1行定義
ノイジーネットワークとは、ネットワークの重みに大きさを学習できるノイズを加え、その揺らぎによって探索を促す深層強化学習の手法のことです。
くわしく
ノイジーネットワーク(NoisyNet)は、DeepMindのMeire Fortunatoらが2017年に発表した手法です。強化学習に欠かせない「探索」を、ネットワークの重みに加えるノイズで実現します。
探索の問題
強化学習のエージェントには、今よいと思う行動を選ぶ「活用」だけでなく、まだよく知らない行動を試す「探索」も必要です。DQNでは、確率εでランダムな行動を選ぶε-greedy方策で探索していました。しかしこの方法は、状態に関係なく、その都度ばらばらに行動を乱すだけです。何手も続けて試さないと見つからない行動は、なかなか発見できません。εをどう減らしていくかも、人が決める必要があります。
重みにノイズを加える
ノイジーネットワークは、全結合層の重みとバイアスを「平均」と「ノイズの大きさ」の組で表します。重みはw = μ + σ ⊙ εで、μが平均、σがノイズの大きさ、⊙は要素ごとの積です。εは更新のたびに引き直す乱数で、ε-greedy方策のεとは別のものです。
μとσは、どちらも勾配を使って学習します。重みの揺らぎは、毎回ばらばらに行動を乱すのではなく、何ステップかにわたって状態に応じた一貫した行動の変化を生みます。そのため、まとまりのある探索ができます。
DQNやデュエリングネットワークに適用した場合はε-greedy方策を使わず、A3Cに適用した場合は探索のためのエントロピーの項を外しました。Atariの57種類のゲームで評価し、幅広いゲームで成績が向上しました。
位置づけと注意点
ノイジーネットワークは、Rainbowを構成する6つの改良の1つです。名前に「ノイズ」とありますが、入力にノイズを加えて学習データを増やすデータ拡張とは目的が違います。過学習の対策ではなく、探索のための仕組みです。
覚え方
「ε-greedyのさいころの代わりに、重みそのものを揺らす」と覚えます。
G検定での出題
出題のされ方
ε-greedy方策に代わる探索の仕組みであること、ノイズの大きさも学習で調整される点、Rainbowを構成する改良の1つである点、データ拡張で加えるノイズとの区別が問われます。
混同しやすい用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ノイジーネットワークこのページの用語 | ネットワークの重みに大きさを学習できるノイズを加え、その揺らぎによって探索を促す深層強化学習の手法 |
| ε-greedy方策 | 確率εでランダムに行動を選んで探索し、残りの確率1−εでその時点で価値が最も高いと推定される行動を選ぶ方策 |
| データ拡張 | 学習データに意味を変えない範囲の変換を加えて新しいデータを作り、学習データの量と多様さを増やす手法 |
◯×チェック
次の文が正しいか、誤りかを選んでください。
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ノイジーネットワークでは、重みに加えるノイズの大きさを決めるパラメータも、ほかの重みと一緒に勾配を使って学習する。
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答え ◯ 正しい
ノイズをどれだけ使うかが、学習を通じて自動的に調整されます。ε-greedy方策のように、εをどう減らしていくかを人が決める必要がありません。
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ノイジーネットワークの論文では、DQNに組み込む際にもε-greedy方策を残し、2つの探索の仕組みを併用した。
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答え × 誤り
DQNへの適用では、ε-greedy方策は使わず、ノイズの入ったQ値が最大の行動をそのまま選びます。探索は重みのノイズが担います。
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ノイジーネットワークは、DQN系の手法だけでなく、方策を直接学ぶA3Cにも適用されている。
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答え ◯ 正しい
A3Cでは、探索を促すために損失に加えていたエントロピーの項を外し、その代わりに使いました。方策を表すネットワークの全結合層にノイズを加えます。
この用語の練習問題
出典
- G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版 (技術分野 項目29 深層強化学習)
- Meire Fortunato, Mohammad Gheshlaghi Azar, Bilal Piot, Jacob Menick, Ian Osband, Alex Graves, Vlad Mnih, Remi Munos, Demis Hassabis, Olivier Pietquin, Charles Blundell, Shane Legg, Noisy Networks for Exploration, ICLR 2018 (3 NoisyNets for Reinforcement Learning、4 Results)