◯×一問一答・第10章
G検定 AI倫理・AIガバナンス 一問一答(135問)
国内外のガイドラインと、公平性・透明性・安全性などAI倫理の論点を扱います。説明文が正しいか誤りかを、◯か×で答えます。
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国内外のガイドライン
要点を読むEU AI法は、EU域外に拠点を置く事業者であっても、EU域内の市場にAIシステムを提供する場合には適用されうる。
◯ 正しい GDPRと同じく域外にも適用されます。日本企業でも、EU向けにAIシステムを提供したり、AIの出力がEU域内で使われたりする場合は対象になりえます。 EU AI法(AI Act)
EU AI法の義務は、2024年8月の発効と同時に、すべての規定で適用が始まった。
× 誤り 義務は段階的に適用されます。禁止事項は2025年2月、汎用目的AIモデルの義務は2025年8月から適用され、高リスクAIの義務はさらに後に始まります。 EU AI法(AI Act)
EU AI法では、禁止されたAIの利用に対する企業への制裁金の上限を、原則として、定額と全世界の年間売上高に対する割合のうち高い方としている。
◯ 正しい 禁止事項の違反は、最大3,500万ユーロか前年度の全世界売上高の7%の高い方です。中小企業やスタートアップには低い方が適用されます。 EU AI法(AI Act)
AI事業者ガイドラインでは、AIガバナンスの目的を、AIの利活用によって生じるリスクをゼロにすることとしている。
× 誤り リスクをステークホルダーにとって受容可能な水準で管理しつつ、便益を最大化することが目的とされています。ゼロリスクは求めていません。 AIガバナンス
アジャイル・ガバナンスでは、AIの運用を始めた後も、規制の変更などの外部環境の変化を踏まえて環境・リスク分析をやり直し、必要に応じてゴールを見直す。
◯ 正しい AIは技術も使われ方も変化が速いため、事前に固定したルールではなく、サイクルを継続的に回して見直すことが重視されています。 AIガバナンス
AIガバナンスは、モデルの精度検証やログの記録といった技術的な対策だけを指し、社内の体制づくりや方針の策定は含まない。
× 誤り 定義には、技術的なシステムだけでなく、組織的及び社会的なシステムの設計と運用も含まれています。 AIガバナンス
AI事業者ガイドラインは、総務省と経済産業省がそれぞれ示していたAIに関する3つのガイドラインを統合・見直して、2024年4月に策定された。
◯ 正しい 総務省主導の「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」「AI利活用ガイドライン」と、経済産業省主導の「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」を統合しました。 AI事業者ガイドライン
AI事業者ガイドラインは、事業活動以外でAIを使う一般の消費者も、ガイドラインに沿って取り組む主体として対象に含めている。
× 誤り 事業活動以外でAIを使う人は「業務外利用者」と呼ばれ、対象に含まれません。ただし、事業者が業務外利用者に対して行うべき対応は記載されています。 AI事業者ガイドライン
AI事業者ガイドラインは、内容を固定せず、技術や国際的な議論の変化に合わせて更新するLiving Documentとして位置づけられている。
◯ 正しい 2024年4月の第1.0版のあと、第1.01版、第1.1版と改訂され、2026年3月に第1.2版が公表されました。 AI事業者ガイドライン
AI倫理で扱う問題は、法律に違反するかどうかに限られない。
◯ 正しい 法律に違反しなくても、偏った判断や理由を説明できない判断が人を傷つけたり、社会の信頼を損なったりすることがあります。AI倫理は、こうした問題も対象にします。 AI倫理
AI倫理への対応は、開発段階で一度済ませれば、運用を始めた後に見直す必要はない。
× 誤り 運用中に利用者や入力データが変わると、新たな偏りや悪用のリスクが生じます。AI事業者ガイドラインも、AIのライフサイクル全体で対策を実行することを求めています。 AI倫理
AI倫理に関する原則の多くは、違反すると罰則が科される法律ではなく、ガイドラインなどのソフトローとして示されている。
◯ 正しい 日本のAI事業者ガイドラインも、自らを非拘束的なソフトローと位置づけています。罰則がないからといって、原則に照らした見直しが不要になるわけではありません。 AI倫理
価値原則は、AIの技術的な性能を高めるための設計の指針であり、人権や民主主義のような社会的な価値は対象に含まない。
× 誤り OECDのAI原則は、人権と民主的価値を価値にもとづく原則の1つに掲げています。日本の人間中心のAI社会原則も、人間の尊厳を基本理念の1つとしています。 価値原則
価値原則は抽象的な言葉で書かれるため、それだけで現場の具体的な作業手順が決まるわけではない。
◯ 正しい 「公平性」を何で測り、どこまで求めるかは、用途や状況によって変わります。原則を具体的な基準や手順に落とし込むのが、AIガバナンスの役割です。 価値原則
世界の主要なAI倫理の指針を分析した研究では、透明性、公正、プライバシーなどの原則が、多くの指針に共通して掲げられていることが示された。
◯ 正しい 2019年のJobinらの研究は、透明性、正義と公正、無危害、責任、プライバシーの5つに収束する傾向を示しました。ただし、各原則の解釈や実践の方法には違いがあるとも指摘しています。 価値原則
総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインは、ガイドライン自身の中で「非拘束的なソフトロー」と位置づけられている。
◯ 正しい 本編の「はじめに」で、関係者の自主的な取り組みを促す非拘束的なソフトローとして策定したと説明しています。 ソフトロー
