1行定義
意味ネットワークとは、概念をノード(節点)、概念どうしの関係をラベル付きのリンク(矢印)で表し、知識をグラフの形で表現する方法のことです。
くわしく
意味ネットワークは、人間の知識を「概念」と「概念どうしの関係」に分けて、図のように表す知識表現の方法です。1960年代にクィリアンが、人間の記憶のしくみを説明するモデルとして提案しました。
しくみ
概念をノード(節点)として置き、関係をラベル付きのリンク(矢印)で結びます。たとえば「スズメ」から「鳥」へis-aのリンクを、「翼」から「鳥」へpart-ofのリンクを引きます。こうして知識を、コンピュータがたどれるグラフの形にします。
関係の種類で推論が変わる
よく使う関係は次の3つです。
- is-aの関係:「AはBの一種」という上位と下位の関係です。推移律が成り立ち、上位概念の性質が下位概念に引き継がれます(継承)。
- part-ofの関係:「AはBの一部」という部分と全体の関係です。部分は全体の性質をそのまま引き継ぐわけではありません。推移律も、関係の種類によっては成り立たないことがあります。
- has-aの関係:「AはBを持つ」という関係です。part-ofを全体の側から見た向きとして使われることもあります。
継承があるため、「鳥は飛べる」を「鳥」に一度書くだけで、下位のすべての鳥に当てはめられます。同じ知識を何度も書かずに済むのが利点です。一方で、「ペンギンは飛べない」のような例外は、個別に書き分ける必要があります。
周辺の概念との関係
意味ネットワークは知識表現の基本的な考え方の1つで、第2次AIブームのエキスパートシステムの研究にもつながりました。概念の定義と関係を厳密に決めて共有する取り組みはオントロジーへ、ウェブ上のデータに意味を付ける取り組みはセマンティックWebへと発展しています。ただし、知識を人が書き込む方式なので、扱う知識が増えるほど書く手間が膨らみます。これは知識獲得のボトルネックの問題とも重なります。
覚え方
「is-aは種類で継承あり、part-ofは部品で継承なし」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
ノードとリンクがそれぞれ何を表すか、is-aの関係・part-ofの関係で性質の継承や推移律がどう成り立つかが問われます。オントロジーなど他の知識表現との関係も問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 意味ネットワークこのページの用語 | 概念をノード(節点)、概念どうしの関係をラベル付きのリンク(矢印)で表し、知識をグラフの形で表現する方法 |
| オントロジー | ある分野の概念と概念どうしの関係を明確に定義し、人やコンピュータが知識を共有・再利用できるようにした体系 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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意味ネットワークでは、リンクに「is-a」「part-of」などのラベルを付けて、概念どうしの関係の種類を区別する。
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答え ◯ 正しい
関係の種類によって成り立つ推論が変わるため、リンクの意味をラベルで明示します。
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意味ネットワークでは、上位概念に書いた性質を、is-aの関係をたどって下位概念に引き継がせることができる。
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答え ◯ 正しい
「鳥は飛べる」を鳥に書けば、「スズメは鳥の一種」から「スズメは飛べる」を導けます。これを性質の継承と呼びます。
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意味ネットワークは、大量の文章から統計的に学習した数値のベクトルで、単語の意味を表す方法である。
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答え × 誤り
それは分散表現(単語埋め込み)の説明です。意味ネットワークは、人が概念と関係を記号で書き表す知識表現です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目4 知識表現とエキスパートシステム)
- M. Ross Quillian, Word concepts: A theory and simulation of some basic semantic capabilities, Behavioral Science 12(5), 410–430 (1967)
- Allan M. Collins, M. Ross Quillian, Retrieval time from semantic memory, Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior 8(2), 240–247 (1969)