結論
匿名加工情報は、特定の個人を識別できず元の個人情報にも戻せないよう加工した情報で、項目の公表などを行えば本人の同意なく第三者に提供できます。仮名加工情報は、他の情報と照合しない限り個人を識別できないよう加工した情報で、主に社内での分析に使い、法令に基づく場合を除いて第三者には提供できません。
比較表
| 観点 | 匿名加工情報 | 仮名加工情報 |
|---|---|---|
| 定義の条文 | 個人情報保護法2条6項 | 個人情報保護法2条5項 |
| 加工の程度 | 特定の個人を識別できず、元の個人情報を復元できないようにする | 他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別できないようにする |
| 加工基準の主な中身 | 氏名などや個人識別符号の削除に加え、特異な記述やデータ同士をつなぐ符号の削除なども行う(規則34条) | 氏名などや個人識別符号の削除に加え、クレジットカード番号など財産的被害のおそれがある記述を削除する(規則31条) |
| 個人情報に当たるか | 当たらない | 元の個人情報や削除情報等を持つ作成事業者の手元では、個人情報に当たる |
| 第三者提供 | 本人の同意は不要。項目と提供方法を公表し、提供先に匿名加工情報であることを明示する | 法令に基づく場合を除き禁止。本人の同意があっても提供できない(委託・事業承継・共同利用は第三者提供に当たらない) |
| 利用目的 | 利用目的による制限の規定はない | 特定した利用目的の範囲内で使う。変更後の目的を公表すれば、関連性のない目的にも変更できる |
| 本人を特定するための照合 | 禁止(作成した事業者も受け取った事業者も) | 禁止 |
| 主な使い道 | 他社への提供など、社外でのデータ活用 | 社内でのデータ分析や機械学習モデルの開発 |
| 制度ができた改正 | 2015年改正(2017年施行) | 2020年改正(2022年施行) |
| シラバス項目 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 |
最終確認日:2026年10月30日
それぞれの説明
匿名加工情報
匿名加工情報は、個人に関するデータを社外で活用するための制度です。2015年の改正で設けられ、2017年から施行されています。氏名などを削るだけでなく、特異な記述も削除や置き換えをして、誰のデータか分からず、元にも戻せない状態にします。
個人情報には当たらないため、本人の同意なく第三者に提供できます。その代わり、作成したときは含まれる情報の項目を公表します。提供するときは、項目と提供方法を公表し、提供先に匿名加工情報であることを明示します。作成した事業者も受け取った事業者も、本人を特定するための照合は禁止されています。
仮名加工情報
仮名加工情報は、社内でのデータ分析をしやすくするための制度です。2020年の改正で設けられ、2022年から施行されています。氏名を番号に置き換えるなどして、手元の対応表(削除情報等)と照合しない限り、誰のデータか分からない状態にします。加工の程度が軽い分、データの細かさを保ちやすく、機械学習モデルの開発などに向いています。
個人情報である仮名加工情報には、利用目的の変更の制限、漏えい等の報告、本人からの開示などの請求への対応といった規定が適用されません。一方で、第三者提供は原則として禁止です。本人を特定するための照合や、含まれる連絡先を使って本人に連絡することも禁止されています。
2026年の法改正(未施行)
2026年7月17日に、改正個人情報保護法が公布されました。一部を除き、公布から2年以内の政令で定める日に施行されます。統計作成等を目的とする場合に、個人データを本人の同意なく第三者に提供できる特例などが設けられます。本ページの内容は、2026年10月30日時点で施行されている法令にもとづいています。施行日と、2つの制度への影響は要確認です。
見分けるコツ
- 「匿名」は誰か分からず元にも戻せない状態、「仮名」は名前を仮の符号に置き換えただけで、対応表と照合すれば戻せる状態だと考えます。
- 第三者提供の可否が最大の違いです。社外に出すなら匿名加工情報、社内で使うなら仮名加工情報と整理します。
- 本人の同意が要るかを問う選択肢に注意します。匿名加工情報は同意なしで提供でき、仮名加工情報は同意があっても提供できません。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
仮名加工情報は、本人の同意を得れば第三者に提供できる。
答えを見る
答え × 誤り
仮名加工情報である個人データは、法令に基づく場合を除き、本人の同意があっても第三者に提供できません(法41条6項)。委託や共同利用に伴う提供は、第三者提供に当たりません。
-
匿名加工情報を作るときは、氏名と個人識別符号を削除すれば足り、極端に高い年齢のような特異な記述まで手を加える必要はない。
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答え × 誤り
特異な記述は、それだけで本人の特定につながるおそれがあります。規則34条は特異な記述等の削除も基準に含めており、ガイドラインは「116歳」を「90歳以上」に置き換える例を示しています。
-
仮名加工情報を作るときは、クレジットカード番号のように不正に使われると財産的被害が生じるおそれのある記述も削除する。
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答え ◯ 正しい
規則31条3号の基準です。氏名などを削っても、カード番号が残っていると、漏えいしたときに不正利用による被害が生じるおそれがあるためです。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (2条5項・6項、41条〜46条)
- 個人情報の保護に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) (31条、34条)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」(令和8年4月一部改正)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」
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