ソフトローには、国が定めるガイドラインだけでなく、国際機関が示す原則や業界団体の自主規制も含まれる。
◯ 正しい ソフトローは法的拘束力のない規範を広く指す言葉です。OECDのAI原則や、業界団体の自主ルールもその例です。 ソフトロー
ある規範がソフトローかハードローかは、作成したのが国か民間かによって決まる。
× 誤り 区別の基準は作成者ではなく、法的拘束力の有無です。国が作るガイドラインでも、法的拘束力がなければソフトローです。 ソフトロー
EUのGDPRや日本の個人情報保護法は、AI専用の法律ではないが、AIの開発や利用にも適用される法的拘束力のあるルールである。
◯ 正しい AI専用の法律がなくても、個人情報、著作権、製造物責任などの既存の法律はAIにも適用されます。AIに関するハードローはAI専用の法律に限りません。 ハードロー
EUのAI法では、汎用目的AIモデルの提供者が、任意で署名する行動規範(Code of Practice)に沿うことを、法律上の義務を守っていることを示す手段として使える。
◯ 正しい 行動規範は独立した専門家が作成し、2025年7月に欧州委員会が受け取って公表しました。参加は任意ですが、法的義務を満たす方法を具体化します。ハードローとソフトローを組み合わせた例です。 ハードロー
日本のAI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)は、AIを活用する事業者に、国や地方公共団体の施策に協力することを求めている。
◯ 正しい 第7条で、活用事業者は国や地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないと定めています。ただし、違反に対する罰則はありません。 ハードロー
AI事業者ガイドラインは、リスクの大きさを危害の大きさとその蓋然性からとらえ、対策の程度をそれに対応させる考え方を示している。
◯ 正しい 本編の「はじめに」で、過度な対策もAI活用の便益を損なうとして、リスクベースアプローチの重要性を述べています。 リスクベースアプローチ
EUのAI法では、スパムフィルターのようにリスクが最小限のAIにも、高リスクのAIと同じ義務が課される。
× 誤り 最小限のリスクのAIには特別な義務がありません。義務の重さをリスクに比例させるのがリスクベースアプローチです。 リスクベースアプローチ
EUのAI法では、チャットボットの利用者に、機械と対話していることを知らせる透明性の義務が定められている。
◯ 正しい 高リスクほど重くない「透明性に関するリスク」の区分です。ディープフェイクであることの表示も、この区分の義務に含まれます。 リスクベースアプローチ
ハードローは、改正に立法の手続きが必要なため、技術の変化が速い分野ではルールが実態に追いつかないことがある。
◯ 正しい AI事業者ガイドラインも、法律の整備・施行と技術の発展との間にタイムラグが生じることを、非拘束的なソフトローでガイドラインを作った理由の1つに挙げています。 ソフトローとハードローの違い
ソフトローは法的拘束力をもたないため、AIのルールづくりでは、ハードローが整うまでの一時的なつなぎとしてしか使われない。
× 誤り ソフトローは、改定しやすい長所を生かして継続的に使われます。AI事業者ガイドラインはLiving Documentとして更新を重ねており、2026年3月には第1.2版が公表されました。 ソフトローとハードローの違い
ソフトローとハードローの区別と、リスクの大きさに応じて対策の強さを変えるリスクベースアプローチは、同じ観点による分類である。
× 誤り ソフトロー・ハードローは法的拘束力の有無による区別で、リスクベースアプローチは対策の程度の決め方です。EUのAI法はハードロー、AI事業者ガイドラインはソフトローですが、どちらもリスクベースアプローチをとっています。 ソフトローとハードローの違い
プライバシー
要点を読むカメラ画像利活用ガイドブックver3.0は、2022年3月に公表された。
◯ 正しい IoT推進コンソーシアム、総務省、経済産業省がまとめました。2017年1月のver1.0、2018年3月のver2.0に続く改訂で、令和2年・令和3年の改正個人情報保護法への対応などが行われています。 カメラ画像利活用ガイドブック
カメラ画像利活用ガイドブックの配慮事項に従わない事業者は、そのことを理由に、個人情報保護法にもとづく罰則の対象となる。
× 誤り ガイドブックは法令の遵守を前提に、事業者の自主的な取り組みを促すための参考資料です。罰則の対象になるのは法律に違反した場合で、ガイドブックに従わないこと自体ではありません。 カメラ画像利活用ガイドブック
カメラ画像利活用ガイドブックは、防犯目的で取得されるカメラ画像の取扱いを、検討の対象として取り上げていない。
◯ 正しい 対象は商用目的の利活用です。防犯目的や公共目的のカメラ画像は検討の対象外としつつ、その場合にもガイドブックの内容が参考になるとしています。 カメラ画像利活用ガイドブック
GDPRは、データ保護バイデザインとデータ保護バイデフォルトを、個人データの管理者が講じるべき措置として定めている。
◯ 正しい GDPR第25条の定めです。取扱いの方法を決める時点から保護措置を組み込み、目的に必要な個人データだけが初期設定で扱われるようにすることを求めています。 プライバシー・バイ・デザイン
プライバシー・バイ・デザインを支持する決議が、2010年のデータ保護プライバシー・コミッショナー国際会議で採択された。
◯ 正しい エルサレムで開かれた第32回の会議で、プライバシー保護に欠かせない要素として認める決議が採択されました。提案者は、カナダ・オンタリオ州の情報・プライバシー・コミッショナーだったアン・カブキアンです。 プライバシー・バイ・デザイン
プライバシー・バイ・デザインは情報システムの設計だけを対象とする考え方で、業務の手順や組織の運用には及ばない。
