1行定義
t-SNEとは、高次元のデータを、近いデータどうしの関係をできるだけ保ったまま2次元や3次元に配置する、可視化向きの非線形の次元削減手法のことです。
くわしく
t-SNEは、2008年にファン・デル・マーテンとヒントンが発表した次元削減の手法です。何百もの変数をもつデータを、人が目で見て確かめられる2次元や3次元の図に描くために使われます。
考え方
まず元の高次元空間で、データどうしの近さを確率で表します。あるデータから見て、近くにあるデータほど高い確率で「隣人」に選ばれる、と考えます。次に、低次元の図の上でも同じように隣人の確率を計算します。そして、2つの確率分布のずれ(KL情報量)が小さくなるように、図の上の点の位置を少しずつ動かします。こうして、元の空間で近かったデータどうしが、図の上でも近くに集まります。
t分布を使う理由
高次元のデータを2次元に押し込むと、中くらいの距離にあるデータを置く場所が足りなくなります。その結果、点が図の中央に詰まりがちです。これを混雑問題(crowding problem)と呼びます。t-SNEは、図の側の近さを、正規分布より裾の重いt分布で測ります。こうすると、少し離れたデータどうしは図の上でより遠くに置かれ、まとまりどうしがはっきり分かれて見えます。
主成分分析との違い
主成分分析は線形の変換で、データ全体のばらつきを保つことを重視します。t-SNEは非線形で、近いデータどうしの関係を優先して保ちます。そのため、曲がった構造やまとまりを見つけるのは得意ですが、次の点に注意が必要です。
- 図の上のクラスタの大きさや、クラスタどうしの距離は、元の空間での広がりや離れ具合をそのまま表さない。
- パープレキシティなどのハイパーパラメータや乱数の初期値によって、結果が変わる。
- 新しいデータを加えるときは、基本的に計算をやり直す。
- データ数が多いと計算に時間がかかる。
このため、t-SNEは主に、データの構造をつかむための可視化や探索的な分析に使われます。
覚え方
「近所づきあいだけを大事にして地図を描く」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
近いデータどうしの関係を保つ非線形の手法である点、主に可視化に使う点、主成分分析やMDSとの違い、図の上のクラスタの大きさや距離を読むときの注意が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| t-SNEこのページの用語 | 高次元のデータを、近いデータどうしの関係をできるだけ保ったまま2次元や3次元に配置する、可視化向きの非線形の次元削減手法 |
| 主成分分析 | 多くの変数をもつデータを、元のばらつき(分散)をできるだけ保つ、互いに無相関な少数の合成変数にまとめる次元削減の手法 |
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t-SNEでは、低次元の図の側での近さを、正規分布より裾の重いt分布を使って表す。
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答え ◯ 正しい
裾の重いt分布を使うと、少し離れたデータどうしが図の上でより遠くに置かれます。点が中央に詰まる混雑問題を和らげる工夫です。
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t-SNEは、学習で得た変換式を新しいデータにそのまま当てはめられるので、後から届いたデータを同じ図に追加するのが容易である。
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答え × 誤り
t-SNEは、与えられたデータ点の配置そのものを最適化する手法です。新しいデータを加えるには、基本的に計算をやり直します。
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t-SNEは主成分分析と同じく線形の変換なので、曲がった面の上に並ぶような構造は図に表せない。
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答え × 誤り
t-SNEは非線形の手法です。線形の主成分分析では表しにくい、曲がった構造やまとまりを図に表すのに向いています。