1行定義
競争制限とは、カルテルや他社の排除などによって、市場で事業者が価格や品質を競い合う働きを弱める行為や状態のことです。
くわしく
市場で事業者が価格や品質を競い合うと、消費者はより安く、より良い商品を選べます。この働きを弱めることを、広く競争制限と呼びます。独占禁止法は、公正かつ自由な競争の促進を目的に掲げ(1条)、競争制限につながる行為を規制しています。
独占禁止法の主な規制
- 私的独占:他の事業者の事業活動を排除したり支配したりして、競争を実質的に制限すること(2条5項)。
- 不当な取引制限:事業者どうしが共同で価格や数量などを決め、競争を実質的に制限すること(2条6項)。カルテルや入札談合が典型です。
- 企業結合の規制:競争を実質的に制限することとなる株式取得や合併などの禁止(10条、15条など)。
- 不公正な取引方法:不当廉売や優越的地位の濫用など、公正な競争を阻害するおそれのある行為(2条9項、19条)。
上の3つは「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」ことが要件です。裁判例では、特定の事業者などがある程度自由に価格や品質などを左右し、市場を支配できる状態をもたらすことをいうとされています。不公正な取引方法は、それより低い水準の公正競争阻害性で規制されます。
AIやデータと競争制限
価格設定AIを使っていても、競合企業の間に価格をそろえる意思の連絡があれば、不当な取引制限に当たりえます。一方、公正取引委員会の研究会の報告書(2021年)は、自ら学習するアルゴリズムがそれぞれ価格を決めた結果、価格がそろったにすぎない場合は、その事実だけでは不当な取引制限に当たらないとしています。
データや計算資源を多くもつ企業が、他社の参入を不当に妨げると、私的独占などに当たるおそれがあります。ただし、シェアが高いこと自体は違法ではありません。生成AIの市場については、公正取引委員会が2026年4月に実態調査報告書ver.2.0を公表しています。
覚え方
「実質的制限は市場支配、公正競争阻害性はその手前」と2段階で覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法の区別や、競争の実質的制限と公正競争阻害性の違いを押さえたうえで、価格設定AIによる協調やデータの集積を独占禁止法にあてはめる形で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 競争制限このページの用語 | カルテルや他社の排除などによって、市場で事業者が価格や品質を競い合う働きを弱める行為や状態 |
| 公正競争阻害性 | 独占禁止法が不公正な取引方法を規制する根拠となる、公正な競争を阻害するおそれ |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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独占禁止法の私的独占には、他の事業者を市場から締め出す行為だけでなく、他の事業者の事業活動を支配する行為も含まれる。
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答え ◯ 正しい
独占禁止法2条5項は、他の事業者の事業活動を「排除し、又は支配する」ことによる競争の実質的制限を私的独占としています。
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企業の合併や株式の取得は、市場の競争にどのような影響を与えるかにかかわらず、独占禁止法の規制の対象にならない。
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答え × 誤り
独占禁止法は、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる株式の取得や合併などを禁止しています(10条1項、15条1項など)。
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競争の実質的制限に当たるといえるには、市場シェアが100%の完全な独占状態になっている必要がある。
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答え × 誤り
裁判例は、競争自体が減って、特定の事業者などがある程度自由に価格や品質などを左右し、市場を支配できる状態をもたらすことをいうとしています。完全な独占までは必要ありません。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目5 独占禁止法)
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)(e-Gov法令検索) (1条、2条5項・6項・9項、3条、10条1項、15条1項、19条)
- 公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(日本法令外国語訳データベース掲載の対訳) (競争の実質的制限についての考え方(東宝・新東宝事件 東京高裁判決の引用))
- 公正取引委員会 報道発表「デジタル市場における競争政策に関する研究会」報告書「アルゴリズム/AIと競争政策」について(2021年3月31日)
- 公正取引委員会 報道発表「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」について(2026年4月16日)