× 誤り 2010年の決議は、情報技術に加えて、業務慣行、プロセス、物理的な設計、ネットワーク基盤まで、組織全体に適用できる考え方として示しています。 プライバシー・バイ・デザイン
公平性
要点を読む顔画像から性別を推定する商用システムを調べた研究で、肌の色が濃い女性の誤り率が、肌の色が薄い男性より大幅に高いことが報告されている。
◯ 正しい 2018年のGender Shadesという研究で、誤り率は肌の色が濃い女性で最大34.7%、肌の色が薄い男性で最大0.8%でした。 アルゴリズムバイアス
モデル全体の正解率が十分に高ければ、特定の集団に誤りが偏っていないと判断できる。
× 誤り 全体の平均が高くても、人数の少ない集団に誤りが集中することがあります。属性ごとに分けて評価する必要があります。 アルゴリズムバイアス
アルゴリズムバイアスの原因は学習データだけでなく、何を予測の目的にするかといった設計上の判断にもある。
◯ 正しい たとえば過去の採用結果を「良い人材」の正解として学習させると、過去の判断にあった偏りまで再現します。 アルゴリズムバイアス
機会均等(equal opportunity)は、実際に陽性かどうかにかかわらず、陽性と予測される割合をグループ間でそろえる基準である。
× 誤り それは統計的パリティの説明です。機会均等は、実際に陽性の人に限って、陽性と予測される割合(真陽性率)をそろえます。 公平性の定義
公平性の定義は研究者の間で1つに統一されており、その定義を満たせば、どの用途でも公平だと判断できる。
× 誤り 公平性の定義は複数あり、同時には満たせない組み合わせもあります。どれを優先するかは、用途や影響を受ける人への害を踏まえて決めます。 公平性の定義
均等化オッズ(equalized odds)は、真陽性率と偽陽性率の両方を、センシティブ属性で分けたグループ間でそろえることを求める基準である。
◯ 正しい 機会均等の条件(真陽性率)に加えて、偽陽性率もそろえる、より厳しい基準です。AI事業者ガイドラインの別添も、集団公平性の基準の例に挙げています。 公平性の定義
単純無作為抽出は、母集団のどの要素も等しい確率で選ばれるようにする方法で、サンプリングバイアスを防ぐ基本的な手段である。
◯ 正しい 選ばれやすさに差がなければ、標本の構成は平均的に母集団の構成と一致します。集団ごとに抽出する層化抽出も併用されます。 サンプリングバイアス
現在も営業を続けている企業のデータだけで成功の要因を分析すると、倒産した企業の情報が抜け落ち、結論が偏るおそれがある。
◯ 正しい 選別を通過したものだけを見ることで生じる偏りで、生存者バイアスと呼ばれます。標本の選ばれ方に原因があるため、サンプリングバイアスの一種として説明されることがあります。 サンプリングバイアス
サンプリングバイアスは世論調査などの統計調査の用語であり、機械学習の学習データには関係しない。
× 誤り 学習データも母集団から集めた標本です。AI事業者ガイドラインも、統計的な意味のバイアスの例としてサンプリングバイアスを挙げています。 サンプリングバイアス
AI事業者ガイドラインの別添は、センシティブ属性を明確にする際に、憲法14条1項が列挙する事由や、国際的な人権に関するルールで言及されている属性を考慮するとしている。
◯ 正しい 憲法14条1項は、人種、信条、性別、社会的身分、門地による差別を禁じています。これらが検討の出発点になります。 センシティブ属性
公平性の分析で扱うセンシティブ属性は、個人情報保護法の要配慮個人情報と同じ範囲を指す。
× 誤り 重なる部分はありますが、同じではありません。性別や年齢は代表的なセンシティブ属性ですが、要配慮個人情報には含まれません。 センシティブ属性
センシティブ属性はどの用途でも同じ項目に決まっているため、事業者ごとに検討する必要はない。
× 誤り AI事業者ガイドラインの別添は、各事業者が自社にとってのセンシティブ属性を明確にし、確保すべき公平性の内容も決めるよう求めています。 センシティブ属性
AI事業者ガイドラインは、明らかなセンシティブ属性を取り除いたデータでも、関連する情報からセンシティブ属性が類推されてしまう場合を、潜在的なバイアスの例に挙げている。
◯ 正しい 本編の公平性の項目の脚注で示されている例です。属性を入力から外すだけでは、代理変数を通じた偏りを防げません。 代理変数
代理変数として働くのはセンシティブ属性と1対1で対応する変数だけであり、複数の変数の組み合わせがその代わりになることはない。
× 誤り 1つ1つは弱い相関でも、組み合わせると属性をかなり正確に推測できることがあります。単独の相関だけを調べても見落としが生じます。 代理変数
統計学では、直接測ることが難しい量の代わりに、それと関係の深い測りやすい量を代理変数として使うことがある。
◯ 正しい これが代理変数の本来の意味です。公平性の文脈では、この「代わりになる」性質が、意図しない差別の経路として問題になります。 代理変数
顔分析の評価に広く使われていた2つのデータセットを調べた2018年の研究では、肌の色が明るい人の画像がそれぞれ約80%と約86%を占めていたと報告されている。
◯ 正しい Gender Shadesという研究の結果です。評価用のデータが偏っていると、特定の集団での精度の低さに気づけません。 データの偏り
データの偏りは、入力ミスや欠損を取り除くデータクレンジングを行えば、すべて解消できる。
× 誤り クレンジングで直せるのは記録の誤りです。集団の過不足や、正確に記録された過去の不平等は、クレンジングでは取り除けません。 データの偏り
測定の方法や精度が集団によって異なると、データの収集手順が定められたとおりでも、記録された値そのものに偏りが生じることがある。
◯ 正しい 測定の偏りと呼ばれます。どの集団のデータを集めたかだけでなく、どう測ったかも確かめる必要があります。 データの偏り
安全性とセキュリティ
要点を読むあるモデル向けに作ったAdversarial Examplesが、構造や学習データの異なる別のモデルも誤認識させることがある。
