1行定義
著作権侵害とは、著作権者の許諾も権利制限規定の根拠もなく、他人の著作物を複製・翻案・公衆送信などの方法で利用する行為のことです。
くわしく
著作権侵害は、他人の著作物を、許諾なく著作権の及ぶ方法で利用することです。生成AIでは、学習と生成の両方の段階で論点になります。
成立の要件
おおむね次の順で判断します。
- 対象が著作物で、保護期間内であること。
- 類似性:既存の著作物の表現上の本質的な特徴を、直接感じ取れること。アイデアや作風、画風が似ているだけでは当たりません。
- 依拠性:既存の著作物に接し、それをもとに作ったこと。知らずに独自に作り、偶然似た場合は当たりません。
- 複製(21条)、公衆送信(23条)、翻案(27条)など、著作権が及ぶ利用であること。
- 私的使用のための複製(30条)や、情報解析など享受を目的としない利用(30条の4)といった権利制限規定に当たらないこと。
侵害に対する措置
- 差止請求(112条):侵害の停止や予防を求めます。故意や過失は問いません。
- 損害賠償請求:侵害者に故意または過失が必要です(民法709条)。
- 刑事罰(119条):故意の侵害には、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります。法人には3億円以下の罰金が定められています(124条)。
生成AIでの考え方
文化審議会の小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)は、生成物による侵害も、人の創作と同じく類似性と依拠性で判断するとしています。利用者が既存の作品を知っていて、それに似たものを生成させた場合は、依拠性が認められます。作品の画像や題名を入力する場合がその例です。知らなかった場合でも、学習データにその作品が含まれていれば、通常は依拠性が推認されます。故意も過失もなければ、受ける措置は差止請求にとどまり、損害賠償や刑事罰の対象にはならないとしています。ただし、使用料相当額などの不当利得の返還は求められることがあります。
覚え方
「似ている(類似性)と、元にした(依拠性)がそろえば侵害」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
類似性と依拠性の2つの要件、作風が似ているだけでは侵害にならない点、生成AIの利用者が元の作品を知らなかった場合の扱い、差止請求・損害賠償・刑事罰の違いが事例で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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著作権侵害に対する差止請求は、侵害した者に故意や過失がなくても認められる。
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答え ◯ 正しい
差止請求に故意・過失は要りません。一方、損害賠償請求には故意または過失が、刑事罰には故意が必要です。
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人が既存の作品を知らずに独自に創作した作品が、たまたまその作品と似ていた場合でも、類似性があれば著作権侵害になる。
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答え × 誤り
既存の作品に依拠していないため、侵害になりません。著作権は、独自に創作されたよく似た作品にまでは及ばないとされています。
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既存の著作物との類似性と依拠性がある画像を生成AIで作った場合、私的使用の範囲の生成は許されても、その画像をSNSで公開すれば著作権侵害になりうる。
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答え ◯ 正しい
私的使用のための複製(30条1項)は認められますが、SNSへの投稿は公衆送信に当たり、その範囲を超えます。生成と利用は場面ごとに判断されます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目2 著作権法)
- 著作権法(e-Gov法令検索) (21条、23条、27条、30条、30条の4、112条、119条、124条)
- 民法(e-Gov法令検索) (709条)
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日) (5.(2)生成・利用段階)