1行定義
オフライン強化学習とは、環境と新たにやり取りせず、過去に集めて保存したデータだけを使って方策を学習する強化学習の枠組みのことです。
くわしく
オフライン強化学習は、過去に記録したデータだけから方策を学ぶ強化学習です。バッチ強化学習とも呼ばれます。
試行錯誤ができない場面のために
通常の強化学習では、エージェントが環境の中で実際に行動し、その結果から学ぶ試行錯誤を繰り返します。ゲームやシミュレータなら、何百万回でも試せます。しかし、医療の治療方針、自動運転、工場のロボットなどでは、未熟な方策で試すこと自体が危険だったり、費用がかかったりします。
一方、こうした分野には、診療記録や人間の運転ログのような過去のデータが大量にあります。オフライン強化学習は、この「状態・行動・報酬・次の状態」の記録だけを使い、学習中に新しいデータを集めずに方策を学びます。大量のデータで成果を上げてきた教師あり学習のように、蓄積したデータを強化学習にも生かそうとする考え方です。
中心的な課題は分布シフト
データを集めたときの方策を上回るには、データとは違う行動を選ぶ必要があります。しかし、データにほとんどない行動の価値は、実際に試して確かめられません。そのため、通常のQ学習をそのまま使うと、こうした行動の価値を過大に見積もり、その行動を好む方策ができてしまいます。学習に使ったデータの分布と、学習した方策がたどる分布がずれるこの問題を、分布シフトと呼びます。
対策として、学習する方策がデータの行動から離れすぎないように制約する方法があります。また、CQL(Conservative Q-Learning)のように、データにない行動の価値を低めに見積もる方法も提案されています。
似た言葉との違い
記録された行動をそのまままねる模倣学習(行動クローニング)と違い、報酬を使ってよりよい方策を目指します。シミュレータで学んでから実機に移すsim2realとは、実際の記録から学ぶ点が異なります。
覚え方
「オフライン=環境につながず、手元の記録だけで学ぶ」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
新たな試行が危険だったり費用が高かったりする医療・自動運転・ロボットなどで使われる点、データにない行動の価値を過大評価しやすい分布シフトの問題、模倣学習やsim2realとの違いが問われます。
混同しやすい用語
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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オフライン強化学習に使う記録データは、学習する方策自身が集めたものである必要はなく、人間の操作や別の制御の仕組みで集めたものでもよい。
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答え ◯ 正しい
データを集めたときの方策(行動方策)と、学習する方策は別のものとして扱います。診療記録や人間の運転ログのように、すでにある記録を生かせる点が利点です。
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CQL(Conservative Q-Learning)は、方策の価値を実際より低めに見積もるようにQ関数を学ぶことで、オフライン強化学習で起きやすい価値の過大評価を防ぐ手法である。
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答え ◯ 正しい
Conservativeは「控えめな」という意味です。通常の損失に、Q値を控えめに見積もらせる正則化の項を加えます。既存のQ学習やActor-Criticの実装に組み込みやすい手法です。
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オフライン強化学習の「オフライン」は、データを1件ずつではなく、まとめて使って重みを更新するという意味である。
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答え × 誤り
環境と新たにやり取りせずに学ぶという意味です。データを1件ずつ使って重みを更新する最適化のオンライン学習とは、別の観点の言葉です。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目29 深層強化学習)
- Sergey Levine, Aviral Kumar, George Tucker, Justin Fu, Offline Reinforcement Learning: Tutorial, Review, and Perspectives on Open Problems (2020) (1 Introduction、2.2 Offline Reinforcement Learning、2.4 What Makes Offline Reinforcement Learning Difficult?)
- Aviral Kumar, Aurick Zhou, George Tucker, Sergey Levine, Conservative Q-Learning for Offline Reinforcement Learning (2020) (Abstract)