◯ 正しい 転移性と呼ばれる性質です。攻撃者がモデルの中身を知らなくても、手元の別のモデルで作った入力で攻撃できる理由になります。 Adversarial Attack
敵対的生成ネットワーク(GAN)は、Adversarial Attackから画像認識モデルを守るために考案された防御手法である。
× 誤り GANは生成器と識別器を競わせて学習する生成モデルで、「敵対的」という言葉が共通するだけです。防御手法の代表は敵対的学習です。 Adversarial Attack
テストデータでの精度を十分に高めれば、Adversarial Examplesによる誤認識は起きなくなる。
× 誤り 通常のデータで高精度のモデルでも、わずかな摂動で誤認識します。精度の高さと、細工された入力への頑健性は別の性質です。 Adversarial Attack
セキュリティ・バイ・デザインには、開発の後半で問題が見つかって作り直す手戻りを減らし、結果として開発の費用を抑える効果も期待される。
◯ 正しい 後付けで対策を加えたり、出荷直前に初めて検査したりすると、手戻りが多発します。早い段階で織り込むほど修正の費用は小さくなります。 セキュリティ・バイ・デザイン
セキュリティ・バイ・デザインとプライバシー・バイ・デザインは同じ考え方の別名であり、AI事業者ガイドラインでも区別されていない。
× 誤り 前者はシステムの安全を、後者は個人情報やプライバシーの保護を最初から組み込む考え方です。ガイドラインでも別の項目として挙げられています。 セキュリティ・バイ・デザイン
機械学習を使うシステムでは、従来の情報システムの資産に加えて、学習データやAIモデル、パラメータも守るべき資産として考える必要がある。
◯ 正しい AI事業者ガイドラインの別添が指摘する点です。これらの資産を狙うデータ汚染やモデル窃取などの攻撃を、脅威分析で想定します。 セキュリティ・バイ・デザイン
データ汚染の手口には、通常の入力には正しく応答し、攻撃者が決めた合図(トリガー)を含む入力のときだけ誤った出力をするよう、モデルに仕込むものがある。
◯ 正しい バックドア攻撃と呼ばれます。普段の精度は下がらないため、通常のテストでは気づきにくい点が厄介です。 データ汚染
データ汚染は、学習済みモデルを推論に使う段階で、入力データに人には見えないノイズを加えて誤認識させる攻撃である。
× 誤り それはAdversarial Examples(回避攻撃)の説明です。データ汚染は学習データに手を加え、学習の段階でモデルをゆがめます。 データ汚染
大規模言語モデルの事前学習データは膨大なため、データ汚染を成功させるには、学習データ全体に対して一定以上の割合の不正データを混ぜる必要があることが実験で確かめられている。
× 誤り 2025年の研究では、調べた範囲のモデルの規模によらず、約250件の細工した文書でバックドアを仕込めたと報告されています。割合ではなく件数が効くという結果です。 データ汚染
顔認識モデルの出力の確信度を手がかりに、学習に使われた人物の顔だと見分けられる画像を復元できることが、研究で示されている。
◯ 正しい 2015年に示されたモデルインバージョン攻撃です。モデルの出力を観察するだけで、学習データに近い情報が漏れる例です。 データ窃取
GPT-2を対象にした2021年の研究では、パラメータ数の大きいモデルほど、学習データの文章を抽出されやすいという結果が報告されている。
◯ 正しい 大きいモデルほど、学習データを多く記憶していたためです。モデルを大きくすると、学習データが漏れるリスクはむしろ高まりえます。 データ窃取
データ窃取の手口は、学習データを保管するサーバーへの不正侵入に限られる。
× 誤り 従来型の侵入に加えて、学習済みモデルへの問い合わせと出力の観察だけで学習データの情報を引き出す、機械学習特有の手口があります。 データ窃取
連合学習では、参加者の1人が細工したモデルの更新を送ることで、全体のモデルにバックドアを仕込める場合がある。
◯ 正しい 各参加者の学習データは共有されず、更新だけが集められるため、不正な更新を見分けにくいことが背景にあります。2018年の研究で示されました。 モデル汚染
AI事業者ガイドラインの別添は、モデルポイズニング攻撃の攻撃者の例として、外部の攻撃者だけでなく、AIモデルの提供者も挙げている。
◯ 正しい モデルを作って配布する側が細工をすれば、利用者は入手した時点で汚染されたモデルを使うことになります。入手経路の信頼性の確認が対策になります。 モデル汚染
モデル汚染は、運用中のモデルに細工した入力を与えて、その場で誤認識させる攻撃のことである。
× 誤り それはAdversarial Examples(回避攻撃)の説明です。モデル汚染は、モデルの重みそのものに細工をしておく攻撃です。 モデル汚染
モデル窃取で作った複製モデルは、元のモデルを狙うAdversarial Examplesを作るための足がかりに使われることがある。
◯ 正しい 複製モデルの上で作った敵対的サンプルは、元のモデルも誤認識させやすいためです。中身を知らない相手への攻撃の準備になります。 モデル窃取
APIが確信度を返さず、予測したクラスのラベルだけを返すようにすれば、モデル窃取は原理的に不可能になる。
× 誤り ラベルだけでも、問い合わせを重ねれば複製できることが示されています。出力の加工は複製を難しくする対策の1つで、回数の制限や監視と組み合わせます。 モデル窃取
AI事業者ガイドラインの別添は、モデル抽出攻撃(モデル窃取)を、機密性の侵害を引き起こす脅威の例に挙げている。
◯ 正しい モデルは開発に費用がかかる資産で、営業秘密にもなりえます。同じ表で、データ汚染(データポイズニング攻撃)は主に完全性や可用性の侵害の側に挙げられています。 モデル窃取
Adversarial Attackは、攻撃者が標的のモデルの学習データに手を加えられる場合にしか成立しない。
