1行定義
状態表現学習とは、カメラ画像などの高次元の観測から、行動を決めるのに必要な情報を表す低次元の状態を学習する手法のことです。
くわしく
状態表現学習は、強化学習のエージェントが受け取る観測を、方策を学びやすい小さな「状態」に変換するしかたを学ぶ手法です。主にロボットの制御を対象に研究されてきました。
なぜ必要か
カメラ画像を入力にすると、観測は数万個の画素の値になります。しかし、部品をつかむ作業に本当に必要なのは、部品やアームの位置など、ごく少数の情報です。DQNのように画像から行動の価値を直接学ぶ方法では、どの画素が大事かを、報酬だけを手がかりに見つけなければなりません。報酬がまれにしか得られない課題では、膨大な試行が必要になります。
そこで、報酬以外の手がかりも使って、観測を低次元の特徴に圧縮するしかたを学びます。次元の呪いを和らげられるため、方策の学習に必要な試行を減らせます。
主な学び方
Lesortらの総説(2018年)では、次のような学び方が整理されています。
- 観測の復元:オートエンコーダで、圧縮した表現から元の画像を復元できるように学ぶ。
- 順モデル:今の状態と行動から、次の状態を予測できるように学ぶ。
- 逆モデル:連続する2つの状態から、その間にとった行動を当てられるように学ぶ。
- 事前知識:「状態は時間とともに少しずつ変わる」などの性質を制約として課す。
- 報酬の予測:状態と行動から、次に得られる報酬を予測できるように学ぶ。
いずれも、人が正解ラベルを用意しない点で、自己教師あり学習に近い考え方です。
代表的な研究
World Models(2018年)は、VAEで画像を小さなベクトルに圧縮し、その時間変化をRNNで予測するモデルを学びました。そこから得た特徴を入力にして、小さく単純な方策で課題を解いています。CURL(2020年)は、対照学習で画素から特徴を学びました。関節の角度などの数値を入力にする手法に近い学習効率を、画像だけで達成しています。
覚え方
「画像を短いメモに要約してから、行動を学ぶ」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
画像などの高次元の観測を低次元の特徴に圧縮して強化学習を効率化するねらい、観測の復元や次の状態の予測といった学び方、ほかの深層強化学習の手法との区別が問われます。
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
-
状態表現学習の手法には、連続する2つの時点の観測から、その間にとった行動を推定する課題を解かせて、表現を学ぶものがある。
答えを見る
答え ◯ 正しい
逆モデルと呼ばれる学び方です。行動を当てるには、行動によって変わった部分を表現に残す必要があります。そのため、背景の模様のような関係のない情報は落ちやすくなります。
-
状態表現学習では、表現を学ぶときに報酬の情報を使うことはなく、観測の画像だけを手がかりにする。
答えを見る
答え × 誤り
観測に加えて、とった行動や得られた報酬も手がかりにできます。報酬を予測させる課題を加えて、課題に関係する情報を表現に残す手法もあります。
-
World Modelsでは、画像を圧縮した表現とその時間変化を予測するモデルを学び、そこから得た特徴を入力にして、小さく単純な方策で課題を解いた。
答えを見る
答え ◯ 正しい
表現の学習と方策の学習を分けた例です。方策が受け取るのは圧縮された特徴なので、方策そのものはごく小さくて済みます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目29 深層強化学習)
- Timothée Lesort, Natalia Díaz-Rodríguez, Jean-François Goudou, David Filliat, State Representation Learning for Control: An Overview, Neural Networks 108 (2018) (2.2 SRL approaches、3 Learning objectives)
- David Ha, Jürgen Schmidhuber, World Models (2018)
- Aravind Srinivas, Michael Laskin, Pieter Abbeel, CURL: Contrastive Unsupervised Representations for Reinforcement Learning (2020)