1行定義
AI・データの利用に関する契約ガイドラインとは、データの取引とAI開発の契約で検討すべき論点やモデル契約を、経済産業省が示した手引きのことです。
くわしく
AI・データの利用に関する契約ガイドラインは、経済産業省が2018年6月に策定した、AIとデータに関する契約の手引きです。2019年12月には、限定提供データの制度に合わせてデータ編を見直した1.1版が公表されました。データの取引やAIの開発で、当事者が何を話し合って決めればよいかを整理しています。
2つの編の役割
- データ編:データの提供や共同での利用に関する契約を扱います。契約を「データ提供型」「データ創出型」「データ共用型(プラットフォーム型)」の3つの類型に分け、類型ごとの論点と条項例を示しています。
- AI編:AIを使ったソフトウェアの開発と利用に関する契約を扱います。学習済みモデルを「学習済みパラメータが組み込まれた推論プログラム」と整理し、成果物の権利や責任の分け方を検討しています。
探索的段階型の考え方
AIの性能は学習に使うデータに左右されるため、契約の時点では成果を見通せないことがよくあります。そこでAI編は、開発を「アセスメント」「PoC」「開発」「追加学習」の4つの段階に分け、各段階の結果を見て次に進むかを決める探索的段階型を示しました。
モデル契約は、アセスメント段階の秘密保持契約、PoC段階の導入検証契約、開発段階のソフトウェア開発契約の3つです。導入検証契約とソフトウェア開発契約は準委任型で、ベンダが成果物の完成や性能を保証しない案になっています。追加学習段階のモデル契約は用意されていません。
位置づけと注意点
ガイドラインに法的拘束力はなく、示されているのは交渉の出発点となる考え方とひな形です。当事者が合意すれば、異なる条件でも契約できます。
このガイドラインは、生成AIが広く普及する前に作られました。経済産業省は2025年2月、生成AIを含むAIサービスの契約で確認したい点をまとめた「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を別に公表しています。
覚え方
「データ編は渡し方、AI編は作り方」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
データ編とAI編の役割、成果を見通しにくいAI開発を段階に分ける探索的段階型、各段階で想定される契約の種類、学習済みモデルの権利や利用条件の決め方が、事例とあわせて問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AI・データの利用に関する契約ガイドラインこのページの用語 | データの取引とAI開発の契約で検討すべき論点やモデル契約を、経済産業省が示した手引き |
| AI事業者ガイドライン | 総務省と経済産業省が、AIを開発・提供・利用する事業者に向けて、AIガバナンスの統一的な指針として示したソフトロー |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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AI・データの利用に関する契約ガイドラインは、データの取引を扱うデータ編と、AIを使ったソフトウェアの開発・利用を扱うAI編の2つで構成されている。
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答え ◯ 正しい
データ編はデータの提供や共用の契約を、AI編は学習済みモデルの開発や利用の契約を扱います。同じ名前のもとに2つの文書があると押さえておきます。
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このガイドラインと異なる内容の契約を結ぶと、その契約は無効になる。
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答え × 誤り
ガイドラインは契約の考え方やひな形を示す参考資料で、法的拘束力はありません。当事者が合意すれば、ガイドラインと異なる条件でも契約できます。
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AI編が開発を段階に分けて進める方式を示した理由の1つは、学習済みモデルの性能が学習用のデータに左右され、契約を結ぶ時点では成果を見通しにくいことにある。
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答え ◯ 正しい
そのためAI編は、アセスメント、PoC、開発、追加学習の各段階で結果を確かめ、次に進むかを当事者が判断する探索的段階型を示しています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目6 AI開発委託契約)
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」(2018年6月) (探索的段階型の開発方式、モデル契約(秘密保持契約・導入検証契約・ソフトウェア開発契約))
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(データ編)」1.1版(2019年12月) (改訂履歴、データ契約の類型(データ提供型・データ創出型・データ共用型))
- 経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月)