× 誤り Adversarial Attackは、学習済みのモデルへの入力を細工する攻撃です。学習データに触れられなくても、推論時に入力を送れれば仕掛けられます。 データ汚染とAdversarial Attackの違い
汚染のおそれがないデータだけでモデルを学習し直しても、Adversarial Examplesによる誤認識を防げるとは限らない。
◯ 正しい Adversarial Examplesは、きれいなデータで学習したモデルの弱点を突きます。データの管理は主にデータ汚染への備えで、敵対的学習や入力の検知などを別に組み合わせます。 データ汚染とAdversarial Attackの違い
データ汚染を受けたモデルは、細工されていない通常の入力に対しても、誤った判定をすることがある。
◯ 正しい 全体の精度を下げる狙いで誤ったラベルのデータを混ぜる手口では、通常の入力でも誤りが増えます。一方、合図を含む入力のときだけ誤るバックドア型は、通常の入力では正しく動くため気づきにくくなります。 データ汚染とAdversarial Attackの違い
悪用
要点を読むディープフェイクという言葉は、ディープラーニング(deep learning)と偽物(fake)を組み合わせた造語である。
◯ 正しい 2017年ごろ、海外の掲示板サイトで、AIで顔を入れ替えた動画の投稿者名から広まったとされています。 ディープフェイク
EUのAI法は、ディープフェイクを生成したAIの利用者に、人工的に生成・加工されたものであることの開示を求めている。
◯ 正しい AI法の透明性に関する義務の1つです。リスクベースアプローチの区分では、禁止や高リスクではなく、透明性に関するリスクに当たります。 ディープフェイク
ディープフェイクの技術は人をだます用途にしか使えないため、映像制作などの正当な用途はない。
× 誤り 映画の特殊効果や、吹き替え音声に合わせた口の動きの補正などの用途もあります。問題になるのは、同意のない利用やだます目的での利用です。 ディープフェイク
誤情報(misinformation)には、だます意図なく、善意で共有されて広まった誤った情報も含まれる。
◯ 正しい だます意図をもって作られる偽情報(disinformation)と区別されます。どちらも社会に混乱を招くおそれがあります。 フェイクニュース
Twitter上の拡散を分析した2018年の研究では、虚偽のニュースは真実のニュースより速く、広く拡散する傾向が示された。
◯ 正しい MITの研究者らがScience誌で報告しました。差を生んでいたのはボットではなく、人間による共有だったとされています。 フェイクニュース
フェイクニュースは、生成AIが登場したことで初めて生じた問題である。
× 誤り うわさや偽の報道は昔からあります。生成AIは、もっともらしい偽の文章や画像を大量に、安く作れるようにした点で、問題を大きくしています。 フェイクニュース
透明性
要点を読むデータの来歴とは、学習済みモデルが個々の入力に対して、なぜその出力をしたのかを示す情報のことである。
× 誤り これは説明可能性の説明です。データの来歴は、データの出所、収集の時期や目的、加工の手順といった、データそのものがたどった経緯の記録です。 データの来歴
AI事業者ガイドラインは、データの出所や、AIの開発・提供・利用中に行われた意思決定などを、技術的に可能かつ合理的な範囲で追跡・遡求できる状態にすることを示している。
◯ 正しい 共通の指針「7)アカウンタビリティ」の「①トレーサビリティの向上」の内容です。データの来歴の管理は、その土台になります。 データの来歴
公開データセットのライセンスを大規模に調べた研究では、データセットの共有サイト上で、ライセンス情報の記載漏れや誤りが多いことが報告されている。
◯ 正しい 2023年のData Provenance Initiativeの調査は、広く使われる共有サイトで、ライセンスの記載漏れが7割を超え、誤りも5割を超えると報告しました。来歴が途切れると、利用条件を確かめられなくなります。 データの来歴
ブラックボックスと呼ばれるAIでも、どのような入力に対してどのような出力を返したかは観察できる。
◯ 正しい 見えないのは、入力から出力に至るまでの内部の過程です。入出力を記録したり、入力を変えて出力の変化を調べたりすることは、説明の手がかりになります。 ブラックボックス
ブラックボックス化したAIでは、開発した企業であっても、個々の判断の理由を十分に説明できないことがある。
◯ 正しい 膨大な数のパラメータが組み合わさって出力が決まるため、作った人でも理由を読み取れるとは限りません。中身を秘密にしているから見えない、という問題だけではありません。 ブラックボックス
ブラックボックスの問題は、学習済みモデルのパラメータの値をすべて開示すれば解消する。
× 誤り 膨大な数値を並べても、人はそこから判断の理由を読み取れません。根拠を人が理解できる形で示すには、XAIの手法や、解釈しやすいモデルの選択が必要です。 ブラックボックス
民主主義
要点を読むエコーチェンバーは推薦アルゴリズムによって生じる現象であり、推薦機能のない掲示板や、参加者を限ったグループでのやりとりでは生じない。
× 誤り 中心にあるのは、似た考えの人が集まり、同じ意見を聞き合うという人どうしのつながり方です。推薦アルゴリズムはこれを強めることがありますが、必要な条件ではありません。 エコーチェンバー
AI事業者ガイドラインの別添は、フィルターバブルやエコーチェンバー現象を通じて、利用者が極端な考えの持ち主になる懸念を挙げている。
◯ 正しい 別添1の「AIによる便益/リスク」で、SNSなどのレコメンドを通じた社会の分断の例として示されています。 エコーチェンバー
総務省の令和5年版情報通信白書は、フィルターバブルやエコーチェンバーによる意見や思想の偏りが社会の分断を招き、民主主義を危険にさらす可能性があるとしている。
