
| シラバス項目 | 技術分野 項目7 教師あり学習 | 技術分野 項目7 教師あり学習 |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
決定木
決定木は、「年齢が40歳以上か」のような条件でデータを次々に分け、最後にたどり着いた葉で予測を出すモデルです。分類なら葉に入った学習データで最も多いクラスを、回帰ならその平均を出力します。分け方は、分けたあとのグループができるだけ同じクラスでそろうように、ジニ不純度などの指標で選びます。
長所は、予測の根拠を「この条件とこの条件を満たしたから」と人が読める形で示せることです。短所は、木を深くすると学習データの細かい違いまで覚え込んで過学習しやすく、学習データが少し変わるだけで木の形が大きく変わることです。深さの上限を決めたり、剪定したりして抑えます。
ランダムフォレスト
ランダムフォレストは、2001年にブレイマンが論文で体系化した、多数の決定木を組み合わせる手法です。木ごとにブートストラップサンプリングで学習データを作り直し、さらに分岐のたびに特徴量の候補を無作為に絞ります。こうして性質が少しずつ異なる木を作り、分類なら多数決、回帰なら平均で予測をまとめます。
1本1本の木はぶれやすくても、互いに似ていない木の予測を平均すると、ぶれが打ち消し合います。そのため、各木は深く育てたまま使うのが一般的です。各木は独立に学習できるので、並列に計算することもできます。一方で、数百本の木の判断をたどって根拠を説明するのは現実的ではありません。特徴量の重要度などで、全体の傾向をつかむことになります。
選び方
判断の理由を人に説明する必要がある場面では、1本の決定木が候補になります。説明よりも予測の精度と安定性を優先する場面では、ランダムフォレストが向いています。さらに精度を求める場合は、木を順番に作って前の誤りを補う勾配ブースティングとも比べます。
見分けるコツ
- 「1本の木か、多数の木の多数決か」で見分けます。予測の根拠を条件の並びで示せるのは決定木、ばらつきを平均で抑えて精度を上げるのがランダムフォレストです。
- ランダムフォレストの説明に「前の木の誤りを次の木が補う」とあれば誤りです。ランダムフォレストは木を独立に作るバギング系で、誤りを順に補うのは勾配ブースティングです。
- 無作為にする対象で整理します。木ごとのデータだけを無作為に選ぶのがバギング、分岐ごとの特徴量の候補まで無作為に絞るのがランダムフォレストです。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
ランダムフォレストでは、過学習を防ぐため、深さを浅く制限した決定木を使うことが前提になっている。
答えを見る
答え × 誤り
ブレイマンの方法では、各木を剪定せずに大きく育てます。1本ずつは過学習ぎみでも、多数の木の予測を平均することで、ばらつきが打ち消されるためです。
-
ランダムフォレストで、分岐ごとに候補とする特徴量を全特徴量にすると、決定木をバギングでまとめるだけの手法と同じになる。
答えを見る
答え ◯ 正しい
残る無作為さは、木ごとのブートストラップサンプリングだけになるためです。scikit-learnの解説も、この設定はバギングした決定木と同じだと説明しています。候補を絞るほど木どうしが似にくくなり、平均の効果が大きくなります。
-
決定木を1本だけ使う場合でも、ブートストラップサンプリングで作った学習データで学習すれば、ランダムフォレストと同じ程度に予測のばらつきを抑えられる。
答えを見る
答え × 誤り
ばらつきを抑えるのは、性質の異なる多数の木の予測を平均する仕組みです。1本の木では、抽出したデータが変わるたびに予測がぶれるため、この効果は得られません。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目7 教師あり学習)
- Leo Breiman, Random Forests, Machine Learning 45(1), 5–32 (2001)
- J. R. Quinlan, Induction of Decision Trees, Machine Learning 1(1), 81–106 (1986)
