1行定義
データ利用権とは、データを誰がどの目的・範囲で利用し、加工し、第三者に提供できるかについて、主に当事者間の契約で定める権限のことです。
くわしく
データ利用権は、データを「誰が、何のために、どこまで使えるか」を決める権限です。土地や機械なら、持ち主が所有権にもとづいて使い方を決められます。ところが民法の所有権の対象は、形のある「物」(有体物)に限られます(85条、206条)。形のないデータには所有権が及ばないため、使える範囲は、主に当事者どうしの契約で決めることになります。
契約で決める主な項目
- 利用目的:分析だけか、モデルの学習やほかのサービスにも使えるか
- 加工と派生データ:分析結果や加工したデータを誰が使えるか
- 第三者への提供:他社に渡したり販売したりできるか
- 期間と終了後の扱い:契約が終わったら削除するか、返すか
経済産業省の契約ガイドライン(データ編)は、データの契約を、一方がデータを渡す「データ提供型」、複数の当事者が関わってデータが生まれる「データ創出型」、プラットフォームでデータを共有する「データ共用型」に分けています。データ創出型では、データの生成への寄与の程度なども考えて、利用権限を調整します。
SaaS型AIサービスで問題になる場面
AIサービスの提供契約では、利用者が入力したデータを、提供者が自社のモデルの改善に使えるかが焦点になります。経済産業省の「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月)は、入力データが汎用的な学習に使われるか、サービス提供に必要な範囲でのみ学習に使われるか、学習に使われないかを分けて整理しています。機密情報や個人情報を入力する前に、どの区分に当たるかと、学習への利用を止める設定の有無を確かめます。
契約の外にあるルール
契約の効力は、原則として当事者の間にとどまります。データが第三者に渡った場合に備えるには、不正競争防止法で営業秘密や限定提供データとして保護されるよう管理しておくことも大切です。また、個人情報を含むなら、契約とは別に個人情報保護法の規律がかかります。
覚え方
「データは持ち主ではなく、契約で使い道を決める」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
データには民法上の所有権が及ばないため、利用目的や範囲、派生データ、第三者への提供、契約終了後の扱いを契約で定めることと、SaaS型AIで入力データが学習に使われるかの確認が、事例で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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契約で定めたデータの利用条件は、原則として契約の当事者の間でだけ効力をもち、契約を結んでいない第三者を直接には拘束しない。
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答え ◯ 正しい
データには所有権が及ばず、契約による取り決めは、原則として契約の相手方にしか主張できません。第三者に渡った場合に備えるには、不正競争防止法の営業秘密や限定提供データとして保護される管理をしておくことも大切です。
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経済産業省の契約チェックリスト(2025年2月)は、入力したデータについて、汎用的なAIの学習に使われる場合、サービス提供に必要な範囲でのみ学習に使われる場合、学習に使われない場合を分けて整理している。
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答え ◯ 正しい
どの場合に当たるかで、情報が漏れたり、ほかの利用者向けの改善に使われたりするリスクが変わります。利用規約を確かめるときの基本的な区分です。
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経済産業省の契約ガイドライン(データ編)は、データの利用権限を、データを最初に取得した当事者にすべて帰属させるという一律のルールを示している。
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答え × 誤り
一律のルールは示していません。各当事者がデータの生成にどう関わったか(寄与の程度)などを考えて、利用権限を契約で調整する考え方をとっています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目7 AIサービス提供契約)
- 民法(e-Gov法令検索) (85条、206条)
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(データ編)」1.1版(2019年12月) (データ・オーナーシップ、データ契約の類型(データ提供型・データ創出型・データ共用型))
- 経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月) (インプットの取扱い(AI学習への利用の有無))
- 不正競争防止法(e-Gov法令検索) (2条6項(営業秘密)、2条7項(限定提供データ))