1行定義
Question-Answering(質問応答)とは、人が自然な文で尋ねた質問に対し、コンピュータが文書やデータをもとに答えそのものを返す技術のことです。
くわしく
Question-Answering(質問応答)は、人がふだんの言葉で尋ねた質問に、コンピュータが答えを返す技術です。たとえば「富士山の高さは」と聞かれたとき、関連するページの一覧を示すのではなく、「3,776m」と答えることを目指します。関連する文書を順に並べて返す情報検索とは、ここが違います。
歴史の中の質問応答
研究の歴史は古く、1961年には、野球の試合結果のデータについて英語の質問に答えるBASEBALLが発表されています。初期のシステムは扱う分野を限り、質問の文をデータの検索条件に変換して答えていました。
G検定の知識表現の項目では、IBMのワトソンが代表例です。ワトソンは2011年、米国のクイズ番組で歴代のチャンピオンに勝ちました。事典やニュース記事などの大量の文書から答えの候補を集め、根拠の強さから確信度を計算して答えを選びました。分野を限らない質問に答えるこの形を、オープンドメインの質問応答といいます。同じ項目には、大学入試に挑んだ東ロボくんも並びます。
自然言語処理のタスクとして
自然言語処理では、質問応答は代表的なタスクの1つです。主な形式には次のものがあります。
- 抽出型:与えられた文章から、答えにあたる部分を抜き出す。
- 生成型:答えの文を新たに作って返す。
- 知識ベース型:整理された知識のデータベースに問い合わせて答える。
2018年に発表されたBERTは、事前学習したモデルをSQuADなどの質問応答のデータセットでファインチューニングし、高い性能を示しました。いまでは、検索で集めた文書を大規模言語モデル(LLM)に参照させて答えを生成するRAG(検索拡張生成)も広く使われています。生成型では、もっともらしい誤りが混ざることがあるため、根拠の文書を確かめる運用が欠かせません。
覚え方
「情報検索は文書を返し、質問応答は答えを返す」と覚えます。
G検定での出題
- シラバス項目『知識表現とエキスパートシステム』の要点まとめ練習問題 16問技術4大項目:人工知能をめぐる動向
- シラバス項目『自然言語処理』の要点まとめ練習問題 18問技術27大項目:ディープラーニングの応用例
出題のされ方
知識表現の項目ではワトソンや東ロボくんの事例と結びつけて、自然言語処理の項目では情報検索や文書要約などのタスクと区別して問われます。文書ではなく答えそのものを返す点が見分けどころです。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Question-Answering(質問応答)このページの用語 | 人が自然な文で尋ねた質問に対し、コンピュータが文書やデータをもとに答えそのものを返す技術 |
| 情報検索 | 大量の文書などの中から、利用者の求める情報に合うものを探し出し、関連の強さに応じて示す技術 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
質問応答システムが返す答えは、参照した文書から抜き出した語句に限られる。
答えを見る
答え × 誤り
文章から答えの部分を抜き出す抽出型のほかに、答えの文を新たに作る生成型もあります。大規模言語モデルを使う質問応答の多くは生成型です。
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オープンドメインの質問応答は、話題を特定の分野に限らず、幅広い質問に答えることを目指す。
答えを見る
答え ◯ 正しい
分野を限るものはクローズドドメインと呼ばれます。クイズ番組で幅広い分野の問題に答えたワトソンは、オープンドメインの例です。
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RAG(検索拡張生成)を使う質問応答では、質問に関連する文書を検索で集め、その内容を大規模言語モデルに参照させて回答を生成する。
答えを見る
答え ◯ 正しい
モデルが学習していない社内文書や新しい情報も、回答に反映できます。ただし誤りがなくなるわけではないため、根拠の文書を確かめる運用が必要です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目4 知識表現とエキスパートシステム)
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目27 自然言語処理)
- Bert F. Green Jr., Alice K. Wolf, Carol Chomsky, Kenneth Laughery, Baseball: An Automatic Question-Answerer, Western Joint IRE-AIEE-ACM Computer Conference (1961)
- David Ferrucci et al., Building Watson: An Overview of the DeepQA Project, AI Magazine 31(3), 59–79 (2010)
- Pranav Rajpurkar, Jian Zhang, Konstantin Lopyrev, Percy Liang, SQuAD: 100,000+ Questions for Machine Comprehension of Text (2016)
- Jacob Devlin, Ming-Wei Chang, Kenton Lee, Kristina Toutanova, BERT: Pre-training of Deep Bidirectional Transformers for Language Understanding (2018)
- Patrick Lewis et al., Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks (2020)