結論
ディープラーニングは機械学習の手法の1つで、多層のニューラルネットワークを使い、予測に役立つ特徴量までデータから学習します。ディープラーニング以外の機械学習では、どの特徴量を使うかを人が設計することが多く、比較的少ないデータと計算資源でも扱えます。
比較表
| 観点 | 機械学習 | ディープラーニング |
|---|---|---|
| 包含関係 | 人工知能の一部で、ディープラーニングを含む | 機械学習の一部(したがって人工知能の一部) |
| 特徴量 | 従来の手法では、人が設計して入力することが多い | 生のデータから、学習の中で自動的に獲得する |
| 代表的な手法 | ディープラーニング以外では、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、SVM、k-means法など | CNN、RNN、Transformerなど、多層のニューラルネットワーク |
| 必要なデータと計算資源 | 従来の手法では、比較的少ないデータでも学習でき、CPUで足りることも多い | 大量のデータと、GPUなど並列計算に強い計算資源が必要になりやすい |
| 得意なデータ | 表形式の構造化データでは、従来の手法でも高い精度が出やすい | 画像、音声、文章などの非構造化データ |
| 判断の根拠 | 線形モデルや決定木などは、根拠を読み取りやすい | 内部が複雑で、根拠を読み取りにくい(ブラックボックス) |
| 歴史 | 1959年にサミュエルが論文の題名にこの言葉を用いた。データが大量に集まるようになり、スパムフィルタなどで実用化が進んだ | 2006年にヒントンらが層ごとの事前学習を示し、2012年のILSVRCでAlexNetが優勝したことを機に広まった |
| G検定での問われ方 | 人工知能・ディープラーニングとの包含関係、ルールベースの手法との違い、教師あり・教師なし・強化学習の区別が問われる | 特徴量を自ら学習する点、必要なデータと計算資源、ブラックボックスの課題、発展の経緯が問われる |
| シラバス項目 | 技術分野 項目1 人工知能の定義(キーワード「機械学習」)、項目5 機械学習 | 技術分野 項目1 人工知能の定義(キーワード「ディープラーニング」)、項目6 ディープラーニング、項目11 ニューラルネットワークとディープラーニング |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
機械学習
機械学習は、人が規則を1つずつ書く代わりに、データから規則性を学ばせる技術の総称です。人工知能を実現する方法の1つで、正解付きのデータから学ぶ教師あり学習、正解のないデータの構造を見つける教師なし学習、報酬を手がかりに行動を学ぶ強化学習に分かれます。
ディープラーニングが広まる前の手法では、データのどこに注目するか(特徴量)を人が決めて入力するのが一般的でした。たとえば中古車の価格を予測するなら、走行距離や年式を特徴量として選び、線形回帰や決定木で学習させます。特徴量の良しあしが精度を大きく左右するため、対象分野の知識が欠かせません。一方で、モデルが比較的単純なので、少ないデータでも学習でき、判断の根拠も説明しやすい傾向があります。
ディープラーニング
ディープラーニングは、ニューラルネットワークの層を深く重ねた機械学習の手法です。画像なら、入力に近い層が線や色の変化を、深い層がそれらを組み合わせた部品や形をとらえ、特徴量そのものを学習の中で獲得します。人が特徴量を設計しにくい画像、音声、文章で、従来の手法を大きく上回る精度を出しました。
ただし、性能を引き出すには、多くの場合、大量のデータとGPUなどの計算資源が必要です。なぜその予測になったのかを説明しにくい、ブラックボックスの課題もあります。
どちらを使うか
ディープラーニングは機械学習の一部ですが、新しいほうが常に優れているわけではありません。実務では、表形式の売上データの予測には勾配ブースティングなどの従来の手法が、画像の検査や音声の書き起こしにはディープラーニングが選ばれることが多くあります。データの種類と量、根拠を説明する必要があるかどうかで使い分けます。
見分けるコツ
- 包含関係は「人工知能の中に機械学習、その中にディープラーニング」です。ディープラーニングを使うシステムは機械学習のシステムでもありますが、逆は成り立ちません。
- 特徴量を誰が決めるかで見分けます。人が選んだ特徴量を入力するなら従来の機械学習、生のデータから特徴まで学習するならディープラーニングです。
- 「ディープラーニングのほうが常に高性能」という選択肢は疑います。データが少ない場合や表形式のデータでは、従来の手法が同等以上の精度を出すことがあり、説明のしやすさでも有利です。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
機械学習のうち、ニューラルネットワークを使う手法は、層の数にかかわらずすべてディープラーニングに当たる。
答えを見る
答え × 誤り
隠れ層をもたない単純パーセプトロンもニューラルネットワークですが、層を深く重ねていないため、ディープラーニングとは呼びません。ディープラーニングは、多層のニューラルネットワークを使う手法です。
-
表形式の構造化データでは、勾配ブースティングなどディープラーニング以外の手法のほうが、ディープラーニングより高い精度を示すことがある。
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答え ◯ 正しい
45種の表形式データで比べた2022年の研究では、学習データが約1万件の中規模の設定で、XGBoostやランダムフォレストなど決定木を基にした手法がニューラルネットワークを上回りました。ディープラーニングが常に上位互換というわけではありません。
-
ディープラーニングは特徴量を学習の中で獲得できるため、どのようなデータを集め、どう前処理するかを人が考える必要はない。
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答え × 誤り
自動で獲得できるのは、入力から予測に役立つ特徴を取り出す部分です。どのデータを集め、正解ラベルをどう付け、入力の形をどう整えるかは人が決め、その良しあしが精度を大きく左右します。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目1 人工知能の定義)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目5 機械学習)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目6 ディープラーニング)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目11 ニューラルネットワークとディープラーニング)
- Yann LeCun, Yoshua Bengio, Geoffrey Hinton, Deep learning, Nature 521, 436–444 (2015)
- Arthur L. Samuel, Some Studies in Machine Learning Using the Game of Checkers, IBM Journal of Research and Development 3(3), 210–229 (1959)
- Léo Grinsztajn, Edouard Oyallon, Gaël Varoquaux, Why do tree-based models still outperform deep learning on tabular data? (2022)
ほかの違い比較
- アジャイルとウォーターフォールの違い 進め方とAI開発での使い分け
- 赤池情報量規準(AIC)とベイズ情報量規準(BIC)の違い 罰則の重さ
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- CNN・RNNとTransformerの違い 得意なデータと計算の並列性
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