1行定義
限定提供データとは、業として特定の者に提供するために、電磁的方法で相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報(営業秘密を除く)のことです。
くわしく
限定提供データは、契約した相手に提供して使ってもらうことに価値があるデータを守るための制度です。2018年の不正競争防止法改正で設けられ、2019年7月に施行されました。
なぜ必要になったか
IoTやAIの普及で、センサーデータ、地図データ、POSデータなどを、契約した相手に販売・共有するビジネスが広がりました。こうしたデータは多くの相手に提供するため、「公然と知られていない」とは言いにくく、営業秘密としては守りにくいという問題がありました。データの集まりは著作物に当たらないことも多く、契約関係のない第三者による不正な取得には対処しにくい状況でした。
3つの要件
- 限定提供性:業として、特定の者に提供する情報であることです。会員や契約者に限って繰り返し提供している場合などが当たります。
- 相当蓄積性:電磁的方法により相当量蓄積されていることです。データとして価値が生まれる程度の量が必要です。
- 電磁的管理性:IDとパスワード、暗号化などで、特定の者だけが使えるよう管理されていることです。
ただし、営業秘密に当たる情報は除かれます。2023年の法改正(2024年4月施行)で、除外の範囲が「秘密として管理されているもの」から「営業秘密」に改められました。秘密として管理していても営業秘密の要件を満たさないデータは、限定提供データとして保護されうるようになりました。
保護の内容と限界
不正な手段による取得や、不正に取得したデータの使用・開示などは「不正競争」に当たり、差止請求や損害賠償請求ができます。ただし、営業秘密と違って刑事罰はありません。また、無償で誰でも利用できるオープンデータと同じ情報には、この保護は及びません。
覚え方
営業秘密は「隠して守る」、限定提供データは「相手を限って配りながら守る」と対比して覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性の3要件や、営業秘密と違って秘密管理性や非公知性を求めない点、刑事罰がない点を、営業秘密と比べて問う形で出題されます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 限定提供データこのページの用語 | 業として特定の者に提供するために、電磁的方法で相当量蓄積・管理されている技術上または営業上の情報(営業秘密を除く) |
| 営業秘密 | 秘密として管理され、事業活動に有用で、公然と知られていない技術上または営業上の情報 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
限定提供データを不正に取得・使用する行為には、営業秘密と同じく刑事罰が定められている。
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答え × 誤り
限定提供データの不正取得等に対する救済は、差止請求や損害賠償請求などの民事上の措置です。刑事罰は定められていません。
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誰でも無償で利用できるオープンデータと同一の情報は、相手を限定して提供していても、その取得や使用に差止請求などの規定は適用されない。
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答え ◯ 正しい
不正競争防止法19条1項9号ロにより、無償で公衆に利用可能となっている情報と同一の限定提供データの取得・使用・開示には、差止請求や損害賠償などの規定が適用されません。
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会員企業だけにIDとパスワードを発行し、蓄積した大量の車両走行データを有償で継続的に提供している場合、そのデータは限定提供データに当たりうる。
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答え ◯ 正しい
業として特定の者に提供(限定提供性)、相当量の蓄積(相当蓄積性)、IDとパスワードによる管理(電磁的管理性)という3要件にあてはまる例です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目4 不正競争防止法)
- 不正競争防止法(e-Gov法令検索) (2条1項11号〜16号、2条7項、19条1項9号)
- 経済産業省「限定提供データ」(限定提供データに関する指針の掲載ページ)