1行定義
構文解析とは、形態素解析で区切った単語や文節が、文の中でどのように結び付いているかという文の構造を求める処理のことです。
くわしく
構文解析は、文の骨組みを明らかにする処理です。形態素解析で区切った単語を受け取り、どの語句がどの語句に係るのか、何が主語で何が述語なのかといった、語句どうしの関係を求めます。
2つの表し方
文の構造の表し方には、大きく2つあります。
- 句構造解析:文を名詞句や動詞句などのまとまりに分け、それらが入れ子になった木構造で表します。文脈自由文法にもとづく方法で、英語の解析でよく使われてきました。
- 係り受け解析(依存構造解析):どの語がどの語に係るかという、語と語の関係で表します。
日本語では、「新しい」「店の」のような文節を単位とした係り受け解析がよく使われます。日本語では係る側が受ける側より前に置かれるため、文末の文節を除くどの文節も、自分より後ろにある文節のどれか1つに係ると考えます。また、係り受けの関係どうしは交差しないと仮定します。2002年に工藤と松本が発表した手法は、この性質を前提に、各文節が直後の文節に係るかどうかを機械学習で判定しながら、段階的に構造を組み立てます。
構造の曖昧さ
文法的に正しい文でも、構造の解釈が1つに決まらないことがあります。「急いで走る犬を追いかけた」では、「急いで」が「走る」に係るのか、「追いかけた」に係るのかで意味が変わります。統計的な構文解析器は、構造を付けた大量の文(ツリーバンク)から学んだ傾向をもとに、最ももっともらしい構造を選びます。
どこで使われるか
ルールベース機械翻訳では、原文の構造を求めることが、訳文を組み立てる土台でした。現在も、文から「誰が・何を・どうした」を抜き出す情報抽出などに使われます。
自然言語処理の解析は、一般に形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析の順に進みます。構文解析は1つの文の中の構造を扱い、複数の文にまたがる関係は文脈解析が扱います。
覚え方
構文解析の「構」は構造の「構」です。「文の構造を解く処理」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
形態素解析・意味解析・文脈解析との順序と役割の違いが中心です。日本語では文節どうしの係り受けを求めることや、1つの文に複数の構造の解釈がありうることも問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 構文解析このページの用語 | 形態素解析で区切った単語や文節が、文の中でどのように結び付いているかという文の構造を求める処理 |
| 形態素解析 | 文を意味をもつ最小の単位である形態素に区切り、それぞれの品詞や活用形などを判定する処理 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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日本語の文節単位の係り受け解析では、一般に、文末の文節を除く各文節が、自分より後ろにある文節のどれか1つに係ると考える。
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答え ◯ 正しい
日本語では、係る側の語句が受ける側の語句より前に置かれるためです。係り受けどうしが交差しないという性質と合わせて、係り先の候補を絞り込む手がかりになります。
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文法的に正しい文であれば、構文解析で求める文の構造は必ず1通りに決まる。
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答え × 誤り
「急いで走る犬を追いかけた」のように、係り受けを複数に解釈できる文があります。構文解析では、学習データの傾向などから、最ももっともらしい構造を選びます。
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句構造解析は文を句の入れ子の木構造で表し、係り受け解析はどの語がどの語に係るかという語どうしの関係で文の構造を表す。
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答え ◯ 正しい
どちらも文の構造を求める構文解析の方法です。英語では句構造による表現、日本語では文節単位の係り受けによる表現がよく使われてきました。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目27 自然言語処理)
- Taku Kudo, Yuji Matsumoto, Japanese Dependency Analysis using Cascaded Chunking, CoNLL-2002 (2 A Probabilistic Model、3 Cascaded Chunking Model)
- Daniel Jurafsky, James H. Martin, Speech and Language Processing (3rd ed. draft, 2026年8月19日版) (Chapter 19 Context-Free Grammars and Constituency Parsing、Chapter 20 Dependency Parsing)