◯ 正しい 白書は、両者によってインターネット上で集団分極化が起きているという指摘を紹介しています。考えを極端にした人は、考えの異なる相手を受け入れず、話し合いを拒みやすいとも述べています。 エコーチェンバー
フィルターバブルという言葉は、2011年に出版された書籍『The Filter Bubble』などを通じて、イーライ・パリサーが広めた。
◯ 正しい パリサーは同じ2011年のTEDの講演でも、検索結果やニュースの個人化が利用者の視野を狭める危険を指摘しました。 フィルターバブル
AI事業者ガイドラインは、フィルターバブルへの対処法の例として、セレンディピティ(偶然・予想外の発見)の考慮を挙げている。
◯ 正しい 具体的な手法として、多様な情報源の利用やアルゴリズムの見直しが示されています。 フィルターバブル
推薦機能を使わず、検索エンジンで自分から調べるだけであれば、フィルターバブルは生じない。
× 誤り 検索結果も、過去の検索履歴などによって人ごとに変わることがあります。パリサーが挙げた例の1つも、検索結果の個人化でした。 フィルターバブル
環境保護
要点を読むデータセンターでは冷却などにも電力を使うため、施設全体の消費電力は、計算機そのものが使う電力より大きくなる。
◯ 正しい 施設全体の電力を計算機の電力で割った値をPUE(電力使用効率)と呼びます。1に近いほど付帯設備の電力が少ない、効率のよい施設です。 モデル学習の電力消費
学習の消費電力量は、学習時間、プロセッサの台数、1台あたりの平均電力、PUEを掛け合わせて見積もることができる。
◯ 正しい Pattersonらが示した見積もり方です。さらに電力1kWhあたりの排出量(排出係数)を掛けると、温室効果ガスの排出量になります。 モデル学習の電力消費
AIは電力を消費して環境負荷を増やすだけであり、エネルギー管理などに使っても電力の効率化にはつながらない。
× 誤り AI事業者ガイドラインの別添も、エネルギー管理にAIを導入すると効率的な電力利用が可能になるなど、AIによる環境への貢献の可能性を忘れてはならないとしています。 モデル学習の電力消費
労働政策
要点を読むコンサルタントを対象にした実験では、AIの能力の範囲外に設定した複雑な課題でも、生成AIを使った人のほうが、使わなかった人より正しい解答を出す割合が高かった。
× 誤り Dell'Acquaらの実験では、範囲内の課題でAIを使った人は、より多くの課題をより速く、高い質で仕上げました。一方、範囲外の課題では、正しい解答を出す割合が使わなかった人より低くなりました。 AIとの協働
生成AIによる支援を顧客対応の担当者に導入した研究では、経験の浅い担当者ほど生産性の向上幅が大きかった。
◯ 正しい Brynjolfssonらの2023年のワーキングペーパーでは、1時間あたりに解決した問い合わせが平均14%増え、経験の浅い担当者や技能の低い担当者では34%増えました。熟練者への効果はわずかでした。 AIとの協働
AI事業者ガイドラインは、生成AIの活用が広がっても人とAIの作業の棲み分けは変わらないとして、教育やリスキリングの検討は不要としている。
× 誤り 共通の指針の「②教育・リスキリング」は、AIと人間の作業の棲み分けが変わっていくと想定し、新たな働き方ができるよう教育・リスキリング等を検討するとしています。 AIとの協働
AI支援の大腸内視鏡検査を日常的に使うようになった医師について、AIを使わない検査での腺腫の発見率が、導入前より下がったと報告した観察研究がある。
◯ 正しい 2025年に発表されたポーランドの4施設の研究では、AIを使わない検査での発見率が28.4%から22.4%に下がりました。観察研究のため、AIだけが原因とは断定できない点にも注意が必要です。 スキルの喪失
人が手を出す必要がめったにない、よくできた自動化システムほど、いざというときに人が対応するための訓練の必要性は小さくなる。
× 誤り ベインブリッジは1983年の論文で、手動での介入がまれな、うまくいっている自動化システムほど、運用者の訓練に最も大きな投資が必要になりうると指摘しました。使わない技能は衰えるためです。 スキルの喪失
スキルの喪失は、体を使う作業の技能に限られ、状況を判断するような知的な作業では起こらない。
× 誤り ベインブリッジも、手作業の技能だけでなく、状況を理解して判断する認知的な技能も、使わなければ衰えると論じています。AIは判断や文章作成も担うため、影響は知的な作業にも及びます。 スキルの喪失
国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計(出生中位・死亡中位)では、15〜64歳の人口は2020年の7,509万人から、2070年には4,535万人に減るとされている。
◯ 正しい 15〜64歳の人口は、1995年の8,726万人をピークに減り続けています。働き手の中心となる年齢層が細ることが、労働力不足の背景にあります。 労働力不足
AI事業者ガイドラインは、少子高齢化に伴う労働力の低下などの社会課題を解決する手段として、AIの活用が期待されていることを挙げている。
◯ 正しい 「はじめに」で、こうした指摘などを踏まえ、ソフトローによるゴールベースの考え方でガイドラインを作成したと述べています。 労働力不足
AI事業者ガイドラインの別添は、生成AIなどの導入による労働生産性の向上に期待を示す一方、失業リスクや格差の拡大については懸念を示していない。
× 誤り 別添1は、業務負担の軽減や労働生産性の向上が期待できる一方で、失業リスクや格差の拡大なども一部では懸念されていると述べています。 労働力不足
その他の重要な価値
要点を読むEU AI法は、軍事、防衛または国家安全保障の目的だけに使われるAIシステムを、適用の対象外としている。
◯ 正しい EU AI法2条3項に定めがあります。軍事目的のAIは、国際人道法などの国際法や、各国の防衛政策のもとで議論されています。 AIの軍事利用
日本は、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器システムについて、開発も使用も国際的に認められるべきではないとの立場をとっている。
