要点
- 日本のAI法(令和7年法律第53号)は2025年6月4日に公布され、9月1日に全面施行されました。罰則の規定はありません(e-Gov法令検索、内閣府)
- 総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、2026年3月31日に第1.2版が公表されました(総務省)
- 改正個人情報保護法は2026年7月17日に公布されました。施行は原則として公布から2年以内で、10月30日時点で主な内容はまだ施行されていません(個人情報保護委員会)
目次
この記事は、2026年10月30日時点の法令・ガイドラインにもとづいています。法律の専門家による監修は受けていません。
G検定の法律・倫理で、最近変わったことは何ですか?
日本ではAI法の制定、AI事業者ガイドラインの改訂、個人情報保護法の改正があり、EUではAI法の適用が始まりました。主な出来事を日付順に並べます。
| 日付 | 出来事 | シラバスの項目 |
|---|---|---|
| 2024年3月15日 | 文化審議会著作権分科会法制度小委員会が「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ | 2 著作権法 |
| 2024年4月19日 | 「AI事業者ガイドライン」第1.0版 | 8 国内外のガイドライン |
| 2024年7月31日 | 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」 | 2 著作権法 |
| 2024年8月1日 | EUのAI法が発効 | 8 国内外のガイドライン |
| 2024年11月22日 | AI事業者ガイドライン第1.01版 | 8 国内外のガイドライン |
| 2025年1月30日 | 知的財産高等裁判所が、AIを発明者とした出願の却下を適法と判断 | 3 特許法 |
| 2025年3月28日 | AI事業者ガイドライン第1.1版 | 8 国内外のガイドライン |
| 2025年6月4日 | 日本のAI法が公布・一部施行 | 8 国内外のガイドライン |
| 2025年9月1日 | AI法が全面施行 | 8 国内外のガイドライン |
| 2025年12月19日 | AI法にもとづく適正性確保の指針を決定 | 8、18 AIガバナンス |
| 2025年12月23日 | 人工知能基本計画を閣議決定 | 8 国内外のガイドライン |
| 2026年3月4日 | 最高裁判所が、上の特許の事件で上告を棄却し、知財高裁の判決が確定 | 3 特許法 |
| 2026年3月31日 | AI事業者ガイドライン第1.2版 | 8、18 AIガバナンス |
| 2026年7月14日 | 人工知能基本計画の新しい版を閣議決定 | 8 国内外のガイドライン |
| 2026年7月17日 | 改正個人情報保護法を公布(7月10日成立) | 1 個人情報保護法 |
| 2026年7月27日 | EUのAI法の改正が発効し、高リスクAIの義務の適用を延期 | 8 国内外のガイドライン |
| 2026年8月2日 | EUのAI法が原則として適用開始 | 8 国内外のガイドライン |
公式テキストは『深層学習教科書 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版』(翔泳社、2024年5月)で、この年表の多くはテキストの発行より後の出来事です。現行の出題範囲はシラバス2024 第1.4版(2026年5月11日)ですが、試験がどの時点の法令やガイドラインを前提に出題されるかは、JDLAから公表されていません(要確認)。
AI法(AI推進法)とはどんな法律ですか?
AIの研究開発と活用を推進するための基本的な法律です。正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」で、2025年6月4日に公布・一部施行され、9月1日に全面施行されました(内閣府)。
押さえる点は3つです。
- 目的は推進:政府による人工知能基本計画の策定と、人工知能戦略本部の設置を定めています。
- 罰則がない:AIを使う事業者には、国の施策に協力する責務などを定めていますが、違反への罰則はありません。
- 国が調べて助言する:国は、不正な目的や不適切な方法によるAIの研究開発・活用で国民の権利利益が侵害された事案を分析します。その結果にもとづいて、事業者などに指導や助言をします(16条)。
試験対策では、EUのAI法との違いが要点です。EUはリスクの大きさに応じて禁止や義務を課し、違反には制裁金があります。日本のAI法は法律(ハードロー)ですが、事業者に求める具体的な取り組みは、13条にもとづく指針など拘束力のない文書で示しています。違いはソフトローとハードローの違いで確かめられます。
AI事業者ガイドラインは何が変わりましたか?
2024年4月19日の第1.0版のあと、2024年11月22日に第1.01版、2025年3月28日に第1.1版、2026年3月31日に第1.2版が公表されました(総務省)。各版の本文は、総務省の掲載ページで確認できます。
試験対策で押さえるのは、版の違いより、どの版にも共通する骨格です。
- 総務省と経済産業省が、既存の3つのガイドラインを統合して作った文書であること
- 拘束力のないソフトローで、状況に合わせて更新する文書(Living Document)とされていること
- AI開発者、AI提供者、AI利用者の立場ごとに、取り組む事項を示していること
- 共通の指針として、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性、アカウンタビリティ、教育・リテラシー、公正競争確保、イノベーションを挙げていること
詳しくはAI事業者ガイドラインと、学習ガイドの国内外のガイドラインにまとめています。
AIと著作権について、何を押さえればいいですか?
