1行定義
セキュリティ・バイ・デザインとは、システムの企画・設計の段階からセキュリティ対策を組み込み、開発の全工程を通じて安全性を確保する考え方のことです。
くわしく
セキュリティ・バイ・デザインは、システムができあがってから穴をふさぐのではなく、最初から安全な設計にしておくという考え方です。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC、現在の国家サイバー統括室)が、情報セキュリティを企画・設計の段階から組み込むための方策として定義しました。
なぜ早い段階なのか
後付けでセキュリティ機能を加えたり、出荷の直前に初めて検査したりすると、問題が見つかるたびに設計からやり直す手戻りが起きます。早い段階で対策を織り込めば手戻りが減り、結果として費用も抑えられます。AI事業者ガイドラインの別添は、実施例として次のようなものを挙げています。
- 脅威分析:システムが直面する脅威と想定される攻撃を洗い出し、「何から守るのか」を明確にする。
- セキュリティ要件の定義:安全な運用に必要な目標を、要件として文書にする。
AIシステムでの考え方
AI事業者ガイドラインは、AI開発者とAI提供者が取り組む事項として、セキュリティ・バイ・デザインを挙げています。
機械学習を使うシステムには、学習データ、AIモデル、パラメータといった、従来の情報システムにはない守るべき資産があります。脅威分析では、次のようなAI特有の攻撃も想定します。
- 学習データに不正なデータを混ぜるデータ汚染
- 配布される学習済みモデルに細工するモデル汚染
- 入力を細工して誤認識させるAdversarial Examples
- 問い合わせの結果からモデルを複製するモデル窃取
- モデルなどから学習データの情報を引き出すデータ窃取
ガイドラインは、AIシステムの脆弱性を完全には排除できないと認識するよう求めています。そのため、設計の段階で、運用中の監視や侵害されたときの対応まで決めておきます。
プライバシー・バイ・デザインとの違い
プライバシー・バイ・デザインは、個人情報やプライバシーの保護を最初から組み込む考え方です。守る対象が違い、AI事業者ガイドラインでも別の項目として挙げられています。
G検定での出題
出題のされ方
後付けではなく企画・設計段階から対策を組み込む考え方であることや、脅威分析・セキュリティ要件の定義などの実施例、AI特有の攻撃への備え、プライバシー・バイ・デザインとの違いが問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| セキュリティ・バイ・デザインこのページの用語 | システムの企画・設計の段階からセキュリティ対策を組み込み、開発の全工程を通じて安全性を確保する考え方 |
| プライバシー・バイ・デザイン | 問題が起きてから対処するのではなく、企画・設計の段階からプライバシー保護の仕組みを組み込んでおく考え方 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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セキュリティ・バイ・デザインには、開発の後半で問題が見つかって作り直す手戻りを減らし、結果として開発の費用を抑える効果も期待される。
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答え ◯ 正しい
後付けで対策を加えたり、出荷直前に初めて検査したりすると、手戻りが多発します。早い段階で織り込むほど修正の費用は小さくなります。
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セキュリティ・バイ・デザインとプライバシー・バイ・デザインは同じ考え方の別名であり、AI事業者ガイドラインでも区別されていない。
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答え × 誤り
前者はシステムの安全を、後者は個人情報やプライバシーの保護を最初から組み込む考え方です。ガイドラインでも別の項目として挙げられています。
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機械学習を使うシステムでは、従来の情報システムの資産に加えて、学習データやAIモデル、パラメータも守るべき資産として考える必要がある。
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答え ◯ 正しい
AI事業者ガイドラインの別添が指摘する点です。これらの資産を狙うデータ汚染やモデル窃取などの攻撃を、脅威分析で想定します。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目11 安全性とセキュリティ)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日) (第2部C 5)セキュリティ確保(p.19)、第3部 D-5)ⅰ、第4部 P-5)ⅰ(プライバシー・バイ・デザインは第3部 D-2)ⅰ、第4部 P-4)ⅰ))
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添」(2026年3月31日) (別添3 D-5)ⅰ セキュリティ対策のための仕組みの導入(pp.108–111)、表7(p.111))
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「セキュリティ・バイ・デザイン導入指南書」(2022年8月) (1.2 セキュリティ・バイ・デザインとは(pp.4–5)、2章 脅威分析、3章 セキュリティ要件)