◯ 正しい 防衛省の2025年のガイドラインもこの立場を踏まえ、研究開発するAI装備品が、人間の関与が及ばない完全自律型の致死兵器でないことを要件の1つにしています。 AIの軍事利用
防衛省は、AI特有のリスクを理由に、防衛分野ではAIを活用しない方針を示している。
× 誤り 防衛省は、リスクを管理しながらAIの活用を進める方針です。2024年7月に基本方針を示し、2025年6月にはAIを使う装備品の研究開発で確認する要件をガイドラインにまとめました。 AIの軍事利用
日本の刑法では、死者の名誉を毀損する行為は、虚偽の事実を摘示した場合でなければ罰せられない。
◯ 正しい 刑法230条2項の定めです。生きている人の名誉毀損では、摘示した事実が真実かどうかにかかわらず処罰の対象になりうる点と異なります。 死者への敬意
著作権法は、著作物を公衆に提供・提示する者に対し、著作者の死後も、著作者が生きていれば著作者人格権の侵害となる行為を原則として禁じている。
◯ 正しい 著作権法60条の定めです。遺族は、違反する行為をする者に対して、差止めなどを請求できます(116条)。 死者への敬意
死者への敬意の観点からは、故人の声や姿をAIで再現すること自体が、目的や同意の有無にかかわらず一律に許されないとされている。
× 誤り 追悼や記録として、生前の同意や遺族の意向を踏まえて行う再現もありえます。問題になるのは、本人の意思に反する言動をさせることや、本物と誤解させる公開などです。 死者への敬意
ダイバーシティは多様な人がいる状態を指すのに対し、インクルージョンは、その多様な人が排除されずに受け入れられ、参加できている状態を指す。
◯ 正しい 多様な人がいても、一部の人の意見が反映されなかったり、サービスを使えなかったりすれば、インクルージョンは実現していません。両者はセットで考えます。 ダイバーシティとインクルージョン
AI事業者ガイドラインの別添は、RAG(検索拡張生成)を活用すれば、生成AIの回答が収束して多様性が失われるおそれはなくなるとしている。
× 誤り 別添1の「多様性・包摂性の喪失」は、社会全体が同じモデルを同じ使い方で使うと回答が収束しうると指摘しています。RAGを活用した場合は、収束が加速して多様性がさらに失われる可能性にも触れています。 ダイバーシティとインクルージョン
AI事業者ガイドラインは、共通の指針の「多様性・包摂性の確保」で、いわゆる情報弱者や技術弱者を生じさせず、より多くの人がAIの恩恵を受けられるよう注意を払うことを挙げている。
◯ 正しい 具体的な例として、ユニバーサルデザインやアクセシビリティの確保、関連するステークホルダーへの教育・フォローアップなどを示しています。 ダイバーシティとインクルージョン
シラバスのキーワード「人間の自律性」は、AIエージェントが人の指示を待たずに自律的に動作できる性能の高さを指す。
× 誤り 人間の自律性は、人間の側が自分の意思で判断し選択できることを指します。AIが自律的に動くことは、むしろ人間の自律性を守る配慮を必要とする場面です。 人間の自律性
AI事業者ガイドラインは、自動化バイアスなど、AIに過度に依存するリスクに注意を払い、必要な対策を講じることを求めている。
◯ 正しい 第2部C「共通の指針」の人間中心の項目に記載があります。対策として、AIの欠点を含む特性を理解する研修などが挙げられています。 人間の自律性
EU AI法は、人の判断能力を著しく損なう操作的・欺瞞的な手法で行動をゆがめ、重大な害を生じさせるおそれのあるAIシステムを禁止している。
◯ 正しい 5条1項(a)の禁止事項です。意識下に働きかけるサブリミナル技術も対象に含まれます。 人間の自律性
AIガバナンス
要点を読むAI事業者ガイドラインが示すアジャイル・ガバナンスのサイクルでは、AIに対する監査は「評価」の段階に位置づけられる。
◯ 正しい 別添では、行動目標5-1「AIマネジメントシステムの機能の検証」が「評価」に置かれています。ゴール設定で定めたAIポリシーなどに照らして、仕組みが機能しているかを確かめます。 AIに対する監査
ISO/IEC 42006は、AIマネジメントシステムの監査と認証を行う機関に求められる要件を定めた国際規格である。
◯ 正しい 組織のAIマネジメントシステムそのものの要求事項は、ISO/IEC 42001が定めています。AI事業者ガイドラインの別添は、どちらも参照すると有用だとしています。 AIに対する監査
AIに対する監査は、個々のAIが差別やプライバシー侵害を起こさないかを開発前に洗い出す活動で、AIを管理する仕組み全体が機能しているかは対象としない。
× 誤り 個々のAIの影響を洗い出すのは、倫理アセスメントの役割です。監査は、倫理アセスメントやモニタリングを含む管理の仕組み全体が、方針どおりに機能しているかを確かめます。 AIに対する監査
AI事業者ガイドラインの別添は、潜在的なリスクが軽微であることを理由にAIガバナンス・ゴールを設定しない場合、その事実を理由とともにステークホルダーに公開することが期待されるとしている。
◯ 正しい ゴールを設定する場合だけでなく、設定しない判断についても説明することが期待されています。設定しない場合でも、評価や運用の取組は適宜行うことが期待されます。 AIポリシー
AI事業者ガイドラインは、企業の取組方針の名称を「AIポリシー」に統一するよう定めている。
× 誤り ガイドラインは、呼称は各主体により相違してよいとしています。実際に、AI倫理原則、AIコミットメントなど、さまざまな名称が使われています。 AIポリシー
AI事業者ガイドラインの別添は、ガイドラインの「共通の指針」が十分に機能すると判断した場合、自社独自のゴールに代えて「共通の指針」をAIガバナンス・ゴールとしてもよいとしている。
◯ 正しい 独自のポリシーを定める場合でも、「共通の指針」の内容を参考にすることが期待されています。 AIポリシー
