1行定義
リスクベースアプローチとは、AIの用途ごとに危害の大きさと起こりやすさを見積もり、リスクが大きいものほど強い対策を求める考え方のことです。
くわしく
リスクベースアプローチは、すべてのAIに同じ対策を求めるのではなく、リスクの大きいAIほど手厚く対策するという考え方です。AIの使われ方は、ゲームの対戦相手から融資の審査、医療の診断支援まで幅広く、問題が起きたときの影響もまったく違います。
リスクの大きさのとらえ方
AI事業者ガイドラインは、リスクの大きさを「危害の大きさ」と「その蓋然性(起こりやすさ)」でとらえ、対策の程度をそれに対応させることが重要だとしています。対策が足りなければ、人や社会に害が及びます。逆に、リスクの小さいAIにまで重い対策を求めると、コストがかさみ、AIを活用する利点が失われます。リスクベースアプローチは、この両方を避けるための考え方です。
EUのAI法の4段階
代表例がEUのAI法(AI Act)です。AIシステムをリスクの大きさで4つに分けます。
- 許容できないリスク:社会的スコアリングなど。利用が禁止されます。
- 高リスク:採用での履歴書の選別、信用スコアの算出など。リスク管理、記録の保存、人間による監督などの厳しい義務が課されます。
- 透明性に関するリスク(限定的なリスク):チャットボットなど。機械と対話していることの告知や、ディープフェイクであることの表示が求められます。
- 最小限のリスク:スパムフィルターなど。特別な義務はありません。
ソフトロー・ハードローとの関係
リスクベースアプローチは「どの程度の対策を求めるか」についての考え方です。ルールに法的拘束力があるかどうかとは、別の軸です。EUはこれをハードローで、日本はAI事業者ガイドラインというソフトローで取り入れています。ガイドラインは、この考え方がAI先進国の間で広く共有されていると述べています。
覚え方
「リスクに比例して対策を重くする」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
すべてのAIに一律の対策を求める考え方との違いや、EUのAI法がリスクを4段階に分け、許容できないリスクを禁止し、高リスクに厳しい義務を課す構造が問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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AI事業者ガイドラインは、リスクの大きさを危害の大きさとその蓋然性からとらえ、対策の程度をそれに対応させる考え方を示している。
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答え ◯ 正しい
本編の「はじめに」で、過度な対策もAI活用の便益を損なうとして、リスクベースアプローチの重要性を述べています。
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EUのAI法では、スパムフィルターのようにリスクが最小限のAIにも、高リスクのAIと同じ義務が課される。
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答え × 誤り
最小限のリスクのAIには特別な義務がありません。義務の重さをリスクに比例させるのがリスクベースアプローチです。
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EUのAI法では、チャットボットの利用者に、機械と対話していることを知らせる透明性の義務が定められている。
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答え ◯ 正しい
高リスクほど重くない「透明性に関するリスク」の区分です。ディープフェイクであることの表示も、この区分の義務に含まれます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目8 国内外のガイドライン)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) (はじめに)
- European Commission, AI Act(Regulation (EU) 2024/1689)