結論
第三者提供は、委託先などに当たらない他者に個人データを渡すことで、原則として本人の同意が必要になり、受け手は自らの目的でデータを使います。委託と共同利用は、受け手が第三者に当たらないため同意は要りませんが、委託先は任された業務の範囲でしか使えず、共同利用ではあらかじめ本人に知らせた範囲の事業者が、知らせた目的で使います。
比較表
| 観点 | 委託 | 第三者提供 | 共同利用 |
|---|---|---|---|
| 根拠条文 | 個人情報保護法27条5項1号、25条 | 個人情報保護法27条1項〜4項 | 個人情報保護法27条5項3号・6項 |
| 受け手の立場 | 任された業務の範囲で委託元と一体のものとして扱われ、第三者に当たらない | 第三者 | 共同利用者として、第三者に当たらない |
| 本人の同意 | 不要 | 原則として必要。法令に基づく場合などの例外と、委員会への届出によるオプトアウトがある | 不要 |
| あらかじめ本人に知らせること | 法律上の定めはない(利用目的の達成に必要な範囲で委託する) | 原則は同意を得る。オプトアウトでは、提供する項目や停止の求めの受付方法などを通知するか容易に知り得る状態に置き、委員会に届け出る | 共同利用する旨、データの項目、共同利用者の範囲、利用目的、管理について責任を有する者の氏名または名称などを、通知するか容易に知り得る状態に置く |
| 受け手が使える範囲 | 委託された業務の範囲内に限る。自社の目的に使うことも、自社のデータと本人ごとに突き合わせることもできない | 受け手が自らの利用目的で使う | 本人に知らせた共同利用者が、知らせた利用目的の範囲で使う |
| 渡す側の主な義務 | 委託先の監督(適切な委託先の選定、委託契約の締結、取扱状況の把握) | 本人の同意の取得と、提供の記録の作成・保存(29条) | 所定の事項を事前に本人に知らせ、管理責任者や利用目的を変えるときもあらかじめ通知等する(27条6項) |
| 提供・受領の記録(29条・30条) | 不要(国内の相手の場合) | 必要。提供元は記録を作り、受け手は相手の名称や取得の経緯を確認して記録する | 不要(国内の相手の場合) |
| 典型例 | データ入力や分析の外注、自社向けのAI開発をベンダーに任せる際の学習データの受け渡し | 提携先の商品案内のために顧客リストを渡す | グループ会社の間で、本人に知らせたうえで顧客データを共通に使う |
| 相手が外国にある場合 | 28条がかかる。委託でも、EU・英国にある場合や基準に適合する体制がある場合などを除き、本人の同意が必要 | 28条がかかる。外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意などが必要 | 28条がかかる。28条1項は27条5項による除外を設けていないため、共同利用でも同じ扱いになる |
| G検定での問われ方 | AI開発の外注で同意が要らない理由、委託先が自社の目的に使えない点、委託元の監督義務 | 同意が要らない例外、オプトアウトの要件、グループ会社も第三者に当たる点 | 委託との違い(事前に本人に知らせる事項)や、グループ会社で同意なく共有するための要件 |
| シラバス項目 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 |
最終確認日:2026年11月1日
それぞれの説明
3つとも、個人データを自社以外の者に渡す場面です。違いは、受け手が第三者に当たるか、受け手がどの範囲でデータを使えるかにあります。
委託
委託は、利用目的の達成に必要な範囲で、個人データの取扱いの全部または一部を他の者に任せることです(27条5項1号)。データ入力や分析の外注、自社向けのAI開発をベンダーに任せて学習データを渡す場面が典型例です。委託先は、任された業務の範囲では委託元と一体のものとして扱われ、第三者に当たりません。その代わり、任された業務以外には使えません。委託元は、委託先を必要かつ適切に監督する義務を負います(25条)。
第三者提供
第三者提供は、委託先や共同利用者などに当たらない他者に個人データを渡すことです。受け手は、受け取ったデータを自らの目的で使います。原則として、あらかじめ本人の同意が必要です(27条1項)。法令に基づく場合などの例外や、委員会への届出によるオプトアウトの方式もあります。提供元は提供の記録を作り、受け手は相手の名称や取得の経緯を確認して記録します(29条、30条)。
共同利用
共同利用は、特定の事業者の間で個人データを共同で使う仕組みです(27条5項3号)。共同利用する旨、データの項目、共同利用者の範囲、利用目的、管理について責任を有する者の氏名または名称などを、あらかじめ本人に通知するか、容易に知り得る状態に置きます。これにより、共同利用者は第三者に当たりません。すでに取得したデータを共同利用するときは、取得した事業者が特定した利用目的の範囲内で使います。
共通の注意点
相手が外国にある場合は、委託や共同利用でも28条がかかります。同等の水準にあると認められた国(EUと英国)にある場合や、基準に適合する体制を整えている場合などを除き、外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要です。
2026年7月17日に公布された改正法は、委託先が任された業務に必要な範囲を超えて個人データ等を取り扱ってはならない義務を明文化しました。統計情報等の作成にのみ使う場合に、同意なく提供できる特例も設けています。いずれも2026年11月1日時点では施行されていません。
見分けるコツ
- 受け手が誰のためにデータを使うかで見分けます。渡した側の業務のためなら委託、受け手自身の目的のためなら第三者提供、あらかじめ本人に知らせた事業者どうしで共通の目的のために使うなら共同利用です。
- 同意が要らないのは委託と共同利用ですが、条件が違います。委託は本人に事前に知らせる手続が要らない代わりに業務の範囲でしか使えず、共同利用は所定の事項をあらかじめ本人に通知するか、容易に知り得る状態に置く必要があります。
- グループ会社でも、別の法人なら第三者です。同意なくデータを共有するには、共同利用の要件を満たすなどの根拠が必要です。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
国内の事業者への委託や共同利用に伴って個人データを渡すときも、第三者提供と同じく、提供した年月日や相手の名称などの記録を作成しなければならない。
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答え × 誤り
提供の記録の義務(29条)と、受け手の確認・記録の義務(30条)は、27条5項各号に当たる提供には適用されません。委託先や共同利用者は第三者に当たらないためです。
-
共同利用では、個人データの管理について責任を有する者の氏名または名称などを、あらかじめ本人に通知するか、本人が容易に知り得る状態に置く必要がある。
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答え ◯ 正しい
27条5項3号が求める事項の1つです。ガイドライン(通則編)は、この者が開示等の請求や苦情を受け付け、安全管理などの責任を負う者だと説明しています。
-
すでに取得している個人データを新たにグループ会社と共同利用する場合、共同利用の利用目的は、そのデータを取得した事業者が特定した利用目的の範囲内でなければならない。
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答え ◯ 正しい
ガイドライン(通則編)は、すでに取得した個人データを共同利用するときは、取得した事業者が特定した利用目的の範囲で共同して利用するよう求めています。共同利用者の範囲や利用目的も、本人が通常予期し得る範囲内である必要があります。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (25条、27条、28条、29条、30条)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正) (3-4-4 委託先の監督、3-6-1 第三者提供の制限の原則、3-6-2 オプトアウトによる第三者提供、3-6-3 第三者に該当しない場合)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」(令和7年12月一部改正) (2-2 外国にある第三者、3(我が国と同等の水準にある外国))
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」 (Q7-41(委託先による突合)、Q12-1(外国にある第三者への委託))
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」 (成立・公布の日付)
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月) (第1の1「統計作成等」、第2の3「個人情報取扱事業者等からデータ処理等の委託を受けた事業者に対する規律の在り方」)
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