1行定義
利用規約とは、サービスの提供者が多数の利用者と共通の条件で取引するために、あらかじめ用意しておく契約条件のことです。
くわしく
利用規約は、サービスの提供者が用意し、利用者が同意することで契約の内容になる取引条件です。クラウドで提供されるAIサービスは、多くの利用者に同じ条件で提供されます。そのため、個別に契約書を交わすのではなく、利用規約への同意で契約を結ぶのが一般的です。
定型約款のルール
不特定多数を相手にする画一的な取引の条件は、民法の「定型約款」に当たることがあります。2020年施行の改正民法で設けられたルールです。定型約款を契約の内容とすることに合意した場合や、提供者があらかじめそのことを示していた場合、利用者は個々の条項を読んでいなくても、それに合意したものとみなされます。
ただし、利用者の権利を制限したり義務を重くしたりする条項のうち、信義則に反して利用者の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされます。また提供者が個別の合意なしに規約を変更できるのは、利用者の一般の利益に合う場合か、契約の目的に反せず合理的といえる場合に限られます。
AIサービスで確認する点
- 入力したデータを、提供者がモデルの学習や改善に使うか
- 生成物の権利が誰に帰属し、商用利用できるか
- 出力の正確さを保証するか、誤りによる損害の責任をどこまで負うか
- 解約したときに、入力したデータが削除されるか
著作権との関係
利用規約が決めるのは、提供者と利用者の間の約束です。規約で生成物を自由に使えるとされていても、既存の著作物に似ていれば、第三者の著作権を侵害するおそれがあります。また、生成物が著作物として保護されるかどうかは、規約ではなく著作権法で決まります。
覚え方
「規約は当事者だけの約束、第三者の権利は動かせない」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
AIサービスで確認すべき条項(入力データの学習利用、生成物の権利、精度保証や免責)、定型約款の不当条項と変更のルール、規約が第三者の著作権には及ばない点が、事例で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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利用規約が定型約款に当たる場合、提供者は、変更が利用者の一般の利益に適合するときなどの条件を満たせば、利用者と個別に合意しなくても規約を変更できる。
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答え ◯ 正しい
民法548条の4の定めです。変更する旨、変更後の内容、効力発生時期をインターネットなどで周知する必要があり、合理性を理由とする変更は、効力発生時期までに周知しないと効力が生じません。
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生成AIサービスの利用規約で、生成物の権利をすべて利用者に帰属させると定めていれば、その生成物は必ず著作物として保護される。
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答え × 誤り
著作物に当たるかどうかは著作権法で決まります。規約は当事者間の権利関係を定めるだけで、人の創作的な寄与がない生成物を著作物にすることはできません。
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定型約款を用意した提供者は、取引の前に利用者から請求があれば、原則として遅滞なく相当な方法でその内容を示さなければならない。
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答え ◯ 正しい
民法548条の3の定めです。取引の前に正当な理由なく表示を拒むと、個別の条項に合意したとみなす規定が適用されなくなります。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目2 著作権法)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目7 AIサービス提供契約)
- 民法(e-Gov法令検索) (548条の2、548条の3、548条の4)
- 経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日) (5.(3)生成物の著作物性について)