結論
個人識別符号は、単体で特定の個人を識別できる符号として政令と規則に列挙されたもので、これを含む情報は氏名がなくても個人情報になります。個人情報はそれより広い概念で、個人識別符号を含む情報のほか、氏名などの記述で特定の個人を識別できる情報や、他の情報と容易に照合して識別できる情報も含みます。
比較表
| 観点 | 個人情報 | 個人識別符号 |
|---|---|---|
| 定義の条文 | 個人情報保護法2条1項 | 個人情報保護法2条2項、施行令1条、施行規則2条・4条 |
| 2つの関係 | 個人識別符号を含む情報も含む、より広い概念(2条1項2号) | 個人情報に当たるかを決める材料の1つ。含まれていれば、その情報はそれだけで個人情報になる |
| 当たるかの決まり方 | 氏名などの記述や、他の情報との容易な照合によって特定の個人を識別できるかを、事業者の実態に即して事例ごとに判断する | 政令と規則の一覧に載っているかで決まる。身体の特徴は、本人を認証できる水準に変換したものに限る。一覧にない番号は、一人ひとり異なるものでも当たらない |
| 種類 | 記述等で特定の個人を識別できるもの(1号)と、個人識別符号を含むもの(2号)の2つの型 | 身体の特徴をコンピュータ用に変換した符号(2条2項1号)と、サービスの利用やカードの発行などで一人ひとり異なるように割り当てられる番号(2号)。どちらも政令と規則で定めたものに限る |
| 当たる例 | 氏名、本人と判別できる顔写真や防犯カメラの映像、氏名と勤務先がわかるメールアドレス、顧客台帳と容易に照合できる顧客番号つきの購買履歴 | 顔認証や指紋認証のための特徴データ、本人を認証できる水準のゲノムデータ、旅券番号、基礎年金番号、運転免許証の番号、住民票コード、マイナンバー、在留カードの番号 |
| 当たらない例 | 亡くなった人だけに関する情報、法人そのものに関する情報、特定の個人と結び付かない統計情報 | 顔写真そのもの、携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレス、事業者が独自に付けた会員番号 |
| 仮名加工情報・匿名加工情報を作るとき | 1号の個人情報では、含まれる記述等の一部を削除するか、元に戻せない方法で別の記述等に置き換える(2条5項1号・6項1号) | 個人識別符号の全部を削除するか、元に戻せない方法で別の記述等に置き換える(2条5項2号・6項2号) |
| 2026年7月公布の改正(未施行) | 個人情報に当たらない個人関連情報のうち、電話番号やメールアドレスなど連絡に使える記述等を含むものにも、不適正な利用と不正な取得の禁止を広げる | 顔特徴データ等について、取扱いに関する事項の周知を義務づけ、利用停止等の請求の要件を緩め、オプトアウトによる第三者提供を禁じる |
| G検定での問われ方 | 顔画像、メールアドレス、会員番号、亡くなった人の情報などが個人情報に当たるかを、事例で判断させる | 認証用の特徴データや公的な番号は当たり、携帯電話番号などは当たらないことを、選択肢の中で見分けさせる |
| シラバス項目 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
個人情報
個人情報は、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものです(2条1項)。型は2つあります。1つ目は、氏名や生年月日などの記述で識別できる情報です。それだけでは誰のことかわからなくても、社内の台帳などと容易に照合して識別できれば当たります。2つ目は、個人識別符号が含まれる情報です。
1つ目の型は、事業者が持っている情報や照合のしやすさによって結論が変わります。そのため、事例ごとに考える必要があります。
個人識別符号
個人識別符号は、2015年の改正(2017年施行)で加わった概念です。個人情報の範囲をはっきりさせるため、それだけで特定の個人を識別できる符号を、政令と規則であらかじめ定めました(2条2項、施行令1条、施行規則2条・4条)。
身体の特徴は、DNA、顔、虹彩、声、歩き方、静脈、指紋・掌紋の7種類です。いずれも、本人を認証できる水準でコンピュータ用に変換した符号に限られます。番号では、旅券番号、基礎年金番号、運転免許証の番号、住民票コード、マイナンバー、健康保険の被保険者記号・番号などが定められています。
一覧にある符号を含む情報は、氏名と結び付いていなくても個人情報です。逆に、一覧にない携帯電話番号やメールアドレスは、個人識別符号になりません。氏名と結び付くなどして特定の個人を識別できるときに、1つ目の型の個人情報になります。
AI開発での注意
顔認証や話者認証のシステムに、本人の認証用として登録した特徴データは、個人識別符号に当たります。元の画像を捨てても、個人情報を扱っていることに変わりはありません。学習データを仮名加工情報や匿名加工情報にするときは、個人識別符号を全部削除するか、元に戻せない方法で置き換えます。
2026年7月17日に公布された改正法は、顔特徴データ等について、周知の義務やオプトアウトによる提供の禁止などを設けました。施行は原則として公布から2年以内です。このページは、2026年11月1日時点で施行されている法令にもとづいています。
見分けるコツ
- 個人識別符号は「一覧に載っているか」、個人情報は「誰のことかわかるか」で判断します。一覧にない番号でも、氏名などと結び付いて特定の個人を識別できれば、その情報は個人情報です。
- 身体の特徴は、本人の認証に使えるよう符号に変換したものだけが個人識別符号です。顔写真そのものは個人識別符号ではなく、本人とわかれば1号の個人情報です。
- 番号で迷ったら、旅券、年金、運転免許、住民票、医療保険などの公的な番号かを確かめます。携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレスは一覧になく、個人識別符号に当たりません。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
本人と判別できる顔写真の画像データは、個人識別符号には当たらないが、個人情報には当たる。
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答え ◯ 正しい
個人識別符号になるのは、顔の特徴を本人の認証などに使えるよう符号に変換したデータです。顔写真そのものは、特定の個人を識別できるので、2条1項1号の個人情報に当たります。
-
ある番号が個人識別符号に当たるかどうかは、その事業者が番号を他の情報と容易に照合して本人を特定できるかによって決まる。
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答え × 誤り
個人識別符号は、政令と規則で定められたものに限られます。他の情報との容易な照合(容易照合性)は、2条1項1号の個人情報に当たるかを判断するときの考え方です。
-
指紋の特徴データのように個人識別符号に当たる符号を含む情報でも、亡くなった人だけに関するものであれば、個人情報には当たらない。
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答え ◯ 正しい
個人情報は「生存する個人に関する情報」に限られ、個人識別符号を含む2号の型にもこの前提がかかります。ただし、遺族など生存する人に関する情報でもある場合は、その人の個人情報になります。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (2条1項・2項・5項・6項・7項)
- 個人情報の保護に関する法律施行令(e-Gov法令検索) (1条)
- 個人情報の保護に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) (2条、4条)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正) (2-1 個人情報、2-2 個人識別符号)
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」 (Q1-25(携帯電話番号やクレジットカード番号))
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」 (成立・公布の日付)
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月) (第2の2「顔特徴データ等に関する規律」、第3の1「特定の個人に対する働きかけが可能となる個人関連情報に関する規律」)
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