- scikit-learn User Guide, Ensembles: Gradient boosting, random forests, bagging, voting, stacking (Random forests、Parameters(max_featuresとmax_depthの説明))
ほかの違い比較
- アジャイルとウォーターフォールの違い 進め方とAI開発での使い分け
- 赤池情報量規準(AIC)とベイズ情報量規準(BIC)の違い 罰則の重さ
- バギングとブースティングの違い 並列か逐次か、減らす誤差の違い
- バッチ正規化とレイヤー正規化の違い 平均と分散を計算する範囲の違い
- バッチ学習・ミニバッチ学習とオンライン学習の違い 更新回数とぶれ
- BERTとGPTの違い エンコーダとデコーダ、学習課題の違い
- CBOWとスキップグラムの違い 予測の向きと学習の速さ
- 分類問題と回帰問題の違い 出力の形で見分けるコツと評価指標
- CNN・RNNとTransformerの違い 得意なデータと計算の並列性
- 協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングの違い 仕組み
- 共分散と相関係数の違い 式の関係と単位・値の範囲
- データ汚染とAdversarial Attackの違い 学習時か推論時かと対策
- 深さ優先探索と幅優先探索の違い 調べる順番・最短解・メモリ
- 営業秘密と限定提供データの違い 3つの要件と刑事罰の有無
- Faster R-CNNとYOLOの違い 2段階型と1段階型、速度と精度
- GANと拡散モデル(Diffusion Model)の違い 学習と生成の仕組み
- GANとVAEの違い 識別器の有無と学習の仕組み
- GDPRと個人情報保護法の違い 法的根拠・本人の権利・制裁金
- 勾配降下法と誤差逆伝播法の違い 勾配を使う側と求める側
- グリッドサーチとランダムサーチの違い 試行回数の決まり方と効率
- ホールドアウト検証と交差検証の違い 分割回数・計算量・使い分け
- 画像分類(物体識別)と物体検出の違い 出力の形と使い分け
- 委託・第三者提供と共同利用の違い 同意の要否と受け手が使える範囲
- k-means法と階層的クラスタリングの違い クラスタ数を決める時期と計算量
- 個人情報・個人データと保有個人データの違い 範囲の入れ子とかかる義務
- 個人情報と個人識別符号の違い 包含関係と当たる例・当たらない例
- L1正則化とL2正則化の違い 罰則の形と重みが0になるか
- 最小二乗法と最尤法の違い 推定の基準と結果が一致する条件
- LIMEとSHAPの違い 局所近似とシャープレイ値の使い分け
- LSTMとGRUの違い ゲートの数と記憶セルの有無
- 機械学習とディープラーニングの違い 包含関係と特徴量の決め方
- 平均絶対値誤差(MAE)と平均二乗誤差(MSE)の違い 外れ値への強さ
- 正規化と正則化の違い 目的と代表的な手法を表で整理
- 主成分分析(PCA)と特異値分解(SVD)の違い 目的と計算の関係
- 主成分分析(PCA)とt-SNEの違い 線形か非線形か、保つ構造の違い
- 適合率と再現率の違い 分母の違いと重視する場面
- プルーニング・量子化と蒸留の違い 何を減らすかと元モデルの扱い
- Q学習とSARSAの違い 更新式の1か所と方策オン・オフ
- RNNとLSTMの違い 記憶セルと勾配消失の起きにくさ
- Self-AttentionとSource-Target Attentionの違い Q・K・Vの出どころ
- セマンティック・インスタンスとパノプティックの違い 背景と個体の扱い
- 新規性と進歩性の違い 比べ方とAI発明での論点
- シグモイド関数とソフトマックス関数の違い 出力の合計と使い分け
- ソフトローとハードローの違い 法的拘束力の有無と日本・EUの例
- 強いAIと弱いAIの違い 心をもつと考えるかの違い
- 教師あり学習・教師なし学習と強化学習の違い 学習の手がかりと代表例
- 特許権と著作権の違い 発生・保護対象・期間とAIでの使い分け
- 匿名加工情報と仮名加工情報の違い 加工の程度と第三者提供の可否
- 転移学習とファインチューニングの違い 重みを固定するか更新するか
- 請負契約と準委任契約の違い 完成義務とAI開発での使い分け
- Zero-shotとFew-shotの違い 与える例の数と重みを更新しない点