1行定義
プライバシー・バイ・デザインとは、問題が起きてから対処するのではなく、企画・設計の段階からプライバシー保護の仕組みを組み込んでおく考え方のことです。
くわしく
プライバシー・バイ・デザインは、プライバシーの保護を「後から付け足すもの」ではなく、「最初から設計に組み込むもの」とする考え方です。カナダ・オンタリオ州の情報・プライバシー・コミッショナーだったアン・カブキアンが提唱しました。2010年には、データ保護プライバシー・コミッショナー国際会議が、プライバシー保護に欠かせない要素として認める決議を採択しています。
7つの原則
- 事後的ではなく事前的、救済的ではなく予防的
- 初期設定としてのプライバシー:本人が何もしなくても保護される
- デザインに組み込まれたプライバシー
- ゼロサムではなくポジティブサム:保護と機能を両立させる
- 最初から最後までのセキュリティ:データのライフサイクル全体を守る
- 可視性と透明性
- 利用者のプライバシーの尊重
AI開発での意味
AIは大量のデータを集めて学習します。後から設計を変えると、データを集め直したり、モデルを作り直したりする必要が生じます。そこで、企画の段階で必要なデータの種類と量を絞り、保存期間を決め、仮名化などの加工を組み込みます。AI事業者ガイドラインも、AI開発者に対し、プライバシー・バイ・デザインなどを通じて学習データを適正に収集するよう求めています。
法令での位置づけ
EUのGDPRは第25条で、データ保護バイデザインとデータ保護バイデフォルトを、個人データの管理者の義務として定めています。日本の個人情報保護法には直接の規定はありません。個人情報保護委員会は2021年の文書で、PIA(個人情報保護評価)を、この考え方を実践する手法の1つと位置づけています。
セキュリティ・バイ・デザインとの違い
同じ発想を情報セキュリティに当てはめたのが、セキュリティ・バイ・デザインです。前者は本人のプライバシーを守ることに、後者はシステムや情報資産を攻撃から守ることに重点があります。
覚え方
「後付けより作り込み」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
事後対応ではなく事前に組み込むという考え方、初期設定での保護やポジティブサムなどの7つの原則、GDPRのデータ保護バイデザイン、セキュリティ・バイ・デザインとの違いが、事例への当てはめで問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| プライバシー・バイ・デザインこのページの用語 | 問題が起きてから対処するのではなく、企画・設計の段階からプライバシー保護の仕組みを組み込んでおく考え方 |
| セキュリティ・バイ・デザイン | システムの企画・設計の段階からセキュリティ対策を組み込み、開発の全工程を通じて安全性を確保する考え方 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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GDPRは、データ保護バイデザインとデータ保護バイデフォルトを、個人データの管理者が講じるべき措置として定めている。
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答え ◯ 正しい
GDPR第25条の定めです。取扱いの方法を決める時点から保護措置を組み込み、目的に必要な個人データだけが初期設定で扱われるようにすることを求めています。
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プライバシー・バイ・デザインを支持する決議が、2010年のデータ保護プライバシー・コミッショナー国際会議で採択された。
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答え ◯ 正しい
エルサレムで開かれた第32回の会議で、プライバシー保護に欠かせない要素として認める決議が採択されました。提案者は、カナダ・オンタリオ州の情報・プライバシー・コミッショナーだったアン・カブキアンです。
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プライバシー・バイ・デザインは情報システムの設計だけを対象とする考え方で、業務の手順や組織の運用には及ばない。
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答え × 誤り
2010年の決議は、情報技術に加えて、業務慣行、プロセス、物理的な設計、ネットワーク基盤まで、組織全体に適用できる考え方として示しています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目9 プライバシー)
- 32nd International Conference of Data Protection and Privacy Commissioners, Privacy by Design Resolution(2010年10月、エルサレム。W3C public-privacyメーリングリスト掲載の写し) (Privacy by Design: The Foundational Principles)
- 個人情報保護委員会「一般データ保護規則(GDPR)」条文の仮日本語訳 (第25条(データ保護バイデザイン及びデータ保護バイデフォルト))
- 個人情報保護委員会「PIAの取組の促進について-PIAの意義と実施手順に沿った留意点-」(2021年6月30日) (Ⅰ.1.PIAの考え方)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) (第3部 D-2)i.「適切なデータの学習」)