1行定義
形態素解析とは、文を意味をもつ最小の単位である形態素に区切り、それぞれの品詞や活用形などを判定する処理のことです。
くわしく
形態素解析は、文を単語に近い小さな単位に区切り、それぞれが名詞なのか動詞なのかといった情報を付ける処理です。言語学では、意味をもつ最小の単位を形態素と呼びます。日本語を扱う自然言語処理では、多くのシステムが最初にこの処理を行います。
日本語で特に重要な理由
英語は単語の間に空白を入れて書くため、空白で区切るだけでもおおよその単語が得られます。日本語は空白を入れずに書くため、どこで区切るかを決めること自体が課題になります。たとえば「外国人参政権」は、「外国人/参政権」とも「外国/人参/政権」とも区切れます。人は意味から前者を選びますが、コンピュータには判断の手がかりが必要です。
形態素解析では、主に次の処理をまとめて行います。
- 分かち書き:文を形態素に区切る。
- 品詞の付与:名詞、動詞、助詞などを判定する。
- 原形の付与:「食べた」の「食べ」に、辞書に載っている形「食べる」を対応させる。
仕組み
代表的な方法では、まず辞書を引いて、文中にありうる区切り方の候補をすべて並べ、網の目のような図(ラティス)にします。そのうえで、単語の出やすさや品詞のつながりやすさを点数にし、全体として最も自然な区切り方を選びます。この点数は、人が区切りと品詞を付けたコーパスから学習します。日本語向けのツールMeCabは、この学習に条件付き確率場(CRF)を使っています。
ほかの処理との関係
形態素解析の結果は、係り受けを調べる構文解析や、BoW、TF-IDF、word2vecなどの入力になります。区切りを誤ると、その誤りが後の処理にも伝わります。
一方、大規模言語モデルでは、文字の並びの出現頻度から決めたサブワードという単位で区切る方法が広く使われます。この方法では、形態素解析は必ずしも必要ではありません。
覚え方
「形態素解析で区切り、構文解析で結ぶ」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
自然言語処理で最初に行う解析として、構文解析・意味解析・文脈解析との順序や役割の違いが問われます。BoWやTF-IDF、word2vecの前処理として単語に区切る場面でも登場します。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 形態素解析このページの用語 | 文を意味をもつ最小の単位である形態素に区切り、それぞれの品詞や活用形などを判定する処理 |
| 構文解析 | 形態素解析で区切った単語や文節が、文の中でどのように結び付いているかという文の構造を求める処理 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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日本語は単語の間に空白を入れずに書くため、形態素解析では、文をどこで区切るかを決めること自体が主要な課題になる。
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答え ◯ 正しい
英語は空白で区切ればおおよその単語が得られます。日本語では「外国人参政権」のように複数の区切り方がありうるため、辞書と統計的な手がかりで最も自然な区切りを選びます。
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大規模言語モデルに日本語の文を入力するときは、必ず形態素解析で単語に区切ってから入力しなければならない。
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答え × 誤り
多くの大規模言語モデルは、文字の並びの出現頻度から決めたサブワードという単位で区切ります。SentencePieceのように、形態素解析を使わずに生の文から区切り方を学習できる手法もあります。
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日本語の文書をBoWやTF-IDFでベクトルにするときには、前処理として形態素解析で単語に区切ることが多い。
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答え ◯ 正しい
BoWやTF-IDFは単語ごとに出現回数を数えます。日本語では先に単語に区切らないと、数える単位が決まらないためです。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目27 自然言語処理)
- Taku Kudo, Kaoru Yamamoto, Yuji Matsumoto, Applying Conditional Random Fields to Japanese Morphological Analysis, EMNLP 2004, 230–237
- MeCab: Yet Another Part-of-Speech and Morphological Analyzer (特徴、比較)
- Taku Kudo, John Richardson, SentencePiece: A simple and language independent subword tokenizer and detokenizer for Neural Text Processing, EMNLP 2018 System Demonstrations, 66–71