1行定義
特許権とは、特許庁の審査を経た設定登録によって発生し、特許を受けた発明を業として一定期間独占的に実施できる権利のことです。
くわしく
特許権は、新しい技術を生み出した人や企業に、一定期間の独占を認める権利です。発明の内容を社会に公開する見返りとして与えられます。
権利の発生と期間
特許庁に出願し、審査で特許要件を満たすと認められ、特許料を納めて設定の登録がされると、特許権が発生します(特許法66条)。審査を受けるには、出願から3年以内に出願審査の請求をする必要があります(48条の3)。出願の内容は、原則として出願から1年6か月が経つと公開されます(64条1項)。存続期間は、出願日から20年で終わるのが原則です(67条1項)。
効力の範囲
特許権者は、業として(事業として)特許発明を実施する権利を専有します(68条)。個人的・家庭的な実施には効力が及びません。他社が同じ発明を独自に考え出した場合でも、無断で事業に使えば原則として侵害になります。他人の作品に依拠してまねた場合だけが問題になる著作権とは、ここが大きく違います。
侵害に対しては、差止めや損害賠償を請求できます。一方、試験や研究のための実施には効力が及びません(69条1項)。効力が及ぶのは、権利を取得した国の中だけです。自ら実施しなくても、他社に実施権(ライセンス)を設定・許諾して収益を得られます(77条、78条)。共同研究で特許権を共有した場合、他人へのライセンスには、ほかの共有者の同意が必要です(73条3項)。
AI開発での使い分け
AIの学習手法や、学習済みモデルを使った処理の仕組みは、特許の対象になりえます。ただし、出願すると内容が公開されます。学習手順の細かな工夫のように、製品を外から調べても使われているか確かめにくい技術は、出願せずに営業秘密として管理するほうが適する場合もあります。何を特許で守り、何を秘匿するかを決めることが、知的財産戦略の要点です。
覚え方
「公開と引き換えに、出願から20年の独占」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
設定登録で発生し出願日から20年で終わること、著作権との発生や保護範囲の違い、試験研究の例外や共有の扱いを、AI技術の出願や共同研究の事例にあてはめる形で問われます。
最新動向法改正やガイドラインの改訂はG検定の法律・倫理分野の最新動向にまとめています。
混同しやすい用語
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特許権者は、実際に侵害が起きる前であっても、特許権を侵害するおそれがある者に対して、侵害の予防を請求できる。
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答え ◯ 正しい
特許法100条1項は、侵害する者への停止の請求と、侵害するおそれがある者への予防の請求を定めています。
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日本で特許権を取得していれば、その発明を外国だけで製造・販売している他社に対しても、日本の特許権にもとづいて差止めを請求できる。
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答え × 誤り
特許権の効力は、権利を取得した国の中だけに及びます(属地主義)。外国の市場でも発明を守るには、その国ごとに特許を取得する必要があります。
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特許権を維持するには、原則として、設定登録の後も各年分の特許料を納め続ける必要がある。
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答え ◯ 正しい
特許法107条1項は、存続期間の満了までの各年について特許料の納付を求めています。4年目以降の分を納めず、追納できる期間も過ぎると、特許権は消滅したものとみなされます(108条2項、112条4項)。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (法律・倫理分野 項目3 特許法)
- 特許法(e-Gov法令検索) (48条の3、64条1項、66条、67条1項、68条、69条1項、73条3項、77条、78条、100条1項、107条1項、108条2項、112条4項)