1行定義
APE-Xとは、多数のアクターが並列に集めた経験を共有の再生メモリに蓄え、1つの学習器が重要な経験を優先して学ぶ、分散型の深層強化学習の手法のことです。
くわしく
APE-Xは、DeepMindのDan Horganらが2018年に発表した深層強化学習の手法です。論文名はDistributed Prioritized Experience Replay(分散型の優先度付き経験再生)です。多くの計算機で手分けして、従来よりはるかに多くの経験から学べるようにします。
行動と学習を分ける
APE-Xは、役割を2つに分けます。
- アクター:それぞれが自分の環境のコピーで行動し、経験を集めます。集めた経験は、共有の再生メモリに送ります。
- 学習器:再生メモリから経験を取り出し、ネットワークの重みを更新します。アクターは、学習器から最新の重みを定期的に受け取ります。
Atariのゲームの実験では、CPUで動く360個のアクターと、GPUで動く1つの学習器を使いました。学習の手法は、ダブルDQN、マルチステップ学習、デュエリングネットワークを組み合わせたDQNです。
優先度付き経験再生との組み合わせ
再生メモリから経験を取り出すときは、予測とのずれ(TD誤差)が大きく、学ぶことの多い経験を優先します。新しい経験の最初の優先度は、アクターが手元で計算してから送ります。また、アクターごとにε-greedy方策のεの値を変えるので、慎重なアクターとよく探索するアクターの経験が混ざります。
これらにより、Atariのゲームで当時の最高水準を上回る成績を、従来より短い学習時間で達成しました。連続値制御の課題でも、DDPGをもとにしたApe-X DPGで同じ枠組みを試しています。
A3Cとの違い
A3Cも並列化の手法ですが、各ワーカーが勾配を計算して共有のネットワークを直接更新し、経験再生は使いません。APE-Xは、勾配ではなく経験そのものを再生メモリに集め、1つの学習器がまとめて学ぶ点が異なります。
覚え方
「大勢の役者(アクター)が集めた経験を、1人の学習器が大事なものから学ぶ」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
経験を集めるアクターと重みを更新する学習器の役割分担、優先度付き経験再生との組み合わせ、経験再生を使わず勾配で共有のネットワークを更新するA3Cとの違いが問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| APE-Xこのページの用語 | 多数のアクターが並列に集めた経験を共有の再生メモリに蓄え、1つの学習器が重要な経験を優先して学ぶ、分散型の深層強化学習の手法 |
| A3C | 複数のワーカーがそれぞれの環境で並行して行動し、共有のネットワークを非同期に更新するActor-Critic型の深層強化学習の手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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APE-Xでは、新しく集めた経験の最初の優先度を、学習器ではなく、その経験を集めたアクターの側で計算する。
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答え ◯ 正しい
従来の優先度付き経験再生のように新しい経験へ一律に最大の優先度を付けると、アクターが多い場合は直近の経験ばかり学ぶことになります。アクターは行動を選ぶためにQ値を手元で計算しているので、追加の負担なく優先度も求められます。
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APE-Xでは、すべてのアクターが同じεの値のε-greedy方策で行動し、集める経験の条件をそろえている。
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答え × 誤り
アクターごとにεの値を変えます。慎重に行動するアクターとよく探索するアクターの経験が混ざり、集まる経験が多様になります。
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APE-Xの論文では、Atariのゲーム向けのDQN系の手法だけでなく、連続値の行動を扱う手法にも同じ枠組みを適用した。
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答え ◯ 正しい
連続値制御の課題向けに、DDPGをもとにしたApe-X DPGも示しました。行動と学習を分ける枠組みは、さまざまな学習の手法と組み合わせられます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目29 深層強化学習)
- Dan Horgan, John Quan, David Budden, Gabriel Barth-Maron, Matteo Hessel, Hado van Hasselt, David Silver, Distributed Prioritized Experience Replay, ICLR 2018 (3 Our Contribution: Distributed Prioritized Experience Replay、4 Experiments)