乱数のシード値を固定すれば、CPUとGPUのように実行環境が異なっていても、学習をやり直したときに必ずまったく同じ結果が得られる。
× 誤り PyTorchのドキュメントは、同じシード値を使っても、CPUとGPUの間では結果が再現されないことがあり、バージョンやプラットフォームが異なる場合も完全な再現は保証されないとしています。環境やバージョンの記録・固定も必要です。 再現性
分類モデルの評価指標である再現率は、同じ条件で学習をやり直したときに、同じ結果が得られる度合いを表す。
× 誤り 再現率は、実際に陽性のもののうち、モデルが正しく陽性と予測できた割合です。見逃しの少なさを表す指標で、再現性とは別の概念です。 再現性
生成AIでは、同じプロンプトを入力しても、出力が毎回同じになるとは限らない。
◯ 正しい 多くの生成AIは、確率にもとづいて次の語を選ぶなど、出力の生成に乱数を使うためです。結果を検証できるよう、入力、設定、モデルの版を記録しておくことが大切です。 再現性
AI事業者ガイドラインは、トレーサビリティを確保するため、AIシステムのすべての処理の記録を、期限を設けずに保存し続けることを求めている。
× 誤り トレーサビリティの向上は、技術的に可能かつ合理的な範囲で追跡・遡求できる状態を確保することとされています。ログの記録方法、頻度、保存期間も、「透明性」の項で、技術の特性や用途、事故の原因究明での重要性などを踏まえて検討するとしています。 トレーサビリティ
EU AI法は、高リスクAIシステムについて、システムの存続期間を通じてイベントの記録(ログ)を自動で残せる機能を備えることを定めている。
◯ 正しい 12条の記録保持の規定です。用途に応じたトレーサビリティを確保し、リスクのある状況の特定や、市販後モニタリング、運用の監視に役立てることが目的とされています。 トレーサビリティ
AI事業者ガイドラインがトレーサビリティの向上で追跡・遡求の対象に挙げているのはデータの出所だけであり、開発や利用の途中で行われた意思決定は含まれない。
× 誤り 共通の指針は、データの出所に加えて、AIシステム・サービスの開発・提供・利用中に行われた意思決定なども、追跡・遡求の対象に挙げています。 トレーサビリティ
自動化バイアスとは、人が自動化されたシステムを信頼できず、その出力を必要以上に疑ってしまう傾向のことである。
× 誤り 向きが逆です。自動化バイアスは、自動化されたシステムを過度に信頼し、依存してしまう傾向です。人間の関与を形だけのものにしてしまう要因になります。 人間の関与(Human-in-the-Loop)
EU AI法は、高リスクAIシステムを監督する人が、「停止」ボタンなどの手段でシステムを安全な状態で止められるようにすることを求めている。
◯ 正しい 14条4項(e)の規定です。同じ項は、システムを使わないと決めたり、出力を無視したり覆したりできること((d))や、自動化バイアスに注意を保てること((b))も挙げています。 人間の関与(Human-in-the-Loop)
AI事業者ガイドラインの共通の指針は、AIの出力が公平性を欠くことがないよう、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討することを挙げている。
◯ 正しい 「3)公平性」の「②人間の判断の介在」の内容です。あわせて、人間の判断が自動化バイアスに左右されないような対策を講じるべきだとしています。 人間の関与(Human-in-the-Loop)
入力データの分布が学習時と変わっていなくても、入力と正解の関係が変われば、モデルの予測性能は低下しうる。
◯ 正しい 入力と正解の関係が変わる現象をコンセプトドリフトといいます。入力データの分布だけを見ていると気づけないことがあるため、性能の指標もあわせて確認します。 モニタリング(AIシステムの運用監視)
予測が当たったかどうかがすぐにはわからない用途では、性能を直接測れない期間があるため、入力データの分布の変化を見張って劣化の兆候をとらえる方法が使われる。
◯ 正しい たとえば貸し倒れの予測は、結果がわかるまでに長い時間がかかります。その間は、入力や出力の分布が学習時からずれていないかが手がかりになります。 モニタリング(AIシステムの運用監視)
AI事業者ガイドラインの別添は、運用中のモニタリングはAIシステムを提供・利用する主体だけが行うものとしており、開発した主体による支援は想定していない。
× 誤り 行動目標4-2は、AIシステムを開発する主体が、提供・利用する主体のモニタリングを支援することを期待しています。性能に大きく影響する入出力のログを自動で取る設定や、監視の方法の説明が例です。 モニタリング(AIシステムの運用監視)
AI事業者ガイドラインの別添は、ゴールからの乖離によるリスクが認められた場合、その大きさ、範囲、発生頻度などを考慮して、受け入れる合理性があるかを判定することを期待している。
◯ 正しい 行動目標3-1の内容です。合理性が認められなければ、AIの開発・提供・利用のあり方を見直すプロセスを、設計から利用開始後までの適切な段階に組み込むことが期待されています。 倫理アセスメント
EUのAIに関するハイレベル専門家会合(AI HLEG)が2020年に公表したALTAIは、信頼できるAIの要件に照らして、AIの開発者や導入者が自己評価するためのチェックリストである。
◯ 正しい 2019年の「信頼できるAIのための倫理ガイドライン」を実務で使える形にしたもので、PDF版とウェブ版があります。 倫理アセスメント
AI事業者ガイドラインの別添は、AIポリシーなどのゴールからの乖離が見つかった場合、乖離があることだけを理由に、AIの開発・提供・利用を一律に取りやめるべきだとしている。
× 誤り 乖離評価はリスクを評価するためのステップで、改善のきっかけとされています。乖離だけを理由に恣意的に不可とする対応は適当でないとされています。 倫理アセスメント