1行定義
協調フィルタリングとは、多くの利用者の評価や購買の履歴から、好みの似た利用者や一緒に選ばれやすい商品を見つけて推薦する方式のことです。
くわしく
協調フィルタリングは、多くの利用者の行動の記録を持ち寄って、一人ひとりへのおすすめを決める推薦の方式です。「趣味の近い人が気に入った本を読んでみる」ことを、データで大規模に行うイメージです。
2つの方式
- ユーザーベース:評価や購買の履歴が本人と似ている利用者を探します。その人たちが高く評価していて、本人がまだ利用していない商品を推薦します。
- アイテムベース:同じ利用者に一緒に選ばれやすい商品どうしを、似ている商品とみなします。本人が過去に選んだ商品と似た商品を推薦します。商品どうしの関係は比較的安定しているため、類似度を前もって計算しておけます。
どちらも、行に利用者、列に商品を並べた評価の表を使い、行どうしや列どうしの似ている度合い(類似度)を、コサイン類似度や相関係数で測ります。
特徴と弱点
商品のジャンルや説明文といった中身の情報は使いません。そのため属性を整える手間がかからず、本人が選んだことのない種類の商品が推薦されることもあります。
一方で、履歴のない新しい利用者や新商品は、比べる手がかりがなく、うまく扱えません。これをコールドスタート問題といいます。また、多くの利用者はごく一部の商品にしか記録を残さないため、評価の表の大半が空欄になります。この性質をスパース性といい、対策として表を少数の潜在的な要因に分解する行列分解が広く使われています。
属性を使うコンテンツベースフィルタリングと組み合わせて、弱点を補うこともよくあります。
歴史
協調フィルタリングという言葉は、電子メールなどを選別するシステムTapestryの1992年の論文で生まれたとされます。1994年のGroupLensは、利用者の評価をもとにネットニュースの記事を推薦しました。2003年には、Amazon.comが自社で使うアイテムベースの方式を論文で紹介しました。
覚え方
「みんなの履歴の重なりから勧める」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
商品の属性を使わず履歴の重なりだけで推薦する点、ユーザーベースとアイテムベースの違い、コンテンツベースフィルタリングとの使い分け、コールドスタート問題やスパース性といった弱点が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 協調フィルタリングこのページの用語 | 多くの利用者の評価や購買の履歴から、好みの似た利用者や一緒に選ばれやすい商品を見つけて推薦する方式 |
| コンテンツベースフィルタリング | 商品のジャンルや説明文などの属性と、利用者が過去に好んだ商品の属性を照らし合わせて推薦する方式 |
違いを表で比べる
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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アイテムベースの協調フィルタリングでは、商品どうしの類似度を、ジャンルや説明文などの商品の属性がどれだけ共通しているかで測る。
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答え × 誤り
商品どうしの類似度も、どの利用者に一緒に評価や購入をされたかという履歴から計算します。属性で類似度を測るのは、コンテンツベースフィルタリングの考え方です。
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ユーザーベースの協調フィルタリングでは、評価の傾向が本人と似ている利用者を探し、その利用者たちが高く評価していて、本人がまだ利用していない商品を推薦する。
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答え ◯ 正しい
似た利用者を探すときは、評価の表の行どうし(利用者どうし)を、コサイン類似度や相関係数などで比べます。
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協調フィルタリングでは、多くの利用者がごく一部の商品にしか評価や購入の記録を残さないため、利用者×商品の評価の表の大半が空欄になりやすい。
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答え ◯ 正しい
スパース性と呼ばれる弱点です。共通して評価した商品が少ないと、類似度を測りにくくなります。表を少数の潜在的な要因に分解する行列分解などで補います。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目8 教師なし学習)
- David Goldberg, David Nichols, Brian M. Oki, Douglas Terry, Using collaborative filtering to weave an information tapestry, Communications of the ACM 35(12), 61–70 (1992)
- Paul Resnick, Neophytos Iacovou, Mitesh Suchak, Peter Bergstrom, John Riedl, GroupLens: An Open Architecture for Collaborative Filtering of Netnews, Proceedings of CSCW '94, 175–186 (1994)
- Badrul Sarwar, George Karypis, Joseph Konstan, John Riedl, Item-based collaborative filtering recommendation algorithms, WWW 2001, 285–295
- Greg Linden, Brent Smith, Jeremy York, Amazon.com Recommendations: Item-to-Item Collaborative Filtering, IEEE Internet Computing 7(1), 76–80 (2003)
- Yehuda Koren, Robert Bell, Chris Volinsky, Matrix Factorization Techniques for Recommender Systems, Computer 42(8), 30–37 (2009)