1行定義
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する、著作権法で保護される対象のことです。
くわしく
著作物に当たるかどうかは、著作権法の出発点です。著作物でなければ著作権は生じず、原則として自由に利用できます。AIの分野では、学習に使うデータと、AIが生成したものの両方で、この判断が問題になります。
定義の4つの要素
著作権法2条1項1号は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています。分けると次の4つです。
- 思想又は感情:気温の記録のような、単なる事実やデータは当たりません。
- 創作的:作者の個性が何らかの形で表れていることです。高い芸術性は要りませんが、ありふれた表現は当たりません。
- 表現したもの:頭の中のアイデアではなく、外に表されたものです。アイデア、学説、作風や画風は保護されません。これを表現・アイデア二分論といいます。
- 文芸、学術、美術又は音楽の範囲:知的・文化的な創作物であることです。
具体例
10条は、小説や論文などの言語、音楽、絵画、建築、地図、映画、写真、プログラムなどを例に挙げています。事実を伝えるだけの雑報や時事の報道は当たりません。プログラムの著作物でも、プログラム言語、規約、解法(アルゴリズム)は保護されません。情報の選択や体系的な構成に創作性があるデータベースは、データベースの著作物として保護されます。
権利の発生と期間
著作権は、創作した時点で自動的に生まれ、登録などの手続は要りません。保護期間は、原則として著作者の死後70年までです。
AIとの関係
AI生成物が著作物に当たるかも、この定義で判断します。文化審議会の小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(2024年)は、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合は著作物性が認められないとしています。一方、具体的な指示や加筆・修正などで人が創作的に寄与した場合は、その人の著作物になりえます。インターネット上の文章や画像の多くは著作物なので、AIの学習に使うときは著作権法30条の4の適用を確認します。
覚え方
「思い・個性・かたち・文化」の4つがそろえば著作物、と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
データや事実、アイデア、作風が著作物に当たるかを判断させる形や、AI生成物の著作物性、AIの学習での著作物の利用(30条の4)と結び付けた事例で出題されます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生し、登録などの手続は必要ない。
答えを見る
答え ◯ 正しい
著作権法17条2項は、著作権の享有にいかなる方式の履行も要しないと定めています。無方式主義と呼ばれます。
-
特定の画家の画風をまねた絵を描くと、その画風が著作物として保護されているため、それだけで著作権侵害になる。
答えを見る
答え × 誤り
著作権法が保護するのは具体的な創作的表現です。作風や画風はアイデアにとどまり、それだけでは保護されません。
-
プログラムの著作物の保護は、そのプログラムで使われているアルゴリズム(解法)にも及ぶ。
答えを見る
答え × 誤り
著作権法10条3項は、プログラムの著作物の保護は、プログラム言語、規約及び解法には及ばないと定めています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目2 著作権法)
- 著作権法(e-Gov法令検索) (2条1項1号、10条、12条の2、17条2項、51条)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)