2024年に文化庁のサイトで公表された2つの資料の整理を押さえます。どちらも、AIの「学習」と、AIで作ったものの「生成・利用」を分けて考えます。
- 「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日):文化審議会著作権分科会法制度小委員会が、学習段階と生成・利用段階に分けて、著作権法の当てはめ方を整理した文書です。法的な拘束力はありません。
- 「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日):文化庁著作権課が、AIを開発・提供・利用する立場と、権利者の立場に分けて、リスクを減らす取り組みを紹介した資料です。
学習段階の中心は著作権法30条の4です。作品を楽しむ(享受する)目的でない利用は、原則として許諾なしにできます。ただし、特定の作品の表現を出力させるための追加学習のように享受目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合は対象外です。生成・利用段階では、既存の作品との類似性と依拠性で侵害かどうかを判断します。詳しくは学習ガイドの著作権法にまとめています。
個人情報保護法は改正されましたか?
改正されました。2026年7月10日に成立し、7月17日に公布されています(個人情報保護委員会)。ただし、2026年10月30日時点で、主な内容はまだ施行されていません。施行は、原則として公布の日から2年を超えない範囲とされています。
改正予定:統計情報などの作成(統計の作成と整理できるAIの開発などを含む)にだけ使う場合に、本人の同意なく個人データを第三者に提供できる特例が入りました。重大な違反で個人の権利利益を侵害した場合などに、違反で得た利益に相当する額を納めさせる課徴金の制度も設けられます。具体的な施行日は、個人情報保護委員会の発表で確認してください。
学習では、施行前の改正内容と現行のルールを分けて覚えます。現行のルールでは、仮名加工情報と匿名加工情報の違い、第三者提供と委託の違いが要点です。個人情報保護委員会は2023年6月、生成AIサービスに個人データを入力する際の注意も呼びかけています。要点は学習ガイドの個人情報保護法にまとめています。
EUのAI法は、いつから何が適用されていますか?
2024年8月1日に発効し、段階的に適用が始まっています。禁止されるAIの規定は2025年2月2日から、汎用目的AIモデルの義務は2025年8月2日から、全体は2026年8月2日から原則として適用されています(欧州委員会)。
高リスクAIの義務は、2026年7月27日に発効した改正で延期されました。教育や雇用など附属書IIIの分野は2027年12月2日から、製品に組み込まれるものは2028年8月2日から適用されます。
試験対策では、日付より仕組みが要点です。AIを許容できないリスク、高リスク、透明性に関するリスク、最小限のリスクの4段階に分け、リスクの大きさに応じて規制を変えます。EU AI法とリスクベースアプローチで確かめられます。
最新動向は、どこまで試験対策に入れればいいですか?
年表の出来事について、「名前、出した機関、時期、法律かガイドラインか」を言えれば十分です(当サイトの見立て)。条文番号や改訂の細部まで覚える必要はありません。
試験がどの時点の法令を前提にするかは公表されていないため、改正があったものは、改正前と改正後のどちらの内容かを区別して覚えておくと安全です。
法令やガイドラインは今後も改訂されます。気になる点は、e-Gov法令検索や所管官庁のページで最新の内容を確認してください。当サイトでも、改訂を確認したらこのページを更新します。
次にやること
読んだら、実際に解いてみるのがいちばんの確認です。全問オリジナルで、すべての選択肢に解説がついています。
出典
- 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)(e-Gov法令検索) (1条、7条、13条、16条、18条、19条、附則1条)
- 内閣府「AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)」 (公布・一部施行、全面施行)
- 内閣府「人工知能基本計画」 (令和7年12月23日閣議決定、令和8年7月14日閣議決定)
- 内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」 (令和7年12月19日 本部決定)
- 総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ (第1.0版〜第1.2版の公表日)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) (はじめに、第2部C「共通の指針」)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)
- 文化庁著作権課「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日) (第1部 AI開発・提供・利用のチェックリスト、第2部 権利者のためのガイダンス)
- 著作権法(e-Gov法令検索) (30条の4)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」 (成立・公布の日付)
- 個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律について」(2026年7月) (法律の概要(改正内容、施行期日))
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月2日)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)
- European Commission, AI Act(Regulation (EU) 2024/1689) (Application timeline、AI Omnibus)
- SOFTIC「最高裁がAI発明に関する発明者性をめぐる事件の上告を棄却」(2026年3月23日) (2026年3月4日の上告棄却、2025年1月30日の知財高裁判決)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目1 個人情報保護法、項目2 著作権法、項目3 特許法、項目8 国内外のガイドライン、項目18 AIガバナンス)