1行定義
倫理アセスメントとは、AIを開発・導入する前や運用中に、そのAIが人や社会に与えうる差別やプライバシー侵害などの影響を洗い出し、対策を決める評価のことです。
くわしく
倫理アセスメントは、AIを開発・導入する前や運用の途中で、そのAIが誰にどんな影響を与えうるかを洗い出し、対策を決める評価です。差別、プライバシーの侵害、安全、人間の自律性などの観点からリスクを確かめます。法令に違反するかどうかだけでなく、法令に定めのない問題も対象にします。
進め方の例
- 用途と、影響を受ける人を明らかにする。利用者だけでなく、AIの判断を受ける人も含める。
- チェックリストなどを使い、公平性やプライバシーといった観点ごとにリスクを洗い出す。
- リスクの大きさ、範囲、起こりやすさから、受け入れられるかを判断する。
- 対策を決めて記録する。受け入れられなければ、設計や用途を見直す。
評価は企画・設計の段階から始め、データや用途が変わるたびにやり直します。開発に直接関わっていない人や、法務、現場の担当者など、立場の異なる人を加えると見落としが減ります。
ガイドラインと実例
AI事業者ガイドラインの別添は、AIポリシーなどのゴールからの「乖離評価」を、設計から利用開始後までの適切な段階に組み込むことを期待しています。受け入れる合理性のないリスクが見つかれば、開発や利用のあり方を見直します。
別添には企業の実例も載っています。パナソニックグループは、製品やサービスに合わせたチェックリストを生成する「AI倫理チェックシステム」を運用しています。富士通は、国内外の指針から項目を抽出した「AI倫理影響評価」を無料で公開しています。海外では、EUの専門家会合が2020年に、信頼できるAIの要件に沿って自己評価するチェックリスト「ALTAI」を公表しました。
監査との違い
倫理アセスメントは、個々のAIの影響を評価する活動です。監査は、こうした評価を含む仕組み全体が機能しているかを、独立した立場から確かめます。
G検定での出題
出題のされ方
倫理アセスメントを行う時期や体制、法令違反の確認にとどまらない評価の範囲が、企業の事例で問われます。監査やモニタリングとの役割の違いを区別できるかも要点です。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 倫理アセスメントこのページの用語 | AIを開発・導入する前や運用中に、そのAIが人や社会に与えうる差別やプライバシー侵害などの影響を洗い出し、対策を決める評価 |
| AIに対する監査 | AIを管理する仕組みが方針どおりに設計・運用され、有効に機能しているかを、設計や運用から独立した専門性のある者が評価する活動 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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AI事業者ガイドラインの別添は、ゴールからの乖離によるリスクが認められた場合、その大きさ、範囲、発生頻度などを考慮して、受け入れる合理性があるかを判定することを期待している。
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答え ◯ 正しい
行動目標3-1の内容です。合理性が認められなければ、AIの開発・提供・利用のあり方を見直すプロセスを、設計から利用開始後までの適切な段階に組み込むことが期待されています。
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EUのAIに関するハイレベル専門家会合(AI HLEG)が2020年に公表したALTAIは、信頼できるAIの要件に照らして、AIの開発者や導入者が自己評価するためのチェックリストである。
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答え ◯ 正しい
2019年の「信頼できるAIのための倫理ガイドライン」を実務で使える形にしたもので、PDF版とウェブ版があります。
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AI事業者ガイドラインの別添は、AIポリシーなどのゴールからの乖離が見つかった場合、乖離があることだけを理由に、AIの開発・提供・利用を一律に取りやめるべきだとしている。
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答え × 誤り
乖離評価はリスクを評価するためのステップで、改善のきっかけとされています。乖離だけを理由に恣意的に不可とする対応は適当でないとされています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目18 AIガバナンス)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添」(2026年3月31日) (別添2 行動目標3-1【ゴール及び乖離の評価、並びに乖離対応の必須化】、別添2 B コラム7(パナソニック)・コラム8(富士通))
- European Commission, High-Level Expert Group on AI, Assessment List for Trustworthy Artificial Intelligence (ALTAI) for self-assessment(2020年7月)
- European Commission, High-Level Expert Group on AI, Ethics Guidelines for Trustworthy AI(2019年4月) (7 key requirements)