1行定義
NDA(秘密保持契約)とは、取引や検討のために相手に開示する秘密情報について、目的外の利用や第三者への開示をしないことを当事者間で約束する契約のことです。
くわしく
NDAはNon-Disclosure Agreementの略で、秘密保持契約とも呼ばれます。取引の検討や共同開発の場面で、相手に見せる情報を外に漏らさず、決めた目的以外に使わないことを約束する契約です。
AI開発での位置づけ
AI開発は、ユーザー企業のデータをベンダーに渡し、AIで課題を解決できるかを検討するところから始まることが多くあります。データには、外に出せない情報が含まれがちです。
経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」は、成果を見通しにくいAI開発を、アセスメント、PoC、開発、追加学習の段階に分けて進める探索的段階型を示しています。最初のアセスメント段階では、一部のデータを使って実現の見込みを確かめます。この段階で結ぶ契約として、NDAが位置づけられています。
主な条項
- 秘密情報の範囲:どの情報を秘密として扱うかを決めます。
- 例外:開示の時点で公知の情報、受領者がもともと持っていた情報、独自に開発した情報、第三者から正当に入手した情報などを除きます。
- 目的外利用と開示の禁止:検討の目的に限って使い、許可なく第三者に渡しません。
- 返還・破棄:検討が終わったら、受け取ったデータを返すか消去します。
- 有効期間と損害賠償:義務が続く期間や、違反したときの責任を定めます。
NDAは情報を守るための契約です。学習済みモデルなどの成果物の権利の帰属や利用条件は、主にPoCや開発の段階の契約で定めます。
法律との関係
契約が拘束するのは、原則として当事者だけです。一方、情報が不正競争防止法の営業秘密に当たれば、第三者による不正な取得や使用にも、差止めや損害賠償を求められます。営業秘密と認められる要件の1つが、秘密として管理されていること(秘密管理性)です。NDAを結んで開示することは、その管理の手段にもなります。
覚え方
「データを見せる前に、まずNDA」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
AI開発の最初の段階で、データを渡して実現の見込みを検討する前に結ぶ契約であること、秘密情報の範囲と例外、契約の効力が当事者に限られる点、営業秘密の秘密管理性との関係が問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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NDAを結んでおけば、契約の当事者でない第三者が秘密情報を不正に入手した場合にも、そのNDAにもとづいて第三者に使用の差止めを求められる。
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答え × 誤り
契約が拘束するのは原則として当事者だけです。第三者に対しては、情報が営業秘密に当たる場合の不正競争防止法など、法律による保護を使います。
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NDAでは一般に、開示を受けた時点ですでに公知だった情報や、受領者が独自に開発した情報を、秘密情報から除く規定を置く。
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答え ◯ 正しい
受領者が本来自由に使える情報まで縛らないための例外です。開示前から持っていた情報や、第三者から正当に入手した情報も除くのが一般的です。
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取引先とNDAを結んだうえで情報を開示することは、その情報を営業秘密として保護するために必要な秘密管理性を示す手段の1つになる。
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答え ◯ 正しい
営業秘密と認められるには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件が必要です。秘密保持の約束は、秘密として扱う意思を相手に示す措置になります。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目6 AI開発委託契約)
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」(2018年6月) (探索的段階型の開発方式(アセスメント段階))
- 不正競争防止法(e-Gov法令検索) (2条6項)
- 経済産業省「営業秘密管理指針」(2025年3月改訂)