1行定義
委託(個人データの取扱いの委託)とは、事業者が、個人データの入力、編集、分析などの処理を、契約の形を問わず他の者に行わせる行為のことです。
くわしく
AI開発では、顧客データの分析やモデルの構築を外部のベンダーに任せることがよくあります。個人情報保護法は、こうした個人データの取扱いの委託について、第三者提供とは別のルールを置いています。
第三者提供に当たらない
利用目的の達成に必要な範囲内で、個人データの取扱いの全部または一部を委託し、それに伴ってデータを渡す場合、委託先は第三者に当たりません(27条5項1号)。委託先は、本人との関係で委託元と一体のものとみなせるからです。そのため、本人の同意やオプトアウトの手続なしに渡せます。データ入力の外注や、商品の配送のための宅配業者への提供が典型例です。
委託先は業務の範囲内でしか使えない
一体とみなせるのは、任された業務の範囲内に限られます。委託先は、預かったデータを自社の営業活動に使うことも、複数の委託元のデータを区別せずに混ぜて扱うことも、自社で集めたデータと本人ごとに突き合わせることもできません。
委託元の監督義務
委託元は、委託したデータの安全管理が図られるよう、委託先を必要かつ適切に監督します(25条)。ガイドライン(通則編)は、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先での取扱状況の把握を挙げています。
注意が必要な場面
- 外国にある委託先:28条の規制がかかります。委託であっても、本人の同意か、基準に適合する体制の整備などが必要です。
- クラウドサービス:事業者が契約上個人データを取り扱わないこととなっていれば、提供にも委託にも当たりません。
- 生成AIサービス:本人の同意なく入力した個人データが、応答の出力以外の目的(機械学習など)に使われる場合は、法違反となる可能性があります。
2026年の改正(未施行)
2026年7月17日に公布された改正法は、委託を受けた事業者に、委託された個人データ等を業務の遂行に必要な範囲を超えて取り扱ってはならない義務を明文で課しました(改正後の30条の3)。2026年10月31日時点では施行されていません。
G検定での出題
出題のされ方
委託先が第三者に当たらず本人の同意が要らない条件、委託元の監督義務、委託先が業務の範囲を超えて使えない点、外国の委託先やクラウド・生成AIの利用との関係が、AI開発の外部委託の事例で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 委託(個人データの取扱いの委託)このページの用語 | 事業者が、個人データの入力、編集、分析などの処理を、契約の形を問わず他の者に行わせる行為 |
| 第三者提供 | 個人情報取扱事業者が個人データを本人と自社以外の者に渡すことで、原則としてあらかじめ本人の同意が必要とされる行為 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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委託先は、委託に伴って受け取った個人データを、自社が独自に集めた顧客データと本人ごとに突き合わせることができる。
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答え × 誤り
個人情報保護委員会のQ&A(Q7-41)は、委託先が、提供された個人データを独自に取得した個人データ等と本人ごとに突合することはできないとしています。
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クラウドサービスの事業者が、契約上サーバに保存された個人データを取り扱わないこととされ、アクセス制御も適切に行っている場合、そのサービスの利用は個人データの取扱いの委託に当たらない。
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答え ◯ 正しい
この場合は個人データの提供に当たらず、委託にもならないため、25条の監督義務もかかりません(Q&A Q7-53、Q7-54)。安全管理措置は、利用する事業者が自ら講じます。
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委託先で個人データの漏えいが起き、委託先が規則に従ってその旨を委託元に通知した場合、委託先は個人情報保護委員会への報告義務を負わない。
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答え ◯ 正しい
26条1項ただし書の定めです。報告の対象となる事態であれば、委員会への報告と本人への通知は、通知を受けた委託元が行います(26条1項・2項)。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) (25条、26条、27条5項1号、28条)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正) (3-4-4 委託先の監督、3-6-3 第三者に該当しない場合)
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(令和8年10月30日更新) (Q7-37、Q7-41、Q7-53、Q7-54)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日) ((1)個人情報取扱事業者における注意点 ②)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月) (第2 3 個人情報取扱事業者等からデータ処理等の委託を受けた事業者に対する規律の在り方)