1行定義
OpenAI Fiveとは、5対5で戦う対戦ゲームのDota 2を、PPOによる大規模な自己対戦の深層強化学習で学んだ、OpenAIのゲームAIのことです。
くわしく
OpenAI Fiveは、OpenAIが開発した、Dota 2をプレイするAIです。2019年4月13日、当時の世界王者だったチームOGに勝ちました。OpenAIは、eスポーツで世界王者に勝った初めてのAIだとしています。
Dota 2の難しさ
Dota 2は、5人ずつの2チームが、相手の本拠地の破壊を目指して戦う対戦ゲームです。1試合はおよそ45分続き、OpenAI Fiveはその間に約2万回、行動を選びます。味方の周りしか見えない、不完全情報のゲームでもあります。
学習の仕組み
- アルゴリズム:方策勾配法の一種であるPPOを使いました。
- 自己対戦:人間の対戦記録をまねる学習はせず、試合の8割は最新の自分自身と、2割は過去のバージョンと対戦して学びました。
- 規模:約10か月にわたって学習を続け、2秒ごとに約200万フレーム分のデータで方策を更新しました。
- ネットワーク:4096ユニットの1層のLSTMが中心です。5体のヒーローは、同じ重みをもつネットワークの複製がそれぞれ操作しました。
- 入力:画面の画素ではなく、ユニットの体力や位置などの数値を受け取りました。
- 報酬:勝敗に加え、キャラクターが倒れたことや資源の獲得にも報酬を与えました(報酬成形)。味方どうしで報酬を分け合う度合いは、チームスピリットという値で調整しました。
ゲームの更新やモデルの変更のたびに一から学び直さず、学習済みの能力を引き継ぐ「サージェリー」という工夫も使いました。
条件と公開対戦
使えるヒーローを117体のうち17体に絞るなど、通常のゲームより条件を限定していました。一般公開した対戦では、7,000試合以上で99.4%の勝率を記録しました。
AlphaStarとの違い
同じ2019年に成果を出したAlphaStarは、人間の対戦記録をまねる教師あり学習から始めました。人間の対戦をまねずに学んだOpenAI Fiveとは対照的です。
G検定での出題
出題のされ方
対象のゲームがDota 2である点、PPOを使った大規模な自己対戦による学習、5体の協調を含むマルチエージェントの設定、AlphaStarなどほかのゲームAIとの違いが問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| OpenAI Fiveこのページの用語 | 5対5で戦う対戦ゲームのDota 2を、PPOによる大規模な自己対戦の深層強化学習で学んだ、OpenAIのゲームAI |
| アルファスター(AlphaStar) | リアルタイム戦略ゲームのStarCraft IIで、人間の最上位層の水準に達したDeepMindのAI |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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OpenAI Fiveは、ゲーム画面の画素ではなく、ゲームから取り出したユニットの体力や位置などの数値を入力としてプレイした。
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答え ◯ 正しい
人間のプレイヤーが得られる情報を、1ステップあたり約1万6,000個の数値で表しました。画像の認識より戦略の判断に研究の焦点を絞るためで、すべての試合を画像に描き出すと計算量が膨大になるという事情もありました。
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OpenAI Fiveでは、5体のヒーローを、それぞれ別々に学習した5種類の異なるネットワークが操作した。
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答え × 誤り
同じ重みをもつ1つのネットワークの複製が、5体をそれぞれ操作しました。どのヒーローを操作しているかを示す入力があるため、複製ごとに違う行動をとれます。
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OpenAI Fiveの学習では、試合の勝敗だけを報酬とし、途中の出来事には一切報酬を与えなかった。
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答え × 誤り
キャラクターが倒れたことや資源の獲得なども報酬に加える報酬成形を使いました。論文では、こうした追加の報酬が学習の成功に重要だったと述べています。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目29 深層強化学習)
- OpenAI (Christopher Berner et al.), Dota 2 with Large Scale Deep Reinforcement Learning (2019) (1 Introduction、3 Training System、Appendix G)
- John Schulman, Filip Wolski, Prafulla Dhariwal, Alec Radford, Oleg Klimov, Proximal Policy Optimization Algorithms (2017)