1行定義
多次元尺度構成法(MDS)とは、データどうしの距離(非類似度)の関係をできるだけ保つように、データを2次元などの低い次元の空間に配置する手法のことです。
くわしく
多次元尺度構成法(MDS)は、データどうしの「距離」だけを手がかりに、データを2次元や3次元の図の上に配置する手法です。よく知られた例は、都市間の距離の一覧表から、地図のような配置を描き直すことです。緯度や経度を知らなくても、距離の表だけで位置関係を再現できます。ただし、図の向きや裏表までは決まりません。
何を入力にするか
入力は、すべての組について距離(似ていなさ)を並べた表です。元のデータが数値の特徴量をもっている必要はありません。たとえば、消費者に商品の組ごとの似ていなさを答えてもらい、その結果から商品どうしの位置関係を示す図を作れます。
計量MDSと非計量MDS
- 計量MDS:距離の値そのものを、できるだけ保つように配置します。1952年にトーガソンが示した古典的MDSが代表です。元のデータの数値から計算したユークリッド距離を入力にすると、古典的MDSの配置は、軸の向きの反転を除いて主成分分析の主成分得点と一致します。
- 非計量MDS:距離の大小の順序だけを保つように配置します。「AとBはAとCより似ている」という順序にしか意味がないデータに使います。1964年にクラスカルが、配置のずれを表すストレスという指標を小さくする方法を示しました。
注意点
低い次元に収めるので、元の距離を完全には再現できないのが普通です。ずれの大きさはストレスなどで確かめます。また、MDSが保つのは点どうしの距離なので、図の縦軸と横軸にあらかじめ決まった意味はありません。軸の解釈は分析者が行います。
他の手法との違い
主成分分析は、各データの特徴量から、分散が大きい方向を軸として求めます。t-SNEは、近いデータどうしの関係を優先して保ち、遠いデータどうしの距離は重視しません。MDSは、遠い組も含めた全体の距離関係を保とうとします。何を保つ手法かで区別します。
覚え方
「距離の表から地図を描き直す」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
次元削減・可視化の手法の1つとして、距離の表から配置を求める考え方が問われます。主成分分析やt-SNEと並べて、それぞれが何を保とうとする手法かを区別させる形が典型です。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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非計量MDSは、距離の値そのものではなく、「AとBはAとCより似ている」といった距離の大小の順序をできるだけ保つように配置する。
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答え ◯ 正しい
アンケートで答えてもらった似ている度合いのように、値の大きさより順序に意味があるデータに向いています。1964年のクラスカルの論文で、ずれを表すストレスという指標を小さくする方法が示されました。
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MDSで作った2次元の図では、横軸と縦軸の意味があらかじめ決まっており、軸の値をそのまま特定の性質の量として読める。
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答え × 誤り
MDSが保つのは点どうしの距離です。図を回転させても距離は変わらないため、軸の意味づけは分析者が点の並びを見て行います。
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MDSで2次元に配置すれば、どのようなデータでも、元の距離の関係が誤差なく再現される。
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答え × 誤り
低い次元に収めると、元の距離を完全には再現できないのが普通です。どれだけずれているかは、ストレスなどの指標で確かめます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目8 教師なし学習)
- Warren S. Torgerson, Multidimensional Scaling: I. Theory and Method, Psychometrika 17(4), 401–419 (1952)
- J. B. Kruskal, Multidimensional Scaling by Optimizing Goodness of Fit to a Nonmetric Hypothesis, Psychometrika 29(1), 1–27 (1964)
- J. C. Gower, Some distance properties of latent root and vector methods used in multivariate analysis, Biometrika 53(3–4), 325–338 (1966)