結論
個人情報のうち、検索できるように体系的にまとめた個人情報データベース等を構成するものが個人データで、そのうち事業者が開示や利用停止などを行う権限をもつものが保有個人データです。範囲が狭くなるほど義務が上乗せされ、個人情報には利用目的や取得に関する義務、個人データには安全管理措置や第三者提供の制限など、保有個人データには本人からの開示等の請求に応じる義務が加わります。
比較表
| 観点 | 個人情報 | 個人データ | 保有個人データ |
|---|---|---|---|
| 定義の条文 | 個人情報保護法2条1項 | 個人情報保護法16条3項 | 個人情報保護法16条4項 |
| 範囲 | 生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)、または個人識別符号が含まれるもの | 個人情報データベース等を構成する個人情報 | 個人データのうち、事業者が開示、訂正、利用停止、消去などを行う権限をもつもの |
| 具体例 | 受け取ったばかりで整理していない名刺の氏名、顧客の氏名を書き留めた手書きのメモ | 顧客管理システムに登録した顧客の氏名と連絡先、そこから印刷した一覧表の記載 | 自社で集めて管理している会員データベースの会員情報 |
| 当たらないものの例 | 亡くなった人だけに関する情報、法人そのものに関する情報 | データベースに入力する前の、入力用の帳票に書かれた情報 | 処理を任されているだけで、開示などの権限が委託元にあるデータ(任された側から見た場合)。存否が明らかになると本人や第三者の生命・財産などに危害が及ぶおそれがあるもの(施行令5条) |
| 主にかかる義務 | 利用目的の特定、目的外利用の制限、不適正な利用の禁止、適正な取得、取得時の利用目的の通知等(17〜21条) | 個人情報の義務に加え、正確性の確保(努力義務)、安全管理措置、従業者・委託先の監督、漏えい等の報告、第三者提供の制限と記録(22〜30条) | 個人データの義務に加え、保有個人データに関する事項の公表等、開示・訂正等・利用停止等の請求への対応(32〜39条) |
| 本人からの開示等の請求 | 対象にならない | データそのものは対象にならない。ただし、第三者提供の記録は開示請求の対象(33条5項) | 開示、訂正等、利用停止等の請求の対象(33〜35条) |
| シラバス項目 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 | 法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法 |
最終確認日:2026年10月30日
それぞれの説明
個人情報保護法は、情報がどう管理されているかによって、3つの区分を使い分けます。範囲は個人情報が最も広く、その一部が個人データ、さらにその一部が保有個人データです。範囲が狭くなるほど、事業者の義務が上乗せされます。
個人情報
個人情報は、生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるものです。指紋や顔の特徴データのような個人識別符号を含む情報も当たります。受け取ったばかりの名刺や手書きのメモも、個人情報です。
個人情報には、利用目的をできる限り特定する義務、その範囲を超えて扱わない義務、不正な手段で取得しない義務などがかかります。データベースに入っているかどうかは関係ありません。
個人データ
個人データは、個人情報データベース等を構成する個人情報です。個人情報データベース等とは、特定の個人情報をコンピュータで検索できるように体系的に構成したものなどを指します。名刺の情報を表計算ソフトに入力して整理すれば、その情報は個人データになります。
個人データには、安全管理措置、従業者や委託先の監督、漏えい等の報告、第三者提供の制限などの義務が加わります。
保有個人データ
保有個人データは、個人データのうち、事業者が開示、訂正、利用停止、消去などを行う権限をもつものです。自社で集めて管理する会員データが典型です。
保有個人データについては、本人が開示、訂正、利用停止などを請求できます。事業者は、利用目的や請求の手続などを本人が知り得る状態に置き、請求に応じます。
2026年の法改正(未施行)
2026年7月17日に、改正個人情報保護法が公布されました。原則として、公布の日から2年を超えない範囲内で施行されます。3つの区分を定める条文の文言は変わりません。一方で、統計作成等にのみ使う場合に、一定の条件のもとで本人の同意なく個人データを第三者に提供できる特例や、16歳未満の本人の保有個人データについて利用停止等の請求の要件を緩める規定などが設けられます。本ページは、2026年10月30日時点で施行されている法令にもとづいています。
見分けるコツ
- 3つは入れ子の関係です。個人情報の中に個人データがあり、その中に保有個人データがあります。内側の区分ほど範囲は狭く、外側の義務に上乗せして義務が増えます。
- 義務の種類で区分を見分けます。利用目的と取得に関する義務は個人情報、安全管理、漏えい、第三者提供に関する義務は個人データ、本人からの開示や利用停止の請求は保有個人データが対象です。
- 個人データかどうかは、検索できるように体系的に構成したデータベース等に入っているかで決まります。保有個人データかどうかは、開示や消去などを決める権限が自社にあるかで決まります。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
顧客管理システムから紙に印刷した顧客一覧表に記載された氏名や住所は、紙に出力した時点で個人データではなくなる。
答えを見る
答え × 誤り
個人情報データベース等から紙に出力した帳票に印字された個人情報も、個人データに当たります。紙になっても、安全管理措置や第三者提供の制限などの義務はかかります。
-
個人情報保護委員会への漏えい等の報告義務は、漏えいしたデータが保有個人データに当たる場合に限って生じる。
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答え × 誤り
漏えい等の報告(26条)は、個人データが対象で、保有個人データに限られません。要配慮個人情報が含まれる場合や、本人の数が1,000人を超える場合など、規則で定める事態が起きたときに報告します。
-
存在が明らかになると本人や第三者の生命、身体または財産に危害が及ぶおそれがある個人データは、保有個人データから除かれる。
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答え ◯ 正しい
施行令5条が定める除外の1つです。ガイドラインは、家庭内暴力や児童虐待の被害者を支援する団体がもつ、加害者と被害者のデータを例に挙げています。
関連問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (2条1項、16条1項〜4項、17条〜39条)
- 個人情報の保護に関する法律施行令(e-Gov法令検索) (4条、5条)
- 個人情報の保護に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) (7条)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正) (2-1 個人情報、2-4 個人情報データベース等、2-6 個人データ、2-7 保有個人データ)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月)
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