1行定義
準委任契約とは、法律行為でない事務の処理を委託する契約で、受託者が仕事の完成ではなく、注意を尽くして事務を処理することを約束するもののことです。
くわしく
準委任契約は、民法の「委任」の規定を、法律行為でない事務の委託に準用する契約です(民法656条)。弁護士に訴訟を頼むように法律行為を任せるのが委任で、システム開発、コンサルティング、データ分析のような作業を任せるのが準委任です。
請負契約との違い
請負契約(民法632条)は、仕事の完成を約束し、完成した結果に対して報酬を支払う契約です。原則として完成しなければ報酬を請求できません。引き渡したものが契約の内容に合わなければ、修補や報酬の減額などの契約不適合責任も負います。
準委任契約の受託者は、仕事の完成までは約束しません。その代わり、善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって事務を処理する義務を負います。十分に注意して作業したのに期待した成果が出なかった場合でも、それだけで義務違反にはなりません。
報酬は、作業時間や期間に応じて支払う履行割合型が基本です。2020年施行の改正民法で、成果の引渡しに対して支払う成果完成型も明文化されました。成果完成型でも、受託者が成果の完成を約束するわけではありません。
AI開発で使われる理由
機械学習のモデルは、データの質や量によって性能が変わり、目標の精度に届くかを契約の時点で見通しにくいという特徴があります。請負契約で精度の達成を完成の条件にすると、ベンダーが過大なリスクを負い、紛争の原因にもなります。
経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」は、アセスメント、PoC、開発、追加学習と段階を区切って契約する「探索的段階型」の進め方を示しています。成果が不確実なAI開発では、準委任型の契約がなじみやすいという考え方です。
覚え方
「請負は完成を約束、準委任は注意を尽くした作業を約束」と対比して覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
請負契約との違い(完成義務の有無、善管注意義務、報酬の支払い方)や、成果が見通せないPoCや学習済みモデルの開発にどちらの契約がなじむかを、事例で問う形で出題されます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 準委任契約このページの用語 | 法律行為でない事務の処理を委託する契約で、受託者が仕事の完成ではなく、注意を尽くして事務を処理することを約束するもの |
| 請負契約 | 請負人が仕事の完成を約束し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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準委任契約の受託者は、委託された事務を、善良な管理者の注意をもって処理する義務を負う。
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答え ◯ 正しい
民法656条で準用される644条の善管注意義務です。仕事の完成は約束しませんが、その立場の専門家に通常求められる注意を尽くす必要があります。
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準委任契約では、成果物の引渡しに対して報酬を支払うという定め方はできない。
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答え × 誤り
2020年施行の改正民法で、成果に対して報酬を支払う成果完成型(648条の2)が明文化されました。作業量や期間に応じて支払う履行割合型もあります。
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準委任契約は、民法上、各当事者がいつでも解除できる。
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答え ◯ 正しい
委任の規定(651条1項)が準用されます。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合などは、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目6 AI開発委託契約)
- 民法(e-Gov法令検索) (632条、643条、644条、648条、648条の2、651条、656条)
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」(2018年6月)